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更新日:2026/06/12
農業の省エネ対策12選|施設園芸・ハウス栽培の電気代・燃料費を削減する方法
農業では、暖房・加温設備、換気扇、循環扇、ポンプ、照明、冷蔵設備など、さまざまな設備でエネルギーを使用します。特に施設園芸やハウス栽培では、冬場の加温や夜間の保温に多くの燃料・電力を使うため、電気代や燃料費の負担が大きくなりやすい傾向があります。
農業の省エネ対策では、まず「暖房・加温設備」「ハウスの保温」「換気・循環」「LED照明」「ポンプ・モーター」「電力契約」「太陽光発電・蓄電池」の見直しが重要です。日々の運用改善から設備更新まで、複数の対策を組み合わせることで、エネルギーコストの削減につながります。
本記事では、農業で実践できる省エネ対策を、施設園芸・ハウス栽培を中心に解説します。電気代や燃料費を削減したい農業従事者・農業法人の方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
農業で省エネ対策が必要な理由
農業で省エネ対策が必要な理由は、電気代や燃料費などのエネルギーコストが経営に大きく影響するためです。農業では、作物の生育環境を維持するために、暖房・換気・灌水・照明などの設備を継続的に使用します。そのため、エネルギー価格が上昇すると、生産コストが増加し、収益を圧迫する原因になります。
特に施設園芸やハウス栽培では、気温が低い時期に加温設備を使用するため、燃料費の負担が大きくなります。また、換気扇や循環扇、ポンプ、照明なども長時間稼働するため、電気代の削減も重要な課題です。
省エネ対策は、単に電気や燃料の使用量を減らすだけではありません。作物の生育環境を適切に保ちながら、無駄なエネルギー消費を抑えることが重要です。設備の使い方や運転時間を見直すことで、品質や収量を維持しながらコスト削減を目指せます。
電気代・燃料費の削減が経営改善につながる
農業経営では、種苗費、肥料費、資材費、人件費など、さまざまなコストが発生します。その中でも、電気代や燃料費は毎月継続して発生する固定費・変動費の一つです。特にハウス栽培では、冬場の暖房費や換気・灌水設備の電気代が大きな負担になることがあります。
売上をすぐに大きく伸ばすことは簡単ではありませんが、エネルギーコストを削減できれば、その分だけ利益を確保しやすくなります。たとえば、暖房機の運転時間を見直したり、ハウスの保温性を高めたり、契約電力を適正化したりすることで、毎月のコスト削減につながる可能性があります。
省エネ対策は、一度実施すると長期的に効果が続きやすい点もメリットです。設備更新には初期費用がかかる場合もありますが、削減できる電気代・燃料費と比較しながら導入を検討することで、経営改善につなげられます。
施設園芸では加温・換気・照明のエネルギー使用量が多い
施設園芸では、作物に適した温度・湿度・光環境を維持するために、多くのエネルギーを使用します。特に冬場は、ハウス内の温度を一定以上に保つために暖房機やヒートポンプを稼働させる必要があります。
また、ハウス内の温度ムラや湿度ムラを抑えるために、換気扇や循環扇を使用するケースもあります。さらに、日照時間が短い時期や植物工場では、補光用LED照明などを活用する場合もあり、電気使用量が増えやすくなります。
これらの設備は作物の生育に欠かせない一方で、使い方によっては無駄なエネルギー消費が発生します。必要以上に加温していないか、換気や循環のタイミングが適切か、照明時間が過剰になっていないかを確認することが、省エネの第一歩です。
脱炭素・環境配慮の取り組みとしても重要
農業の省エネ対策は、コスト削減だけでなく、脱炭素や環境配慮の観点からも重要です。燃料や電気の使用量を削減することで、CO2排出量の削減につながります。
近年は、食品や農産物に対しても、環境に配慮した生産体制が求められるようになっています。省エネや再生可能エネルギーの活用に取り組むことで、取引先や消費者に対して、持続可能な農業を実践していることを示しやすくなります。
また、太陽光発電や蓄電池を活用すれば、電気代削減だけでなく、停電時の備えとしても役立つ場合があります。省エネ対策は、経営の安定化と環境負荷の低減を両立する取り組みといえるでしょう。
農業で電気代・燃料費が高くなりやすい原因
農業で電気代・燃料費が高くなりやすい原因は、エネルギーを使用する設備が多く、稼働時間も長いことです。特に施設園芸では、気温や日射量などの外部環境に左右されやすく、作物の生育環境を維持するために多くのエネルギーを必要とします。
暖房・加温設備、換気扇、循環扇、灌水ポンプ、照明、冷蔵設備などは、農業に欠かせない設備です。しかし、古い設備を使い続けていたり、運転時間が実態に合っていなかったりすると、必要以上に電気や燃料を消費してしまいます。
また、電力契約が現在の使用状況に合っていない場合も、電気代が高くなる原因になります。使用量の削減だけでなく、契約内容や基本料金の見直しも重要です。
暖房・加温設備の使用量が多い
施設園芸やハウス栽培では、冬場や夜間に暖房・加温設備を使用するため、燃料費が高くなりやすい傾向があります。特にトマト、イチゴ、花き類など、一定の温度管理が求められる作物では、加温にかかるコストが大きくなります。
暖房機の燃焼効率が低下している、ハウスの隙間から熱が逃げている、内張カーテンを適切に使えていないといった状態では、必要以上に燃料を消費してしまいます。まずは、暖房機の点検や清掃、ハウスの保温性の確認から始めることが大切です。
また、温度設定が高すぎる場合も、燃料費増加の原因になります。作物に必要な温度を確認し、時間帯や生育段階に応じて温度管理を見直すことで、無駄な加温を抑えられます。
換気扇・循環扇・ポンプの稼働時間が長い
農業では、換気扇、循環扇、灌水ポンプ、給水ポンプなど、多くの電動設備を使用します。これらの設備は1台あたりの消費電力が大きくなくても、長時間稼働することで電気代が積み重なります。
たとえば、換気扇や循環扇を必要以上に稼働させていると、電気代が増えるだけでなく、暖房した空気を外へ逃がしてしまう場合もあります。ポンプについても、稼働時間や運転タイミングが適切でないと、無駄な電力消費につながります。
タイマー制御やセンサー制御を活用し、必要な時間帯に必要な分だけ稼働させることが重要です。設備ごとの稼働時間を把握し、過剰な運転がないか確認しましょう。
照明や冷蔵設備を長時間使用する
農業では、作業場、倉庫、選果場、植物工場、ハウス内の補光設備などで照明を使用します。古い蛍光灯や水銀灯を使い続けている場合、LED照明に交換することで電気代削減が期待できます。
また、収穫物の保管や出荷前の品質維持のために、冷蔵設備を使用している農業法人もあります。冷蔵庫・冷蔵倉庫は長時間稼働するため、設定温度や扉の開閉、設備の劣化によって電気使用量が大きく変わります。
照明や冷蔵設備は、日常的に使うため見直しが後回しになりがちです。しかし、使用時間が長い設備ほど、省エネ対策による削減効果が出やすいため、優先的に確認しましょう。
電力契約が実態に合っていない
農業の電気代が高くなる原因として、電力契約が実態に合っていないケースもあります。特に、ポンプ、換気扇、冷蔵設備、空調設備などを複数使用している場合、契約電力や基本料金が過大になっている可能性があります。
電気料金は、使用した電力量だけでなく、契約内容や基本料金によっても変わります。設備の使い方が変わった、稼働時間が減った、事業規模が変わったにもかかわらず契約を見直していない場合は、不要なコストを支払っているかもしれません。
低圧電力・高圧電力の契約種別や契約電力を確認し、現在の使用状況に合っているかを見直すことが大切です。
農業で効果的な省エネ対策一覧
農業の省エネ対策は、費用をかけずに始められる運用改善と、設備導入・契約見直しによる対策に分けられます。まずは、現在の設備の使い方を見直し、削減余地が大きい部分から優先的に取り組むことが重要です。
以下は、農業で効果が期待できる主な省エネ対策です。
| 省エネ対策 | 対象設備・項目 | 始めやすさ | 効果の期待度 |
|---|---|---|---|
| 暖房機の点検・清掃 | 加温設備 | ◎ | 中 |
| ハウスの隙間補修 | 保温対策 | ◎ | 中 |
| 内張カーテン・多層被覆の活用 | ハウス保温 | ○ | 高 |
| 循環扇の活用 | 温度ムラ対策 | ○ | 中 |
| 換気の最適化 | 換気設備 | ◎ | 中 |
| LED照明への交換 | 照明 | ○ | 高 |
| ポンプ・モーターの高効率化 | 灌水・給水設備 | ○ | 中〜高 |
| 電力契約の見直し | 電気料金 | ○ | 高 |
| デマンド管理 | 高圧契約 | ○ | 高 |
| ヒートポンプの導入 | 暖房・冷房 | △ | 高 |
| 太陽光発電の導入 | 電力調達 | △ | 高 |
| 蓄電池の導入 | 電力活用・BCP | △ | 中〜高 |
| エネルギー使用量の見える化 | 全体管理 | ○ | 高 |
省エネ対策は、1つだけ実施するよりも、複数の対策を組み合わせることで効果が高まりやすくなります。特に施設園芸では、保温性の向上、暖房効率の改善、電力使用量の把握、契約内容の見直しをセットで進めることが大切です。
今すぐできる農業の省エネ対策
農業の省エネ対策というと、ヒートポンプや太陽光発電などの設備導入をイメージする方も多いかもしれません。しかし、費用をかけずに始められる対策もあります。
まずは、現在使用している設備やハウスの状態を確認し、無駄なエネルギー消費が発生していないかを見直しましょう。小さな改善でも、毎日続けることで電気代や燃料費の削減につながります。
暖房機・空調設備を清掃する
暖房機や空調設備は、汚れや劣化によって効率が低下します。フィルター、吸気口、吹出口、燃焼部分などにホコリや汚れがたまると、必要な能力を発揮できず、余計な燃料や電力を使用する原因になります。
定期的に清掃・点検を行うことで、設備本来の効率を維持しやすくなります。特に冬場に暖房機を長時間使用する施設園芸では、シーズン前の点検が重要です。
また、異音や燃焼不良、温まりにくさを感じる場合は、早めに専門業者へ点検を依頼しましょう。故障を未然に防ぐことで、エネルギーの無駄だけでなく、急な設備停止のリスクも抑えられます。
ハウスの隙間やフィルム破れを補修する
ハウスの隙間やフィルムの破れは、暖房効率を下げる大きな原因です。せっかく加温しても、隙間から暖かい空気が逃げてしまうと、室温を維持するために余計な燃料を使うことになります。
ドア周辺、サイド、天窓、換気口、フィルムの継ぎ目などを確認し、隙間や破れがあれば補修しましょう。小さな破れでも、長時間の暖房運転では大きなロスにつながる可能性があります。
保温性を高めることは、燃料費削減だけでなく、ハウス内の温度安定にも役立ちます。作物へのストレスを抑えながら、省エネを進めるためにも、ハウスの状態確認は定期的に行いましょう。
内張カーテンの開閉時間を見直す
内張カーテンは、ハウス内の熱を逃がしにくくする有効な省エネ対策です。ただし、設置しているだけでは十分な効果を発揮できません。開閉のタイミングを適切に管理することが重要です。
夜間や外気温が低い時間帯には内張カーテンを閉めることで、放熱を抑えられます。一方で、日中は日射を取り入れるために開けるなど、天候や時間帯に応じた運用が必要です。
開閉が遅れたり、閉め忘れたりすると、省エネ効果が下がります。作業ルールを決める、タイマーや自動制御を活用するなど、安定して運用できる仕組みを整えましょう。
換気扇・循環扇の運転時間を最適化する
換気扇や循環扇は、ハウス内の温度・湿度・空気環境を整えるために必要な設備です。しかし、必要以上に運転すると、電気代が増えるだけでなく、暖房した空気を逃がしてしまう場合があります。
換気は、温度や湿度、CO2濃度などを確認しながら、必要なタイミングで行うことが大切です。循環扇も、ハウス内の温度ムラを減らす目的で効果的に使えば、暖房効率の改善につながります。
タイマーやセンサーを活用すれば、過剰な運転を防ぎやすくなります。作物の生育環境を維持しつつ、無駄な運転時間を減らすことが省エネにつながります。
農業の電気代を削減する方法
農業の電気代を削減するには、照明やポンプなどの設備効率を高めるだけでなく、電力契約やピーク電力の管理も重要です。特に、ポンプ、換気扇、冷蔵設備、空調設備を使用している農業法人では、基本料金の見直しによって削減余地が見つかる場合があります。
電気代は、電気使用量に応じて発生する電力量料金と、契約内容に応じて発生する基本料金で構成されます。そのため、省エネ対策では「使用量を減らすこと」と「契約を適正化すること」の両方が大切です。
農業の電気代を削減するには、使用量の削減だけでなく、契約電力の確認も重要です。契約電力の確認方法や変更の流れについては、関連記事「契約電力の調べ方」をご覧ください。
LED照明に交換する
農業で使用する照明をLEDに交換することで、電気代の削減が期待できます。作業場、倉庫、選果場、植物工場、補光設備など、照明の使用時間が長い場所ほど効果が出やすくなります。
LED照明は、従来の照明に比べて消費電力が少なく、寿命も長い点が特徴です。交換頻度を減らせるため、電気代だけでなくメンテナンスの手間や交換費用の削減にもつながります。
植物工場や補光用途で使用する場合は、作物に合わせた光量や波長、照射時間の調整も重要です。単に明るくするのではなく、生育環境に合った照明設計を行うことで、省エネと生産性向上の両立を目指せます。
ポンプ・モーターを高効率化する
灌水ポンプ、給水ポンプ、循環ポンプなどは、農業で頻繁に使用される設備です。長時間稼働することが多いため、効率の悪いポンプやモーターを使っていると、電気代が高くなる原因になります。
古いポンプを使用している場合は、高効率タイプへの更新を検討しましょう。また、必要以上の能力を持つ設備を使っている場合も、電力の無駄につながります。使用水量や稼働時間に合った設備を選ぶことが重要です。
運用面では、タイマー制御や自動制御を活用することで、不要な稼働を減らせます。稼働時間を記録し、必要な時間だけ運転する仕組みを作ることで、電気代削減につながります。
電力契約を見直す
農業の電気代削減では、電力契約の見直しも重要です。設備の運用を改善しても、契約電力や基本料金が実態に合っていなければ、電気代が高止まりする可能性があります。
まずは、現在の契約種別、契約電力、基本料金、電力量料金を確認しましょう。低圧電力を契約しているのか、高圧電力を契約しているのかによって、見直すべきポイントは異なります。
特に、事業規模や設備の使い方が変わったにもかかわらず契約を見直していない場合は、削減余地があるかもしれません。契約内容が適正かどうか判断が難しい場合は、専門会社に診断を依頼するのも有効です。
デマンド値を管理する
高圧電力を契約している農業施設では、デマンド値の管理が重要です。デマンド値とは、一定時間内の最大需要電力を示すもので、基本料金に影響します。
一時的に多くの設備を同時稼働させると、デマンド値が上がり、基本料金が高くなる可能性があります。たとえば、ポンプ、換気扇、空調、冷蔵設備などを同じ時間帯に集中して稼働させている場合は注意が必要です。
デマンド監視装置やデマンドコントローラーを活用すれば、ピーク電力を把握しやすくなります。設備の稼働タイミングをずらすことで、作業に支障を出さずに基本料金削減を目指せます。
エネルギー使用量の見える化でムダを把握する
農業の省エネ対策を効果的に進めるには、どの設備が、いつ、どれくらいエネルギーを使っているのかを把握することが重要です。感覚だけで節電を進めると、本当に削減効果が大きい設備を見落としてしまう可能性があります。
エネルギー使用量を見える化することで、夜間の不要な稼働、ピーク時間帯の電力集中、設備ごとの使用状況などを確認できます。データに基づいて対策を進めることで、作物の生育環境を保ちながら効率的に省エネを進められます。
時間帯別の電力使用量を確認する
時間帯別の電力使用量を確認すると、どの時間帯に電気を多く使っているのかが分かります。たとえば、早朝や夜間に使用量が高い場合、暖房、照明、ポンプ、冷蔵設備などが影響している可能性があります。
また、作業していない時間帯に電力使用量が高い場合は、設備の消し忘れや不要な稼働が発生しているかもしれません。時間帯別に確認することで、具体的な改善ポイントを見つけやすくなります。
省エネ対策では、まず現状を把握することが重要です。電気使用量の推移を確認し、削減できる時間帯や設備を特定しましょう。
EMSで設備ごとの使用状況を把握する
EMSを活用すれば、設備ごとのエネルギー使用状況を把握しやすくなります。暖房、換気扇、ポンプ、照明、冷蔵設備など、どの設備がどれくらい電力を使っているかを確認できれば、優先的に見直すべき設備が明確になります。
設備ごとの使用量が分かると、不要な運転や過剰な稼働を発見しやすくなります。たとえば、換気扇の稼働時間が長すぎる、ポンプが必要以上に動いている、照明が消し忘れられているといった問題を把握できます。
データをもとに改善を進めることで、経験や勘だけに頼らない省エネ対策が可能になります。
スマート農業で省エネと生産性向上を両立する
スマート農業では、センサーやICTを活用して、温度、湿度、CO2濃度、日射量、土壌水分などを管理します。これらのデータを活用すれば、作物に必要な環境を維持しながら、無駄なエネルギー使用を抑えやすくなります。
たとえば、温度データに基づいて暖房を制御したり、湿度やCO2濃度に応じて換気を調整したりすることで、過剰な運転を防げます。灌水についても、土壌水分に応じて最適なタイミングで行えば、ポンプの無駄な稼働を減らせます。
省エネと生産性は対立するものではありません。データを活用して環境制御を最適化することで、品質や収量を維持しながら、エネルギーコスト削減を目指せます。
農業で太陽光発電・蓄電池を活用する方法
農業では、太陽光発電や蓄電池を活用することで、電気代削減や停電対策につなげられる場合があります。ハウス、倉庫、作業場、選果場などに電気を使用する農業法人では、発電した電気を自家消費することで、購入電力量を抑えられる可能性があります。
ただし、太陽光発電には設置スペースや日射条件、電力使用量とのバランスが重要です。導入前には、発電量と使用量をシミュレーションし、費用対効果を確認しましょう。
自家消費型太陽光発電で購入電力量を減らす
自家消費型太陽光発電は、発電した電気を自社施設で使用する方法です。農業では、日中にポンプ、換気扇、冷蔵設備、選果機、作業場の照明などを使用することが多いため、発電した電気を活用しやすい場合があります。
電力会社から購入する電力量を減らせれば、電気代削減につながります。特に、日中の電気使用量が多い農業法人では、自家消費型太陽光発電との相性がよい可能性があります。
ただし、発電量は天候や季節によって変動します。導入前には、年間の電気使用量、使用時間帯、設置場所、屋根の強度などを確認することが大切です。
日中にポンプや換気扇、冷蔵設備などを使用する農業施設では、自家消費型太陽光発電によって購入電力量を削減できる可能性があります。仕組みやメリットについては、関連記事「自家消費型太陽光発電とは?」もご覧ください。
営農型太陽光発電を活用する
営農型太陽光発電は、農地の上部に太陽光パネルを設置し、農業と発電を両立する方法です。ソーラーシェアリングとも呼ばれ、農地を活用しながら再生可能エネルギーを導入できる点が特徴です。
営農型太陽光発電では、作物への日射量、パネルの設置間隔、農作業のしやすさなどを考慮する必要があります。作物によっては日陰の影響を受けやすいため、栽培品目との相性を確認することが重要です。
また、農地で実施する場合は、制度上の手続きや許可が必要になるケースがあります。導入を検討する際は、専門業者や自治体に確認しながら進めましょう。
蓄電池で停電対策・BCP対策にも備える
蓄電池を導入すると、太陽光発電でつくった電気をためておき、必要な時間帯に使用できます。日中に発電した電気を夕方以降に使ったり、停電時の非常用電源として活用したりできる点がメリットです。
農業では、停電によって換気扇、ポンプ、冷蔵設備、環境制御装置などが停止すると、作物や収穫物に影響が出る可能性があります。そのため、蓄電池は電気代削減だけでなく、BCP対策としても検討する価値があります。
ただし、蓄電池は導入費用が高くなりやすいため、使用目的を明確にすることが重要です。停電対策を重視するのか、電気代削減を重視するのかによって、必要な容量や運用方法が変わります。
農業の省エネ設備導入で使える補助金・支援制度
農業の省エネ設備は、導入費用が高くなる場合があります。そのため、ヒートポンプ、LED照明、太陽光発電、蓄電池、EMSなどを導入する際は、国や自治体の補助金・支援制度を確認しましょう。
補助金を活用できれば、初期費用の負担を抑えながら省エネ設備を導入しやすくなります。ただし、対象設備、申請条件、申請期間、予算上限は制度によって異なります。
また、補助金は設備を購入・契約した後では申請できない場合もあります。導入を検討している場合は、見積もりや契約の前に最新情報を確認することが大切です。
高効率空調・ヒートポンプ
施設園芸で燃料費削減を目指す場合、高効率空調やヒートポンプが補助対象になる可能性があります。ヒートポンプは導入費用がかかるため、補助金を活用できるかどうかで費用対効果が変わることがあります。
導入前には、既存の暖房設備との併用方法や、想定される燃料削減量を確認しましょう。補助金の対象となる設備仕様や要件も制度によって異なるため、事前確認が必要です。
LED照明
作業場、倉庫、植物工場、補光設備などで使用するLED照明も、省エネ設備として補助対象になる場合があります。照明は使用時間が長いほど削減効果が出やすいため、補助金を活用して導入できれば、投資回収の負担を抑えやすくなります。
特に植物工場や補光用途では、照明の性能が生育にも影響するため、価格だけでなく、光量、波長、照射範囲、制御機能なども確認しましょう。
太陽光発電・蓄電池
太陽光発電や蓄電池は、電気代削減やBCP対策に役立つ設備です。自治体や制度によっては、農業法人や事業者向けの支援対象になる場合があります。
ただし、太陽光発電は設置条件によって発電量が変わり、蓄電池は容量や用途によって費用が大きく異なります。補助金の有無だけで判断せず、年間の削減効果や運用方法も含めて検討しましょう。
スマート農業・EMS
スマート農業やEMSに関する設備も、支援制度の対象になる場合があります。センサー、環境制御装置、電力の見える化システムなどを活用すれば、省エネと作業効率化を同時に進めやすくなります。
農業の省エネでは、単に設備を入れるだけでなく、データを活用して運用を改善することが重要です。補助金を活用する場合も、導入後にどのようなデータを取得し、どのように改善へつなげるかを考えておきましょう。
農業の省エネ成功事例
農業の省エネ対策は、栽培品目、施設規模、地域の気候、使用設備によって効果が異なります。ここでは、代表的な省エネ事例として、スマート農業、LED照明、ヒートポンプ、太陽光発電の活用例を紹介します。
事例を見る際は、「どの設備を導入したか」だけでなく、「どのコストを削減したか」「作物の生育環境にどのような影響があったか」を確認することが重要です。
スマート農業による省エネ事例
スマート農業では、温度、湿度、CO2濃度、日射量、土壌水分などをセンサーで計測し、データに基づいて環境制御を行います。これにより、必要以上の暖房、換気、灌水を抑えやすくなります。
たとえば、温度データをもとに暖房機の稼働タイミングを調整すれば、過剰な加温を防げます。また、湿度やCO2濃度を見ながら換気を行うことで、換気しすぎによる熱損失を抑えられます。
データを活用した管理は、省エネだけでなく、作物の品質安定や作業効率化にもつながります。
LED照明による消費電力削減事例
植物工場や補光設備でLED照明を導入すると、従来照明に比べて消費電力を抑えられる可能性があります。LEDは寿命が長いため、交換頻度の削減にもつながります。
また、作物に合わせて光量や照射時間を調整できる照明を導入すれば、必要な光を必要な時間だけ与えることができます。これにより、過剰な照明使用を抑えながら、生育環境を管理しやすくなります。
照明の省エネでは、単純にLEDへ交換するだけでなく、照射時間や設置位置、作物との距離などを適切に設計することが重要です。
ヒートポンプ導入による燃料費削減事例
施設園芸では、ヒートポンプを燃油暖房機と併用することで、燃料費を削減できる場合があります。特に、暖房負荷が比較的小さい時間帯にヒートポンプを活用すれば、燃油使用量を抑えやすくなります。
ヒートポンプは冷房や除湿にも活用できる場合があり、年間を通じた環境制御に役立ちます。ただし、導入効果はハウスの規模、栽培品目、地域の気候、電力契約によって変わります。
導入前には、現在の燃料使用量や電気代を確認し、どの程度の削減効果が見込めるかを試算しましょう。
農業の省エネ対策を始める前のチェックリスト
省エネ対策を始める前に、まずは自社・自園の状況を確認しましょう。以下の項目に当てはまる場合は、電気代や燃料費を削減できる余地があるかもしれません。
- 暖房機や空調設備を定期的に清掃していない
- ハウスのフィルムに破れや隙間がある
- 内張カーテンの開閉ルールが決まっていない
- 換気扇や循環扇を長時間つけっぱなしにしている
- ポンプの稼働時間を把握していない
- 古い照明を使い続けている
- LED照明への交換を検討していない
- 冷蔵設備の設定温度や稼働状況を見直していない
- 電力契約を数年以上見直していない
- 契約電力や基本料金を把握していない
- デマンド値を確認していない
- 時間帯別の電力使用量を把握していない
- 太陽光発電や蓄電池の導入効果を試算していない
- 省エネ設備の補助金を確認していない
複数の項目に当てはまる場合は、設備の使い方や契約内容を見直すことで、コスト削減につながる可能性があります。まずは現状のエネルギー使用量を把握し、削減効果が大きい部分から優先的に対策しましょう。
農業の省エネ成功事例
ここからは農業で省エネに成功した事例を2つ紹介します。
【伊藤観葉園】低圧電力の見直しにより無駄を省き、太陽光発電でさらなるコスト削減に成功
千葉県山武市にハウスを構える農家様です。
代表様と息子様で農業を営んでおり、多種類の野菜や野菜の苗、パンジーなどを生産しています。
周りでも太陽光を設置している方々がいたので、当初は「お話を聞くだけ」だと思い、営業担当の方に来てもらいました。
その時はFIT制度の事も詳しく知らず、本当に話を聞くだけのつもりでしたが「昼間に貯めた電気を売電出来る」ことを知り、導入を決めました。
【大澤 敏弥 様】電子ブレーカーを導入!削減額は小さくても、信頼できる営業のひと言で導入決定
千葉県四街道市で”冬のトマト”をメインに栽培している農家様です。
代表者様はとてもお人柄が良く、楽しそうに農業を営んでおられる姿が印象的でした。
基本料金が安くなることが決め手でした。
今まで特に電気代は気にしておらず、どちらかというと油の値段の方が気になっていた。
電気料金はどうしたら削減できるかわからないままそのままにしていて、削減はそんなに大きくはないけど営業担当の人柄も良く、しっかりと説明してくれたので信じて導入を決めました。
電子ブレーカーを導入したことで低圧電力の基本料金だけで年間63,954円の削減に成功しました。
まとめ|農業の省エネは電気代・燃料費の見直しから始めよう
農業の省エネ対策では、暖房・加温設備、ハウスの保温、換気扇、循環扇、ポンプ、LED照明、電力契約、太陽光発電・蓄電池などを総合的に見直すことが重要です。
特に施設園芸やハウス栽培では、冬場の加温に多くの燃料を使用するため、燃料費削減が経営改善に直結します。内張カーテンや多層被覆で保温性を高める、暖房機を清掃する、ヒートポンプを併用するなど、複数の対策を組み合わせることで省エネ効果を高められます。
また、電気代を削減するには、LED照明や高効率ポンプの導入だけでなく、電力契約やデマンド値の見直しも重要です。エネルギー使用量を見える化すれば、どの設備に無駄があるのかを把握しやすくなります。
農業の省エネ対策は、作物の品質や収量を維持しながら進めることが大切です。まずは現在の設備や契約内容を確認し、自社に合った方法で電気代・燃料費の削減を目指しましょう。
ハウス栽培・施設園芸の電気代や燃料費でお悩みの場合は、無料診断を活用し、どの設備や契約に削減余地があるか確認することをおすすめします。

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