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更新日:2024/11/20
【事例あり】大学でオススメの省エネ方法3選!【これを押さえておけばOK】
近年、地球温暖化が原因とされる異常気象が頻繁に発生していることからも、省エネへの取り組みがより重要視されていることを、多くの人が実感しているのではないでしょうか。
国全体の取り組みとして、具体的な数値目標を持って取り組むべき省エネの取り組みについては、大学も積極的に行うことが期待されています。
しかし、「どのような取り組みをすべきか」「他の大学ではどのような取り組みがされているか」など、具体的に推進する上ではさまざまな疑問が出てくるかと思います。
この記事では、大学が省エネに取り組むべき理由やおすすめの取り組み内容、国内の大学での成功事例について解説します。
最後まで読むことで、明確になっていなかった大学での省エネ活動の推進方法を具体的に理解できるので、ぜひご一読ください。
Contents
大学が省エネに取り組むべき理由
大学が省エネに取り組むことは、大きな意義があることをご存知でしょうか。大学が省エネに取り組むべき主な理由は、以下の3点です。
- 地球温暖化への対応
- 関連法規への対応
- 大学経営の効率化
ここからは、これらについて詳細に解説します。
地球温暖化への対応
大学が積極的に省エネ対策に取り組む理由の一つは、地球温暖化への対応が課題となっているためです。
環境問題は人類の将来の生存と繁栄に直結し、特に地球温暖化はその中でも極めて深刻な問題と言われています。
「京都議定書」や「低炭素社会行動計画」においては、温室効果ガスの削減目標が掲げられ、2050年までには現状から60~80%の削減が求められています。
大学は「知の拠点」として、優れた人材の育成や独創的・先端的な研究成果を通じて社会に貢献し、国民の期待に応える存在であり、同時にエネルギー問題や地球温暖化といった環境課題においてもリーダーシップを発揮する必要があります。
大学のキャンパスは地域のエネルギー使用量の大きな事業所の一つであり、そのエネルギー使用が地球温暖化の原因となるCO2排出と密接に関連しています。
したがって、大学が積極的な省エネ対策を進めることで、CO2排出を削減し、地球温暖化に対する貢献を果たすことが期待されます。
これは大学が社会的責任を果たし、持続可能な未来の構築に向けた一環となります。
関連法規への対応
大学が省エネに取り組むべき理由として、関連法規への対応が必要であることも挙げられます。
1979年に「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)が制定され、国内全体が燃料資源の有効な利用とエネルギー使用の合理化を目指しています。
さらに、2002年と2008年には改正により、大学を含む全業種に規制が拡大され、大学単位でのエネルギー管理が導入されました。
特に、2008年の改正ではキャンパスごとのエネルギー管理が強化され、法律の対象となる年間エネルギー使用量が設定されました。
大学は法人単位として特定事業者とされ、エネルギー管理統括者やエネルギー管理企画推進者の選任が義務づけられ、定期的な書類の提出や省エネ対策の実施が求められます。
具体的な事項は、
- エネルギー管理統括者の選任届
- 中長期計画書
- 定期報告書の提出
- 判断基準1の遵守(管理標準2の設定、省エネ措置の実施等)
などが挙げられます。
また、年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減が求められ、これらの要件を満たすために大学は積極的な省エネ対策を実施する必要があります。
さらに、地方公共団体の条例や大学独自の自主規制も存在し、これらも併せて遵守することが要求されています。
京都議定書目標達成計画や環境自主行動計画など、これらの規制と連携しながら、法的な要件をクリアするために大学は関連法規への厳格な対応が不可欠です。
これにより、大学は社会的責任を果たし、地球温暖化への対応と環境保全に寄与することが求められています。
大学経営の効率化
大学が積極的に省エネ対策を進めるべきであるのには、大学経営の効率化が求められるという理由もあります。
一般的に、大学は多くの施設を保有しており、長時間にわたって稼働しているため、他の業種と比較しても相当なエネルギーを消費しています。
近年では、施設の新築や改築、空調の導入、情報通信機器の増加、高度な研究活動などが増加傾向にあり、これらがエネルギーの増加に寄与しています。
大学経営はますます厳しくなっており、施設の運営面での効率化が急務となっています。
省エネ対策を進めることで、エネルギー消費量の削減が可能となり、それに伴って光熱水費が抑制できます。
これにより、大学は運営コストの適正化を図り、限られた予算の中でより効果的な施策を展開できるようになります。
省エネ対策は単なる環境保全だけでなく、大学経営においても経済的な側面から見て重要であり、効率的かつ持続可能な経営を実現する一環となります。
大学で取り組める省エネおすすめ3選
大学でも省エネ活動が必要であることは理解いただけたかと思いますが、具体的にはどのような取り組みが効果的なのでしょうか。
ここからは、大学で取り組める省エネの取り組みを3つ解説します。
電力の見える化
大学での省エネの取り組みとしてまず重要なのは、エネルギー消費の最適化に向けて「電力の見える化」を行うことです。
これは、消費電力量をリアルタイムでモニタリングし、その情報を学生や教職員に公開することを指します。
見える化によって期待できる効果としては、無駄な電力使用が明らかになり、節電への意識が高められることが挙げられます。
これによって例えば、夜間や休日に無用な照明や機器が稼働していないかを確認し、必要に応じて電源を切るなどの対策が可能です。
また、データを基にした省エネ施策の計画や改善も容易になります。
この取り組みは、エネルギー効率の向上だけでなく、環境意識の育成にも役立ちます。
電力の見える化についてはこちら▽
空調の最適化
次に、大学の省エネ対策として重要なのが、空調の最適化です。
空調は大学の主要なエネルギー消費源の一つであり、特に大規模なキャンパスでは、その影響は他の事業者と比較しても大きくなります。空調の最適化は、温度設定の見直し、高効率の空調機器への更新、断熱材の改善などを行うことで実現します。
また、空調の使用を必要とするエリアと時間を限定し、無駄な稼働を減らすことも重要です。
例えば、講義がない教室や研究室では空調をオフにする、夏期や冬期の温度設定を調整するなどの方法が考えられます。
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オンライン講義の導入
最後に、大学が取り組むべき省エネ対策として、オンライン講義の導入が挙げられます。
オンライン講義により、学生や教員のキャンパスへの移動が減少し、交通に伴うエネルギー消費の削減が期待できます。
また、キャンパス内の施設使用が減少することで、照明や空調などのエネルギー消費も低減されます。さらに、オンライン講義は時間や場所の制約が少なく、学生の学習機会の拡大にも貢献します。ただし、オンライン講義の質を保ちつつ、対面講義とのバランスを適切に取ることが重要です。
この取り組みは、環境への負荷を減らすだけでなく、教育の質とアクセシビリティの向上にも寄与するため、省エネだけでなく総合的なメリットが大きくなります。
大学での省エネの成功事例
これまで概念的に省エネの必要性や具体的な推進方法について解説しましたが、実際には各大学でどのような取り組みがされているのでしょうか。
ここからは、すでに省エネに関する取り組みを実施し、効果を得られている大学での成功事例について解説します。
名古屋大学
名古屋大学では、「省エネアクト for ゼロカーボンキャンパス」と名付けられた活動を通して省エネを推進しています。
この活動は、キャンパス全体のエネルギー消費を削減し、地域社会に省エネ意識を示すことを目指しています。
この活動の中で、名古屋市の業務用事業者の中でエネルギー消費量が突出して1位である名古屋大学は、年間1%以上のエネルギー削減を目標としています。
2022年度の成果として、名古屋大学の主要3団地において、電気・ガスの総エネルギー使用量を5.7%削減することに成功しました。
この成功の理由に関して、具体的な取り組みなどはありません。
名古屋大学としては、大学構成員のひとりひとりの省エネ意識が高められたことによるものとされており、活動を通して意識啓発が正しく行われた結果であるとされています。
また、名古屋大学の「キャンパスマスタープラン2022」では、2030年度までに2013年度比で二酸化炭素排出量を51%削減するという目標が掲げられています。
さらに、2023年度は、これまでの地道な省エネ・節電活動を徹底し、さらなる取り組みを行うと同時に、施設整備による省エネ・節電対策にも重点を置いて活動を行う方針を示しています。
このように、名古屋大学は継続的かつ積極的に省エネ活動を推進しており、エネルギー消費の削減と環境影響の軽減に努めています
参考:https://web-honbu.jimu.nagoya-u.ac.jp/fmd/03energy/setuden/index.html
早稲田大学
早稲田大学では、WASEDA Carbon Net Zero Challenge 2030sを宣言し、様々な取り組みを行っています。
ロードマップに従って、「最先端研究」「人材育成」「キャンパスのカーボンニュートラル達成」それぞれの分野でカーボンニュートラルの実現に取り組んでいます。
取り組みの一環として、2021年9月から、キャンパスにおいて建物ごとに電力の見える化により電力使用量の計測を開始しています。
季節ごとや時間ごとに電力使用量を見える化する事で、省エネへの意識向上に繋げる事ができ、号館毎の比較対照が可能となりました。
▼詳しくはこちら
【導入事例】学校法人早稲田大学
特にキャンパスのカーボンニュートラル達成に向けて、キャンパスの電力使用量を「見える化」することで省エネへの意識を向上させることを目的に、EM CLOUDの見える化プランを導入しました。…
https://enetoku-navi.com/list?id=%e6%97%a9%e7%a8%b2%e7%94%b0%e5%a4%a7%e5%ad%a6
東京大学
東京大学では、サスティナブルキャンパスプロジェクト(TSCP)を通じて、2030年までに2006年度比でCO2排出量を50%削減するという目標を掲げています。
このプロジェクトは2008年に始まり、CO2排出量の削減を主な焦点として活動を展開しています。
しかし、東京大学の環境報告書によると、CO2排出量は2006年度と比較して増加してしまいました。
この増加の原因は、東京大学の教育と研究活動の活発化、2011年の東日本大震災後の東京電力の原子力発電所の運転停止に伴い、電力供給におけるCO2排出係数が上昇したためです。
このような状況に対処するため、TSCPチームは省エネ設備の導入と改善に取り組んでいます。
具体的には、キャンパス内の照明をLEDに変更し、空調設備を更新することでエネルギー効率を向上させています。
震災前のCO2排出係数を基準にした場合、これらの取り組みによりCO2排出量は横ばいまたは減少傾向にあることが示されています。
ただし、これらの取り組みは限られた財源の中で行われており、全ての建物に対して十分な環境対策を実施するには資金が不足しています。
そのため、TSCPチームは現在、各部局から光熱費の4%を徴収し、それを活動資金としていますが、より広範な施策を行うためには国からの補助金の調達も視野に入れています。
参考:https://www.todaishimbun.org/ecology_20211103/
千葉商科大学
千葉商科大学は「自然エネルギー100%」を目指し、再生可能エネルギーによる自給自足を目指して省エネ活動に取り組んでいます。
この活動を通して、千葉商科大学は2013年に千葉県野田市にメガソーラー発電所を建設し、日本の大学としては最大規模の太陽光発電事業を開始しました。
この発電所の建設により、大学が消費する電力の大部分を再生可能エネルギーで賄うことが可能になりました。
初年度の発電実績は、市川キャンパスで消費される電力の77%に相当し、残りの23%を省エネや創エネで補うことにより、自然エネルギー100%の目標達成を見事に目指しました。
また、2019年には、「RE100大学」として、再生可能エネルギーによる発電量と消費する電力量を同量にすることを実現しました。
この成果は、メガソーラー野田発電所からの発電量を基盤とし、市川キャンパス内の屋上太陽光発電と併用することで達成されました。
さらに、この取り組みを通じて、キャンパス内でのソーラーシェアリングを行い、地元産のオリジナルワイン造りにも取り組んでいます。
参考:https://ondankataisaku.env.go.jp/re-start/interview/43/
まとめ
省エネは地球全体で取り組むべき活動ですが、他の事業所と比べてエネルギー消費における規模が大きい大学が取り組むことで、その貢献度は大きな割合となります。
具体的な省エネの推進方法や他の大学での成功事例も参考にしながら、積極的に大学での省エネの取り組みの推進をおこないましょう。