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特別養護老人ホームで効果的な省エネ方法10選!成功事例も紹介

エネトク編集部

エネトクは、全国15,000件以上の多種多様なお客様に、省エネ・コスト削減の提供実績があります。脱炭素社会の実現に向けて、専門のスタッフが省エネにまつわる様々なお悩みを解決し、お客様のエネルギーコストを最小化します。

エネルギー価格をはじめとする物価の高騰、人件費の上昇により特別養護老人ホームの経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。2022年度は赤字に転じる特別養護老人ホームが大幅に増加しました。

 

このような情勢にあって、経営を安定させて介護サービスの質を確保するためには、経費を削減する省エネ対策が不可欠です。

 

この記事では、特別養護老人ホームにおいて効果的な10の省エネ対策について解説しています。

成功事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

特別養護老人ホームで省エネが必要な背景と理由

特別養護老人ホームで省エネが必要な背景と理由

国際情勢によるエネルギー価格の上昇や円安による物価上昇などで、特別養護老人ホームの経営環境が悪化して、赤字に転じる施設が急増しています。

赤字経営施設が増加

全国老人福祉協議会のまとめによると、2022年度の特別養護老人ホームの62%が赤字経営でした。

これは、全国の約1600の特養を対象にした調査の結果で、21年度の43%から19ポイントも上昇しています。

特別養護老人ホームを経営するのは社会福祉法人または自治体ですが、社会福祉法人はもちろん自治体にとっても、急速に厳しさを増している経営環境は介護サービスの存続にかかわる重大な問題です。

一般企業の利益率にあたる収支差率(収入に占める利益の割合)は、22年度は21年度を3.6ポイント下回り、平均で⁻2.8%と初めてマイナスに転じました。

参照:特別養護老人ホーム6割強が赤字 22年度、物価高・光熱費上昇が影響 – 日本経済新聞

物価、人件費、光熱費の上昇による経営コストの増加

22年度に赤字となる特別養護老人ホームが急増した主な要因は、ウクライナ戦争によるエネルギー価格の上昇と円安による物価高騰です。

物価高騰は、給料やパートタイマーの時給の引き上げに波及して、人件費も上昇傾向にあります。

これらの状況は23年度も続いているので特別養護老人ホームの経営環境はますます厳しさを増しています。

先行き不透明な2024年の介護報酬の改定

2024年に3年に1度の介護報酬の改定時期を迎えます。

施設側としては大幅な報酬の引き上げを期待したいところですが、少子化による財源の担い手の減少などで楽観を許さない状況です。

介護報酬が引き上げられたとしても、施設利用者の負担増などがともなえば、施設運営にさまざまな影響を及ぼすことも考えられます。

特別養護老人ホームの電力消費の内訳

経済産業省の資料に基づいて、電力消費の内訳をみてみましょう。

特別養護老人ホームの電力消費の内訳

出典:経済産業省『夏季の省エネ・節電メニュー』

 

特別養護老人ホームを含む医療機関においては、消費電⼒のうちで空調が約35%、照明が33%で合計68%と大きな部分を占めます。

これは、オフィスビル(空調 約49%、照明 約23%、合計72%)、飲⾷店(空調 約51%、照明 約17%、合計68%)と並ぶ高い割合です。

ちなみに他の業種では次のような割合になっています。

したがって、特別養護老人ホームの省エネでは、空調と照明の節電対策が特に重要であり、経費削減効果が大きくなります。

特別養護老人ホームが省エネを行うメリット

特養における省エネの実施には次のようなメリットがあります。

それぞれについて見ていきましょう。

削減したエネルギー経費をサービスや待遇の向上に回せる

省エネによってエネルギー経費を削減することで、浮いた経費を入居者サービスや職員の待遇改善に回すことが可能になります。

サービス面や待遇面での経費節減は、入居者の生活の質や職員のモチベーションを低下させることにつながるので、まず試みたいのは省エネによる経費削減です。

合理的な光熱費管理で入居者の生活も快適になる

合理的な省エネ対策、光熱費の管理は、職員の業務におけるパフォーマンスや入居者の施設における暮らしぶりを見直し、改善することにもつながります。

適切な光熱費管理は、職員の仕事のムダを省き、入居者の生活をより快適にする効果も期待できるのです。

設備の見直しによっては停電時の対策にもなる

災害などによる突然の停電でも、自立運転機能付きの太陽光発電設備があれば、必要最低限の電力を確保することができます。

初期投資は必要ですが、設備の導入によって日常的には省エネになり、緊急時も電力や水を確保するなどのリスク対応が可能です。

SDGsへの取り組みで施設のイメージがアップする

省エネはグローバルな課題であるサステナビリティ、SDGsへの取り組みでもあります。

施設の省エネを地域の環境や地域住民の未来にも配慮するSDGsへの取り組みと位置付けることで、実行する職員のモチベーションを高めるとともに、近隣住民の施設に対するイメージがアップすることを期待できます。

特別養護老人ホームで効果的な省エネ方法10選

特別養護老人ホームにおける効果的な省エネ方法

省エネの手段には、費用をかけずに今すぐできる対策、比較的軽微な費用で実施できる対策、初期コストは大きいが長い目で見ると省エネ効果が大きい新しい設備の導入などがあります。

費用をかけずにすぐに実施できる省エネ対策には、設定温度の見直し、照明個所の見直し、こまめな消灯などがあります。

ここからは費用がかかる省エネ対策と費用がかからない省エネ対策を紹介します。

室温の設定温度の見直し

特別養護老人ホームの空調温度は、入居者の健康や快適さを左右する重要なテーマです。

省エネのために夏季に高すぎる温度設定をしたり、冬季に低すぎる温度設定をすることは許されません。

しかし、夏季の低すぎる温度設定や冬季の高すぎる温度設定も、入居者の健康や快適さに悪影響を与えます。

そのためにかかった電力費もまったくのムダです。

室温に影響を与えるのは狭い意味の空調設備だけではなく、居室の採光状態やサーキュレーターなどさまざまな要因が関係します。

諸条件を考慮して総合的な温度設定と温度管理が必要とされます。

冷房と暖房の電気代の違いについてはこちらから▽

照明する箇所の見直しと、こまめな消灯・消し忘れ対策の実施

事務所や入居者の居室を、可能な範囲で天井照明からスポット照明に切り替えることで節電できます。

自然採光ががある窓際も消灯が可能です。

使用していない部屋の空調や照明も忘れずに切るなど、こまめな消灯、消し忘れの防止が電力節減につながります。

空調機器のクリーニング

空調機のフィルターや室外機を定期的に清掃することで、空調機の熱交換率を高めて電力を節減することが可能です。

クリーニングによって機器に過剰な負荷がかからなくなるので、耐用年数を延ばす効果も期待できます。

エレベーターの使用頻度の見直し

エレベーターの昇降は大きな電力を消費します。

入居者の使用を制限することはできませんが、職員の使用については無理のない範囲で一定の制限を設けることで消費電力を節減することができます。

ここからは、一定の費用はかかるが大きな省エネ効果が期待できる対策を紹介し、LED照明への切替、電力の見える化や空調制御システムの導入、太陽光発電の設置などを解説します。

LED照明への切り替え

蛍光灯をLED照明に切り替えることで、消費電力は約1/3になり、電球の寿命は4~5倍になります。

価格は蛍光灯の約3倍になりますが、長期的にみればLED照明の方がコスト削減になります。

扇風機やサーキュレーターの活用

空調機を使用している室内の空気の流れが停滞すると、天井付近が高温で床の付近は低温というムダや非効率が生じます。

空調設備よりも電力消費がはるかに小さい扇風機やサーキュレータを活用して、室内の空気を循環させることで温度設定を下げることが可能になり、電力の節減につながります。

電力の見える化

電力の見える化とは、どの機器がいつどれくらい電力を使ったかを把握し、管理者や職員が情報共有するシステムです。

その情報によって、電力使用の運用を具体的な数字に基づいて管理、改善することが可能になります。

職員の省エネ意識も、アバウトな方針や精神論ではなくデータに基づく情報によって高まることが期待できます。

電力の見える化システムには多種多様な製品やサービスがあるので、施設の特徴にあったものを選ぶことが大切です。

▼電力の見える化についてはこちらで詳しく解説しています。

 

空調制御システムの導入

電力の見える化と連動して省エネ効果をあげることが可能なのが、空調制御システムの導入です。

そのの1つであるピークデマンドシステムは、電気使用量の上限を設定しておき、それを上回るときは自動的に使用電力を抑える仕組みです。

ピーク電力を抑えることで、使用料だけでなく基本料金を抑えることもできます。

新たな空調設備を導入するのに比べると、20~30万円という比較的低予算で導入することができます。

ただし、自動的に電力をカットするシステムなので、入居者や職員の不便につながらないように配慮することが必要です。

空調制御システムについてはこちらから▽

空調を自動制御し、無駄な手間とコストを削減”EM CLOUD”

給湯設備を見直

ヒートポンプ給湯システムや吸収冷温水機など、最新の給湯設備を導入することで、電力使用量を削減することができます。

設備の更新には費用がかかりますが、経年劣化の進んだ給湯設備を使い続けるのは、電力のムダ遣いになるだけでなく、突然の故障というリスクを抱えることになるので、中長期的な視野での設備更新も考慮する必要があります。

太陽光発電を設置する

企業や施設の太陽光発電として注目を集めているのが、自家消費型太陽光発電です。

自家消費型太陽光発電は、自社で発電した電気を自社の照明や空調に使用するシステムで、全量自家消費型と余剰売電型のモデルがあります。

自家消費型の太陽光発電を導入することで、電力会社に支払う電気代を節減できるのはもちろん、災害による停電時も電力を入手することが可能になります。

介護施設の省エネの注意点

特別養護老人ホームの省エネでは、入居者ファーストのスタンスを忘れないことが肝心です。

省エネを追求するあまり、入居者への安定した介護サービスができない事態が生じるのは、本末転倒となります。

また、職員に過度の省エネ努力を強いるのも、労働意欲の低下、しいてはサービスの質の低下につながりかねません。

介護施設の省エネ目標は、入居者の健康と快適さ、職員の働きやすさとのバランスを考慮して設定することが大切です。

省エネ対策に利用できる公的支援

特別養護老人ホームが省エネ対策に利用できる補助金には次のようなものがあります。

参考:令和5年度 既存建築物省エネ化推進事業

上記以外にも自治体が行う支援事業など、多くの公的支援があります。

特別養護老人ホームの省エネ成功事例

環境庁が発表した「高齢者福祉施設における省エネ・低炭素化の取組」から、特別養護老人ホームの省エネ取り組み事例をご紹介します。

特別養護老人ホーム玉樹

定員50名の特別養護老人ホーム玉樹(社会福祉法人 袖会 茨城県結城郡)は、スマートメーターの設置をきっかけに職員が省エネに取り組み、電力使用量を15.4%、電気料金を7.9%削減することに成功しました。

職員は、設置事業者のアドバイスを受けながら、吹き抜けになっているユニットの高い天井に温めた空気がたまるのを防ぐためのカーテンを設置するなどを工夫を重ねたことによる成果です。

デマンドのピーク抑制のアラームが鳴ったときに電源を落とす機器の優先順位を決めてマニュアル化し、サービスへの影響を最小化しました。

削減できたコストの一部を職員に還元するなどのモチベーション向上策も行っています。

スマートメーター導入にあたっては、経済産業省のエネルギー管理システム導入促進事業費補助金を利用しました。

HP:http://www.tamaki.or.jp/

参考:低炭素化の取組事例集

特別養護老人ホーム山美家

定員29名の特別養護老人ホーム山美家(社会福祉法人 富士桜桃会 山梨県大月市)は、ハイブリッド型ソーラーシステムを導入し、暖房負荷の58%を太陽熱で補う成果をあげました。

設置したハイブリッド型ソーラーシステムは、太陽光発電パネルの下で温まった空気を熱として施設内にとり入れて、給湯や床暖房に活用するシステムです。

太陽光発電で作った電気は売電せずに施設内で使用し、非常用に備えるためにパネルの増設も行いました。

参考:低炭素化の取組事例集

まとめ

省エネはサステナビリティを推進するためのグローバルな課題であるとともに、特別養護老人ホームにとっては、経営の持続、安定のために必須のテーマです。

省エネの効果をあげるためには、管理者と職員の計画的な取り組みと中長期的な視野に立った施設の改善が必要です。

エネトクには、特別養護老人ホームの省エネ事例がありますのでお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

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