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マンションの省エネ対策とは?電気代削減に効果的な方法を電気設備の視点から解説
マンションの管理費や修繕費が上昇するなか、「共用部の電気代を少しでも削減したい」「マンション全体で省エネを進めたい」と考える管理組合やオーナーは少なくありません。
マンションの省エネというと、断熱改修や太陽光発電など大規模な工事をイメージしがちですが、すべてのマンションで高額な設備投資が必要なわけではありません。
特に既存マンションでは、共用部のLED照明への更新や、契約条件によっては電子ブレーカーを活用した契約電力の見直しなど、比較的取り組みやすい対策から検討することが重要です。
国土交通省や環境省も、既存建築物の省エネ改修について、照明・空調などの設備更新、窓などの断熱性能向上、設備の運用改善といった複数の方法を組み合わせることが有効だとしています。
この記事では、マンションで取り組める省エネ対策について、電気設備の仕組みや安全面にも触れながら詳しく解説します。
Contents
マンションの省エネは「共用部」と「専有部」を分けて考える
マンションの省エネ対策を検討するとき、最初に整理しておきたいのが「共用部」と「専有部」の違いです。
共用部の省エネ
共用部とは、エントランス、廊下、階段、駐車場、駐輪場など、居住者が共同で使用する部分です。
マンションによっては、共用部の照明だけでなく、エレベーター、給水ポンプ、機械式駐車場、換気設備などにも電力が使われています。
これらの電気料金は一般的に管理組合側の支出となるため、共用設備の消費電力や電気契約を見直せば、管理費の支出削減につながる可能性があります。
特に築年数の経過したマンションでは、設備更新のタイミングに合わせて省エネ性能の高い機器へ切り替えることがポイントです。環境省も、省エネ改修には照明や空調設備の更新、断熱強化、運用改善などさまざまな方法があるとしています。
専有部の省エネ
各住戸では、エアコン、給湯器、冷蔵庫、照明などの使用量を減らすことが基本です。
さらに効果が期待できるのが窓の断熱です。環境省は、窓や外壁などの断熱性能を高めることで、暖房・冷房時に室内外へ移動する熱を抑えることが省エネにつながると説明しています。
ただし、マンションでは窓枠や窓ガラスなどが共用部分として扱われているケースがあります。
国土交通省のマンション管理に関する情報でも、窓枠・窓ガラスなどは専用使用権が設定された共用部分として扱われる場合があるため、工事前に各マンションの管理規約を確認する必要があります。
マンションの省エネで特におすすめしたい対策
マンションによって設備構成や電気の使用状況は異なります。そのため一律に「この設備を導入すれば必ず○%削減できる」と判断するのは適切ではありません。
そのうえで、多くの既存マンションで優先的に確認したいのが、LED照明と電気契約です。
1.共用部の照明をLEDへ更新する
マンションの省エネ対策として、まず検討したいのが共用部照明のLED化です。
エントランスや廊下、階段などは夜間を中心に長時間点灯するため、照明設備の効率改善が電力使用量の削減につながります。
資源エネルギー庁も、LED照明は省エネ性能の高い照明として位置付けており、人感センサーを利用すれば、人がいない時間帯の無駄な点灯も抑えられるとしています。
さらに、蛍光灯を使用しているマンションでは設備更新の重要性が高まっています。
経済産業省によると、水銀に関する国際的な規制を受け、一般照明用蛍光ランプは2026年から種類ごとに製造・輸出入規制が始まり、2027年末までに対象が拡大します。現在使用している蛍光灯を直ちに廃棄する必要はありませんが、国も計画的なLEDへの切り替えを推奨しています。
【電気設備の専門家視点】
LED化では「蛍光灯を外してLEDランプを付ければ終わり」と考えないことが重要です。
特に古い直管蛍光灯器具では、安定器やソケット、内部配線などが劣化している可能性があります。
日本照明工業会も、不適切な組み合わせによる事故を防止する観点から、既存蛍光灯器具をLED化するときは器具ごとの交換を推奨しています。
参照:日本照明工業会|蛍光灯器具をLED化する際はまるごと照明器具交換を推奨します
築年数が経過したマンションでは、ランプだけをLEDに交換するのではなく、照明器具本体の使用年数を確認したうえで、器具ごとの更新を検討するのがおすすめです。
2.電子ブレーカーで契約電力を見直す

マンション共用部の電気料金削減策として、条件が合えば大きな効果を期待できるのが電子ブレーカーの導入を含めた低圧電力契約の見直しです。
ただし、皆さんから「容量を下げてEVやポンプなどの設備が使えなくなったら怖い…」という不安な声です。導入にあたっては、マンションの最大稼動に合わせた調査を行い、設置後も試運転による二重チェックを行いブレーカーが落ちることはないのでご安心ください。
電子ブレーカーを導入する主な目的は、実際の負荷の使用状況に合わせて契約電力を適正化し、基本料金を削減することです。
東京電力エナジーパートナーでは、低圧電力の契約電力を決める方法として「負荷設備契約」と「主開閉器契約」を案内しています。主開閉器契約ではブレーカーの定格電流値をもとに契約電力を決めるため、多数の設備を保有していても、それらをすべて同時に使用しない場合には契約電力を下げられる可能性があります。
マンションでは、給水設備や機械式駐車場など複数の動力設備を設置しているケースがあります。こうした設備の稼働状況を調査し、現在の契約電力が実際の使用状況に対して過大になっていないかを確認することがポイントです。
そこで選択肢の一つになるのが電子ブレーカーです。
重要なのは「電子ブレーカーを付ければ必ず電気代が安くなる」と考えるのではなく、現在の契約方式、契約電力、設備容量、実際の同時使用状況を調査して導入可否を判断することです。
【電気設備の専門家視点】
電子ブレーカーを検討するときは、カタログ上の設備容量だけを見るのではなく、実際にどの設備が同時運転する可能性があるかを確認することが欠かせません。
契約電力を下げることだけを優先してブレーカー容量を小さくしすぎると、複数設備の同時運転時に遮断され、共用設備が停電する可能性があります。
東京電力も、主開閉器の定格を超える負荷を同時使用した場合、主開閉器が作動して停電するおそれがあるとして注意を促しています。
そのため、電子ブレーカー導入時には、負荷設備の確認や電流測定を行い、余裕を持った設計を行うことが重要です。
3.人感センサーやタイマーを活用する
照明器具をLEDへ交換したあと、さらに省エネ効果を高めたい場合は、人感センサーやタイマー制御も検討できます。
たとえば、利用者が少ない深夜帯の廊下や階段、駐輪場などでは、常時100%の明るさで点灯させる必要がない場合があります。
資源エネルギー庁も、人感センサー付き照明について、人の在・不在を検知することで無駄な点灯時間を抑えられるとしています。
ただし、防犯カメラの撮影環境や夜間の視認性、居住者の安全性とのバランスが必要です。単純に消灯時間を増やすのではなく、必要な場所では常夜灯を残すなど、実際の利用環境に合わせて設定しましょう。
4.エレベーターやポンプは更新時期に省エネ性能を確認する
エレベーター、給水ポンプ、換気設備などは、LED照明と比べて更新費用が大きくなります。
そのため、省エネだけを目的として早期に交換するのではなく、大規模修繕や設備更新のタイミングに合わせて高効率設備へ変更する方法が現実的です。
設備単体の価格ではなく、消費電力量、保守費用、交換部品、耐用期間などを含めたライフサイクルコストで比較することが重要です。
専有部・建物全体で検討したいマンションの省エネ対策
窓の断熱性能を高める
住戸内の冷暖房負荷を減らしたい場合は、窓の断熱改修が有効な選択肢になります。
国土交通省では、マンションの省エネ改修事例として窓ガラスの断熱改修などを紹介しており、環境省も窓を含む開口部の断熱改修を既存住宅の省エネ手法として位置付けています。
マンションでは、内窓であれば専有部分側から対応できる場合がありますが、外窓や窓ガラスの交換は管理規約との関係を確認しなければなりません。
「自宅だから自由に交換できる」と判断せず、管理組合や管理会社に事前確認することが大切です。
高効率エアコン・給湯設備へ更新する
専有部では、古いエアコンや給湯設備を高効率機器へ更新する方法もあります。
環境省の住宅脱炭素に関する案内でも、窓・外壁などの断熱改修と、高効率なエアコン・照明・給湯設備などの導入が住宅の省エネ性能向上策として紹介されています。
特に設備が故障してから慌てて交換すると、価格だけで機種を決めてしまいやすくなります。更新時期をある程度予測し、省エネ性能や能力を比較したうえで選定するのがおすすめです。
マンションの省エネ効果を高めるには「現状把握」が重要
省エネ設備を導入する前に、まず現在の電気使用状況を把握しましょう。
共用部については、最低でも過去1年間程度の電気料金明細を確認し、「使用電力量」と「契約電力・基本料金」を分けて見ることがポイントです。
ここを分ける理由は、対策によって削減できる費用が異なるためです。
LED照明は主として消費電力量の削減につながります。一方、電子ブレーカーを含む主開閉器契約の見直しは、条件が合えば主として契約電力と基本料金の適正化につながります。東京電力も、低圧電力の基本料金は契約電力の大きさに応じて決まると説明しています。
つまり、両者は同じ「電気代削減策」でも仕組みが違います。
そのため、
- 共用部の照明台数と点灯時間
- 蛍光灯・LEDの割合
- 現在の契約種別と契約電力
- エレベーターやポンプなどの設備容量
- 各設備の使用時間と同時運転状況
- 過去12か月程度の電気使用量と電気料金
などを確認してから優先順位を決めると、不要な設備投資を防ぎやすくなります。
マンションで省エネ工事を行う際の注意点
電子ブレーカーは「省エネ設備」とは限らない
電子ブレーカーについては、「付けるだけで使用電力量が減る」と誤解しないよう注意してください。
契約電力の適正化によって基本料金を削減することが主目的であり、実際の電力使用量がそのままであれば、使用電力量に応じた料金まで自動的に減るわけではありません。
また、契約条件や負荷状況によっては導入メリットが出ないマンションもあります。
導入前に削減額だけを提示する業者ではなく、現在の契約内容、設備一覧、測定結果、選定したブレーカー容量の根拠まで説明できる事業者を選ぶことが重要です。
LED更新は安全性まで確認する
既設蛍光灯器具を残してLEDランプだけに交換する工事では、器具とLEDランプの組み合わせや既存部品の劣化状態を確認する必要があります。
経済産業省も、直管形蛍光灯からLEDへ切り替える際には、ランプ交換だけでも工事が必要になる場合があるとして、電気店や工事店への相談を推奨しています。
特に設置から長期間経過している器具では、省エネだけでなく安全性や今後のメンテナンスを考え、器具ごとの交換を検討しましょう。
また、非常用照明や誘導灯は一般照明とは用途・基準が異なります。経済産業省も、非常用照明器具や誘導灯器具を一般照明用蛍光灯とは別の「特殊な照明用」として扱っています。
マンション全体の照明を一括更新するときも、防災設備を通常の廊下照明と同じ感覚で選定しないよう注意が必要です。
管理規約や総会決議を確認する
分譲マンションでは、個人の判断だけで工事を進められない設備があります。
特に共用部の設備更新や窓の改修などについては、管理規約、長期修繕計画、工事金額などによって管理組合内で必要となる手続きが異なります。
国土交通省も、マンションを適切に維持していくには、計画的な修繕計画と管理組合による運営が重要だとしています。
省エネ工事単体で考えるのではなく、長期修繕計画との整合性を確認することが大切です。
マンションの省エネを進める5つのステップ
マンションで省エネを進める場合は、いきなり設備業者へ「何か安くなるものを付けてほしい」と相談するより、次の順番で検討することをおすすめします。
まず、電気料金明細を集め、使用電力量と契約電力を確認します。次に、共用部の照明、ポンプ、エレベーター、駐車場設備などをリストアップし、それぞれの使用状況を確認します。
そのうえで、LED照明更新や電気契約の見直しなど、比較的投資回収を判断しやすい項目から試算します。
複数社から提案を受ける場合には、「年間○万円安くなります」という金額だけを比較するのではなく、試算条件、工事範囲、保証、保守費用、機器寿命、想定削減量まで比較してください。
最後に管理組合で合意形成を行い、必要な決議を経て工事を実施します。
まとめ
マンションの省エネには、LED照明、電子ブレーカーを含む電気契約の見直し、人感センサー、断熱窓、高効率空調・給湯設備など、さまざまな方法があります。
なかでも既存マンションの共用部では、LED照明への更新と、低圧電力を利用している場合の電子ブレーカー・契約電力の見直しを優先的に確認するのがおすすめです。
LED照明は消費電力量の削減につながり、電子ブレーカーは条件が合えば契約電力を適正化して基本料金を削減できる可能性があります。ただし、それぞれ効果が出る仕組みは異なります。
重要なのは、「導入すれば必ず安くなる」と考えないことです。
まず現状の電気料金と設備の使用状況を把握し、年間削減額、工事費、投資回収期間、安全性、保守性まで比較したうえで導入を判断しましょう。
なお、2025年4月以降に着工する新築住宅では、原則として省エネ基準への適合が義務化されています。既存マンションについても国は省エネ改修を支援しており、2026年度には断熱窓などを対象とする支援事業も実施されています。制度は年度によって対象・要件が変更されるため、工事を計画する際には必ず最新の公募要領を確認してください。
エネトクでは、マンションへの電子ブレーカーの導入実績や補助金を利用したLED照明更新への実績が多数ございます。「電子ブレーカーを導入していて更新の時期が近付いている」「マンションに削減の余地があるのか見てほしい」などまずはお気軽にご相談ください。

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