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更新日:2024/11/15
早わかり!水素エネルギーとは?将来性は?
脱炭素社会の実現に向けて、既存のエネルギーに変わる新エネルギーが台頭してきています。
その中でも水素エネルギーが注目を集めています。
近年、メディアなどで特集が組まれたり、東京スイソミルという施設もあり、話題になっています。
今回は水素エネルギーとはなんなのか、なぜ注目されているかを解説します。
Contents
水素エネルギーとは?
水素エネルギーとは、水素ガスを利用して発電や動力源とするエネルギーのことです。
エネルギー源である水素は、水から取り出すことが出来るのはもちろんですが、石油やガス、下水汚泥、廃プラスチックなどからも作ることが出来ます。
また製鉄所や化学工場等では生産プロセスの中で副次的に水素が発生します。
水素は燃焼させて熱エネルギーとして利用する際も、酸素と結びつけ発電する際も二酸化炭素を排出しないこと大きな特徴の一つです。
水素エネルギー=再生可能エネルギーではない
水素エネルギーは、厳密に言うと再生可能エネルギーではありません。
エネルギーには、一次エネルギーと二次エネルギーがあり、天然ガスや石炭、太陽光といった自然から直接採取できるものを一次エネルギーと言います。
それに対して、二次エネルギーは一次エネルギーから作られるもので、直接採取できません。
水素エネルギーは、二次エネルギーになるので、つまり一次エネルギーがないと水素エネルギーが生成できないということです。
日本のエネルギー自給率は13.3%(2021年度)と、先進国に比べて非常に低い水準なので水素エネルギー生成には大きな課題となります。
再生可能エネルギーについては種類が様々あるので、【総まとめ】再生可能エネルギーの種類、それぞれのメリットや課題をまとめて解説の記事でまとめています。
なぜ水素エネルギーが注目されているのか?
水素エネルギーが注目されている理由は、二酸化炭素を排出しないため、クリーンなエネルギーなので化石燃料の代替えとして期待されています。
さまざまな資源から作ることができ、貯蔵・輸送が比較的簡単といわれており、必要な時にエネルギーを供給できるため安定供給にも最適です。
また、交通、産業、発電など多岐に渡る分野で活用が進んできます。
燃料電池車やバスなどのモビリティ分野、製鉄や化学工業でのエネルギー源としての利用が期待されています。
水素エネルギーのメリット
水素エネルギーには下記のようなメリットがあります。
- CO2を排出しない
- 様々な生成方法
- 長期的な貯蔵
- 様々な産業で応用可能
- 輸送がしやすい
- 脱炭素の促進
順番に解説します。
CO2を排出しない
水素エネルギーの最大のメリットは、二酸化炭素(CO2)を排出しないことです。
水素を燃焼させたり、燃料電池で使用した際に排出されるのは水だけなので、温室効果ガスの排出を大幅に減らすことができます。
様々な生成方法
再生可能エネルギーや天然ガス、バイオマス、化石燃料を利用して生成することができます。
特に「グリーン水素」と呼ばれる再生可能エネルギーから作られる水素エネルギーは、クリーンなエネルギーとして注目を集めています。
長期的な貯蔵
水素エネルギーは、長期的にエネルギーを貯蔵する手段として優れています。
例えば、余った再生可能エネルギーを利用して水素を生成し、それを貯蔵、その後再利用することが可能です。
じっくりバランスを調整でき、安定したエネルギー供給ができます。
様々な産業で応用可能
水素エネルギーは、発電や交通(燃料電池車、バス、船舶、航空機など)、産業(製鉄や化学工業)、住宅(家庭用燃料電池)など、幅広い分野で応用が可能です。
これにより、エネルギーの利用効率が向上し、脱炭素に向けた幅広いアプローチが実現可能になります。
輸送がしやすい
水素はガスや液体として貯蔵・輸送することができ、インフラの一部を活用しつつ、エネルギーを輸送することが可能です。
これにより、輸送コストを削減し、必要な地域へ効率的にエネルギーを供給することができます。
脱炭素化の促進
水素エネルギーは、従来の化石燃料を使う産業プロセスをクリーンな形に変える役割を担います。
製鉄やセメントなどの産業では、炭素の代わりに水素を使うことで、排出されるCO2を削減でき、エネルギー消費が多い産業でも脱炭素化が進む可能性があります。
水素エネルギーの将来性
水素エネルギーは、脱炭素社会を実現するための重要な技術とされています。
特に、エネルギーを効率的に貯蔵・輸送できる点から、今後ますます普及が期待されており、燃料電池車や工場での利用、さらには航空産業での応用など、さまざまな分野での展開が進んでいます。
技術の進化とコスト削減が進めば、将来の主力エネルギーになる可能性があります。
昨今、普及は積極的に進められており、経済産業省が策定した「グリーン成長戦略」により、水素ステーションの整備や燃料、
また、再生可能エネルギーからの水素製造技術の開発も進められており、今後のさらなる発展が期待されています。
参照:経済産業省 | 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
普及に向けた課題は?
水素の製造コストが高い点が挙げられます。
再生可能なエネルギーを使った「グリーン水素」は理想的ですが、コストが他のエネルギーです。
また、水素を貯蔵・輸送するためのインフラも整備が必要です。
世界各国も注目
世界各国でも、水素エネルギーに対する関心が注目されています。
特にヨーロッパでは、グリーン水素を中心とした戦略が進められ、2030年までに大規模な水素インフラが整備される予定です。
アメリカや中国でも、2030年代には水素エネルギーが世界の主要エネルギー源の一つになると予測されています。
水エネと再エネのシナジー
水素エネルギーは、再生可能エネルギーとの相乗効果が期待されています。
例えば、風力や太陽光発電の余剰電力を水素に変換して蓄電し、必要な時に使用することで、エネルギーの安定供給が可能です。
また、再生可能エネルギーの不安定さを補う役割を果たされて、長期的なエネルギー貯蔵にも活用されます。
これにより、エネルギー供給の効率化が図られます。
まとめ
水素エネルギーは、持続可能な未来を実現するための重要なカギとなります。
化石燃料に依存せず、クリーンなエネルギーを提供できることから、地球温暖化の抑制に大きく貢献します。
コスト面での課題はありますが、これらが解決されれば、脱炭素社会の実現に向けて大きな一歩を踏み出すことができます。