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更新日:2024/11/21
ホームセンターが省エネに取り組むには?おすすめの方法や成功事例を解説!
ホームセンターは面積が広いため、消費エネルギーが多い傾向にあります。
そのため、省エネに取り組むことで、エネルギーロスの改善やコストの削減などのメリットが期待できます。
とくに、昨今では電気料金が高騰しているため、省エネタイプの照明や空調を利用するのとしないのとでは、ランニングコストに大きな違いが出やすいです。
そこで今回は、ホームセンターで効果的な省エネ方法や、ホームセンターでの省エネ成功事例について解説します。
省エネによってコストを削減したり、企業価値を向上させたりすることに繋がるため、ぜひ参考にしてください。
Contents
ホームセンターで省エネが必要な背景とは?
省エネへの取り組みは、ホームセンターの運営を行っていくうえで重要課題となっています。
なぜなら、ホームセンターは取扱商品による店舗構造の関係上、面積が広くなっているからです。
一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会の調査によると、ホームセンターの一店舗あたりの面積は約3,041㎡。
建物の面積が広いと、そのぶん消費するエネルギーが多くなる傾向にあるため、コストを圧迫したり、地球環境への負担を生じさせたりする恐れがあります。
ホームセンターで使用するエネルギーを効率よく使えるようになると、以下のメリットが期待できます。
- エネルギーロスの改善により、地球環境への負担を軽減させる
- コストを削減できる
そのため、ホームセンターを運営する企業は、エネルギーロスの改善やコスト削減のために省エネに取り組むことが大切です。
ホームセンターの省エネの現状
一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会によると、2020年度の省エネ目標は、一店舗における生産量当たりのエネルギー消費量を2004年比で15%削減することでした。
各ホームセンターにおいて省エネに取り組んだことから、上記のグラフで示しているとおり、エネルギー消費量の削減目標を達成できています。
なお、ホームセンター業界は、店舗数の増加や店舗面積の拡大傾向にありました。
そのうえで、なぜ2020年度に省エネの目標を達成できたのかというと、以下のことに取り組んだからです。
- 省エネ型店舗へ移行した
- 店舗改装時に新設備を導入した
- 省エネに対する社員の意識が高まった
今後は2030年度に、2013年度と比較して17%のエネルギー消費量の削減を行うことを目指します。
なお、省エネ法による年1%の削減目標と、店舗構造や販売形態などのホームセンター業界としての特性を考慮したうえで、目標として設定しているのです。
ホームセンター各社では、省エネの目標を達成するために、運輸に関する10のことに取り組んでいます。
- 発注ロットや発注頻度を見直す
- 発注量を最適化、平準化する
- 計画的に荷下ろしを行う
- リードタイムを見直す
- ハイブリット車を導入したり、入れ替えたりする
- アイドリングストップを行う
- 積載物を軽量化させる
- 配送ルートを見直す
- 配送車両の運行台数を削減する
- 配送回数を削減する
出典:一般社団法人日本DIY・ホームセンター協会「ホームセンター(DIY)業界における 地球温暖化対策の取組 ~カーボンニュートラル行動計画2020年度実績報告~」
ホームセンターで効果的な省エネ方法
省エネに取り組むことは地球環境への配慮だけでなく、ホームセンターのコスト削減にも繋がります。
また、省エネによって削減できたコストは、ホームセンターの利益となります。
たとえば、事業の拡大や有益な設備投資など、ホームセンターの運営にとって必要な費用を、省エネによるコストの削減によって捻出する効果も期待できるのです。
ホームセンターで省エネを効果的に行うには、以下の方法を実施するとよいでしょう。
- 電力の見える化を行う
- 高効率照明へ切り替える
- 空調機の設定温度を見直す
- 古い空調設備を省エネタイプに替える
電力の見える化を行う
ホームセンターで「電力の見える化」を行うと、省エネ効果が期待できます。
なぜなら、電力の見える化により、ホームセンターで働く社員やスタッフの省エネ意識の向上を図れるからです。
社員やスタッフの省エネに対する意識を高めることで、電気のスイッチをこまめに切ったり、不必要な箇所の電気を消したりするなどの取り組みを促すことができます。
また、ホームセンターを運営する側としても、電力の見える化によってリアルタイムでエネルギーの使用状況を把握できるメリットが得られます。
ホームセンターでのエネルギーの使用状況をリアルタイムで把握できれば、現状をこまかく分析できるため、省エネ対策に取り組みやすいです。
昨今、電気料金の値上げが続いているため、ホームセンターのコスト削減方法としても電気の見える化が役に立つでしょう。
また、地球温暖化対策として、ホームセンターで電力の見える化を行っていることをお客様や取引先に公表することによって、企業価値の向上にも繋がります。
▼電力の見える化についてはこちら
高効率照明へ切り替える
ホームセンターの省エネ対策を行うには、照明を高効率照明へ切り替えることがおすすめです。
高効率照明とは、従来の照明と比べ少ない電力で十分な明るさを実現できる照明のことです。
一般社団法人省エネルギーセンターによると、ホームセンターのコンセントや照明の比率は店舗の約70%を占める傾向にあります。
そのため、ホームセンターに設置している照明を高効率照明へ切り替えることで、消費電力の削減になるだけでなく、コスト削減に寄与することが期待できます。
空調機器の設定温度を見直す
ホームセンターの省エネ対策として、空調機器の設定温度を見直しましょう。
環境省によると空調機器の設定温度を、夏に高く冬に低く過剰に設定してしまうと、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量の増加を招く可能性があるそうです。
ホームセンターの暖房と冷房の設定温度をそれぞれ1℃緩和すると、消費エネルギーを約10%削減できます。
ただし、人によって心地よいと感じる温度設定は異なる傾向にあるため、注意が必要です。
お客様やスタッフの声をもとに、温度設定を見直した後の状態を分析して、ホームセンターごとに適した温度設定を行うようにしましょう。
古い空調設備を省エネタイプに替える
ホームセンターに設置している空調設備が古い場合、新しいものに取り替えることで省エネ効果が期待できます。
なぜなら、10年〜15年ほど前に製造された古いタイプの空調設備には、R22冷媒(HCFC)が使用されている傾向にあるからです。
▼R22を使用している室外機の実際の写真
R22冷媒(HCFC)によって部屋を暖めたり冷やしたりできるのですが、地球のオゾン層を破壊する成分が含まれています。
そのため、地球温暖化防止の取り組みとして世界的な規制が進み、日本では2020年にR22冷媒(HCFC)の生産が実質全廃となりました。
このような背景から、2020年にR22冷媒(HCFC)を使用していない省エネタイプの空調設備に取り替えることが推奨されています。
しかしコストを懸念し、今使用している空調設備を使い続けたいと考える方もいるのではないでしょうか。
もしこのまま、R22冷媒(HCFC)を用いた古いタイプの空調設備を使用し続けた場合、整備や修理のための部品供給が厳しくなるため、故障しても修理が困難になる可能性があります。
空調設備の調子が悪くなったり故障したりすると、ホームセンターの営業に支障をきたしてしまいます。
もし、ホームセンターに設置しているエアコンの室外機の銘板シールに「冷媒R22」などと記載されているのであれば、早めに省エネタイプの空調設備に取り替えることを検討しましょう。
ホームセンターでの省エネ成功事例
実際に省エネ対策に取り組み、エネルギーロスやコスト削減に成功したホームセンターの事例をご紹介いたします。
- 室外機を分散設置して、エネルギーロスを削減した事例
- 空調と照明を替えて、エネルギー消費を見える化した事例
順番に見ていきましょう。
室外機を分散設置してエネルギーロスを削減
令和4年度空気調和・衛生工学会大会で発表された「ホームセンターでの省エネ成功事例」です。
埼玉県にあるA社によって運営されているホームセンターMでは、室外機を分散設置することでエネルギーロスの削減に成功しました。
【ホームセンターMでエネルギーロスを削減した事例】
建築構造 | 地上2階建て鉄骨造 |
空調必要面積 | 1階:1万6,529㎡、2階:9,917㎡ |
省エネへの取り組み | 室外機を系統ごとに、屋上を中心に分散して設置した |
ホームセンターMは室外機を屋上に分散して設置したことで、室内機に接続する冷媒配管が長くなることを抑制でき、エネルギーロスだけでなく設備工事費の削減もできました。
出典:公益社団法人空気調和・衛生工学会「新築ホームセンターへのGHP導入と実績の検証」
空調と照明を替えてエネルギー消費を見える化
ホームセンターブリコを経営する株式会社フタガミが、エネルギー消費の状態を「見える化」したり、既存設備を省エネタイプに替えたりしたことで、省エネに成功しています。
エネルギー消費の状態は見える化により、社員によってモニターで確認することができます。
そのため、ホームセンターで働く社員の、省エネに対する意識を高めることができたそうです。
ホームセンターブリコで行った省エネ対策は以下のとおりです。
- エネルギー消費の状態を見える化
- 既設の空調設備から、省エネ型の空冷ヒートポンプエアコンへ替えた
- これまで設置していた照明の251台をLEDに替えた
- 太陽光発電を利用した
- ZEB(ゼブ)を活用した
また、ホームセンターブリコが省エネ化に成功したポイントは、新しい設備の導入だけに留まらず、PDCAサイクルを実施したことです。
PDCAサイクルを回すうえで、ポイントとなったのはZEBでした。
ZEBとは、快適な室内環境でありながら、消費するエネルギーの収支がゼロになるように目指した建物のことです。
ホームセンターブリコはZEBを活用して、消費電力量や運転時間などの計測を行い、計画値と比較したうえで、省エネ効果の確認を行いました。
もし、省エネの効果が見られない場合は、省エネコンサルや運転管理者だけでなく施工会社やメーカーなども含めて、原因の分析や調査をします。
このように、設備による省エネだけでなく、人による省エネも並行して行うことで、より効果的なホームセンターの省エネを実現できているのです。
参照:株式会社フタガミ
まとめ
ホームセンターは面積が広いため、いかに省エネ対策を行うかによって、ランニングコストが大きく変わってきます。
省エネのポイントとなるのは、ホームセンターで使用する電力と空調です。
効率よくエネルギーを消費できるように、電力を見える化したり、高効率照明に切り替えたりするだけでなく、古い空調設備を省エネタイプに切り替えることも重要となります。
とくに、2020年に生産が実質全廃された、R22冷媒(HCFC)を用いた古い空調設備の調子が悪くなったり故障したりすると、修理が困難になる可能性があります。
空調設備の調子が悪いとお客様がホームセンターで心地よく買い物しにくくなるため、そうなる前に現状を把握し対策を取っておきましょう。
ホームセンターが省エネに取り組むことで、コスト削減になるだけでなく、地球環境に配慮した姿勢がお客様や取引先に評価され企業価値の向上にも繋がります。
ホームセンターで使用している照明や空調設備の現状を把握し、省エネ対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。