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中小企業が取り組むべきBCP対策とは?業種別の対策事例と実践ポイントを解説

企業が取り組むべきBCP対策とは?業種別の対策事例と実践ポイントを解説

エネトク編集部

エネトクは全国15,000件以上の法人様に省エネ・コスト削減の支援実績があります。あらゆる業種に対応できる専門性高いコンサルタントがエネルギーコストにまつわる様々なお悩みに合わせて、省エネのフルサポートをおこなっています。

近年、激甚化する自然災害やパンデミック、さらにはサイバー攻撃といった多様なリスクが、企業の事業継続に深刻な影響を及ぼしています。

こうした環境下において、企業がその業務を中断させることなく持続させるためには、体系的かつ実行可能なBCPの構築が不可欠です。

BCP対策は、企業が緊急事態に備えて、事業を継続できるよう準備しておくことです。

単なる災害時対応マニュアルではなく、経営資源の最適配分や供給責任の履行、企業価値の維持・向上に資する「経営戦略の一部」として捉えるべきものです。

本記事では、BCPの基本的な枠組みから、業種別の対策事例、中小企業における実践的アプローチまでを網羅的に解説。

あらゆる業態の事業者が、自社の特性に即した事業継続体制を構築するための実務的な指針を提供します。

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BCP対策とは?中小企業が知るべき基本とその目的

BCP(事業継続計画)の意味と背景

BCP(Business Continuity Plan)とは、地震・台風・感染症・サイバー攻撃など、企業活動に大きな影響を与えるリスクが発生した際に、事業を継続または早期に復旧させるための計画です。

BCPの目的は、重要な業務を止めないこと、また止まった場合でもできるだけ早く再開することにあります。

従業員や顧客の安全確保はもちろん、企業の信用を守るためにもBCPの策定は不可欠です。

特に中小企業は大規模災害が経営に直結するため、リスクを最小限に抑える備えが重要です。
BCPは、単なる災害対策ではなく、「企業の存続をかけた戦略的経営判断」であるといえます。

BCPとBCMの違いとは?

BCP(事業継続計画)は計画書そのものであり、非常時に事業をどう守るかを記載した文書です。

一方、BCM(Business Continuity Management)はBCPの内容を運用・改善していくための「マネジメント体系」を指します。

BCPは、BCMの中核をなす一要素であり、BCMはBCPの継続的な更新、教育、訓練、評価を含む包括的な活動です。

BCPを作成するだけでは不十分であり、それを全社的に機能させるにはBCMの導入が欠かせません。

つまり、BCPはスタート地点であり、BCMこそが事業継続力を実効性あるものに高める「運用のカギ」なのです。

企業がBCP対策を進めるべき理由

近年、日本では地震や水害、台風といった自然災害が頻発しています。
さらにパンデミックやサイバー攻撃といった新たなリスクも企業活動に深刻な影響を及ぼしています。

こうしたリスクに対して無策のままでいると、事業停止や顧客離れ、信用失墜といった大きな損害を被る可能性があります。

一方で、BCP対策を講じている企業は、非常時にも顧客対応や業務継続が可能となり、信頼性の高いパートナーとして評価されます。

BCPは危機管理だけでなく、平時からの経営安定や新たなビジネス機会の創出にもつながる重要な取り組みです。
今やBCPは「やっているかどうか」が企業の信頼指標の一つになっているといえます。

BCP対策を怠ると直面するリスク

自然災害・パンデミック・サイバー攻撃の影響

企業が直面するリスクは多岐にわたります。

地震や台風といった自然災害は、施設の損壊や物流網の停止を引き起こし、事業の継続に重大な影響を与えます。
さらに、新型コロナウイルスのようなパンデミックは、従業員の出勤制限やサプライチェーンの混乱を招きました。

また、近年ではサイバー攻撃による情報漏洩やシステム停止も深刻な脅威となっています。

これらのリスクは突発的かつ広範囲に及ぶため、事前に備えていなければ、企業活動は簡単に麻痺してしまいます。
BCP対策は、こうした不可避かつ予測困難なリスクから企業を守る最前線の盾として、極めて重要な役割を果たします。

事業停止による損失と顧客離れ

BCP対策が不十分な企業は、突発的なトラブルに対して即応できず、業務停止やサービス提供の遅延に直面します。これにより発生する売上損失はもちろん、顧客からの信用を一気に失うリスクも伴います。特に、代替サービスが容易に見つかる業種においては、信頼回復が困難となり、顧客離れが加速するケースもあります。また、納期遅延や品質低下は取引先との契約違反に繋がり、損害賠償など法的な問題に発展する可能性も否定できません。企業の信用は一度失えば回復が難しく、事業の継続性そのものを脅かすことになります。だからこそ、BCP対策はリスクを“最小化”するための保険であり、長期的な企業価値を守る鍵となります。

信用・取引・法的責任リスク

災害や事故による被害は、企業の対外的な信用を大きく損なう要因となります。

特にBtoB取引では、サプライヤーが安定供給できるかどうかは重要な選定基準です。

BCP対策が講じられていない企業は、信頼性に欠けるとみなされ、受注機会を逃すリスクもあります。

さらに、医療や福祉、インフラ関連業種などでは、BCP策定が法的に求められているケースもあり、未対応のままでは行政指導や社会的非難を受ける恐れもあるでしょう。

BCPは、単なる危機対応だけでなく、コンプライアンスやCSRの観点からも「企業の責任」として重視されており、今後ますますその重要性は高まっていくと考えられます。

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BCP対策の進め方|企業が取るべきステップ

リスクの洗い出しと業務の優先順位付け

BCP対策の第一歩は、自社が直面しうるリスクの洗い出しです。

自然災害、パンデミック、サイバー攻撃、サプライチェーンの断絶など、業種や地域性に応じたリスクを想定し、それぞれの影響度を分析します。

そのうえで、業務プロセスを洗い出し、企業にとって「止めてはいけない業務」「復旧までに猶予がある業務」といった優先順位を明確化します。

このプロセスにより、限られたリソースを効率的に配分し、緊急時の混乱を防ぐことができます。
社内ヒアリングやワークショップ形式でリスク認識を共有することも、実効性の高いBCPの基礎を築くうえで効果的です。

代替手段と体制構築の検討

優先度の高い業務を継続するためには、代替手段の確保と体制構築が欠かせません。

例えば、拠点が被災した際の代替オフィスの確保や、インターネットを通じたリモートワーク環境の整備、サーバーのクラウド移行などが挙げられます。

また、人的資源の確保も重要です。
特定の担当者が不在になった際の業務引き継ぎ体制や、多能工化による業務カバー体制の整備も含めて、平常時から備えておくことが求められます。

必要に応じて外部の専門機関やパートナー企業との連携協定を結ぶのも、リスク分散として有効です。

社内訓練・マニュアル整備・継続的改善(PDCA)

BCPの最大の課題は「計画倒れ」になることです。

作っただけでは意味がなく、実際に運用できる体制があってこそ機能します。
そのため、定期的な訓練の実施が必要不可欠です。
たとえば、地震発生時の初動対応、サイバー攻撃を受けた際の情報遮断と復旧手順、パンデミック時の出社体制変更など、実際のシナリオを用いたロールプレイング訓練を実施しましょう。

同時に、マニュアルや連絡網の整備、改善サイクル(PDCA)による定期的な見直しも欠かせません。
これにより、BCPは「生きた計画」として企業文化に根付きます。

業種別に見るBCP対策の具体事例とポイント

製造業|サプライチェーンと代替生産体制の整備

製造業におけるBCP対策は、原材料の調達や生産ラインの停止リスクに備えることが重要です。

特定の仕入れ先に依存している場合、災害時には部品や材料が手に入らず、製品供給が止まる恐れがあります。

これを防ぐには、複数仕入れ先との契約や海外・国内の拠点分散が有効です。

また、主要工場にトラブルが発生した場合に備えて、別拠点での生産代替が可能な体制も検討すべきです。
さらに、生産スケジュールや在庫管理の最適化を図ることで、柔軟な対応が可能になります。
BCPを通じて、顧客に「この会社は供給が止まらない」という信頼感を与えることが、競争優位の確立につながります。

IT・通信業|データ保全とリモート対応の確保

IT・通信業界では、情報資産やネットワーク環境が業務の中核をなすため、BCP対策は特に高度な備えが求められます。

まず重要なのは、システムの冗長化やクラウドへのバックアップ体制の整備です。データの損失やシステムダウンが発生した場合にも、迅速に業務を再開できる仕組みを構築する必要があります。

また、パンデミックや大規模災害時には、従業員が在宅勤務を行えるリモート環境の整備も不可欠です。

VPNやゼロトラストの導入により、安全なアクセスを確保しつつ、業務の継続性を守ることが可能です。

さらに、顧客サポート体制もオンライン対応に切り替えることで、サービス品質を維持できます。IT企業にとってのBCPは、まさに「信用を守る生命線」と言えるでしょう。

小売業・飲食業|物流と店舗対応マニュアル

小売業や飲食業は、日々の店舗運営が直接売上に関わるため、災害やパンデミックの影響を最も受けやすい業種です。

BCP対策ではまず、商品供給が途絶えた場合に備えた物流ルートの多重化が求められます。

特定の取引先や配送会社に依存しすぎず、代替供給網を整備しておくことが重要です。

また、店舗単位でのBCPマニュアル整備も効果的です。
従業員の安全確保、避難経路、店舗再開の基準などを明文化し、現場で即座に判断できる体制を整えましょう。

さらに、感染症対策として、テイクアウトやデリバリーへの迅速な切り替えもBCPの一環です。
非常時にも顧客対応が可能な仕組みを構築することで、収益減少を最小限に抑えることができます。

医療・福祉|人的資源確保と感染対策

医療・福祉分野では、BCP対策が患者や利用者の命に直結するため、他業種以上に厳格かつ迅速な対応が求められます。

最も重要なのは、人的資源の確保とシフト管理の柔軟化です。

感染拡大や災害発生時には出勤できない職員が出る可能性があるため、他施設との連携や非常勤スタッフの活用など、代替人員体制の構築が不可欠です。

また、マスク・防護服・消毒液など衛生資材の備蓄、ゾーニング対応など、感染拡大防止に向けた具体的手段も必要です。
平常時からの訓練やマニュアル整備を行い、職員一人ひとりが緊急時に取るべき行動を明確にしておくことが、混乱を避けるカギとなります。
利用者への説明責任や行政との情報共有体制も、BCPの中に組み込んでおくべき重要項目です。

介護施設のBCP対策については、介護施設のBCP対策とは?~策定のポイントを紹介~の記事で詳しく解説しています。

建設・インフラ業|現場管理と地域連携体制

建設業やインフラ関連業は、社会的インフラの維持・復旧に深く関わるため、有事の際には業務継続だけでなく「復旧要員」としての役割も担います。

BCPではまず、現場作業の中断・再開の判断基準を設定しておくことが大切です。
従業員の安全確保、機材の保管、代替資材の調達先などをマニュアル化し、災害発生時にも迅速な判断ができる体制を整備します。

また、自治体や警察・消防など地域インフラとの連携体制も構築しておくと、復旧支援や優先通行などの面でスムーズな対応が可能になります。
大規模な建設プロジェクトでは、協力会社や下請け企業ともBCP方針を共有し、全体での統一的な危機対応を進めることが求められます。

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中小企業でもできる!BCP対策の実践アプローチ

「スモールスタート」から始める

中小企業にとってBCP対策は「人手も時間も足りない」というハードルがあります。

しかし、すべてを完璧に整える必要はありません。
まずはスモールスタートで、できることから始めましょう。

たとえば、「従業員の安否確認方法を決める」「避難経路を掲示する」「業務引継ぎメモを残す」など、すぐに実行できることは数多くあります。

こうした小さな取り組みを積み重ねていくことで、企業全体のリスク耐性が高まります。

BCP対策は“今やらない理由”より“今できる一歩”を大切にすることが重要です。

行政・商工会・支援機関の活用方法

中小企業庁や地方自治体、商工会議所では、BCP策定を支援する多くの制度やツールを提供しています。

たとえば、無料のひな形(テンプレート)、BCP診断ツール、専門家派遣制度、助成金や補助金制度などがその一例です。

これらを活用すれば、自社だけで対応するよりも圧倒的に効率的にBCPの策定・改善が行えます。

また、業界団体主催のセミナーや勉強会に参加することで、他社の成功事例を学び、自社に取り入れるヒントを得ることも可能です。
支援リソースを活かすことで、専門知識がなくてもBCPを推進できます。

低コストで導入できるITツール・クラウド活用

BCP対策は必ずしも高額な投資を伴うものではありません。

最近では、無料〜低価格で導入できるクラウドサービスやITツールが充実しています。

たとえば、Google WorkspaceやMicrosoft 365を使えば、ファイル共有・オンライン会議・データバックアップなどが一元化され、災害時にも業務を継続しやすくなります。

安否確認アプリ、緊急連絡用チャットツール、電子署名ツールなどもBCPに有効です。

これらのツールは平常時の業務効率化にも寄与するため、「BCP対策=業務改善」として捉えることで、費用対効果の高い取り組みになります。

BCP対策を企業価値向上につなげるポイント

BCPは“コスト”ではなく“投資”である

多くの企業がBCP対策を「コスト」として捉えがちですが、実際には将来の損失を回避し、事業の持続性を高めるための「投資」であるという認識が必要です。

災害やリスクが現実になった際、対策の有無によって事業の生死が分かれることは少なくありません。

BCPによって守られるのは、物理的な資産だけでなく、従業員の安全、顧客との信頼関係、そして企業のブランド価値です。

長期的な視点で見れば、BCPに取り組むことで取引先や金融機関からの信頼が増し、新たなビジネスチャンスを呼び込む土台となります。未来への備えとして、BCPは「攻めの経営」の一環と捉えるべきです。

取引先・金融機関・従業員からの信頼強化

BCP対策が整っている企業は、あらゆるステークホルダーからの信頼を得やすくなります。

たとえば、大手企業が取引先を選定する際、サプライチェーン全体のリスク管理能力を重視する傾向が高まっています。

BCPがあることを明示できれば、「安定供給が可能なパートナー」として評価され、選ばれる理由になります。

また、銀行や投資家にとっても、リスク管理が行き届いた企業は「融資リスクが低い」として高く評価されます。
さらに、従業員にとってもBCPが整備されている企業は「安全に働ける環境がある」と認識され、離職率の低下やエンゲージメント向上にもつながります。

ESG・SDGs経営との関連性と評価指標

昨今、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)への対応が企業評価に影響を与える時代になっています。

BCP対策は「社会」や「ガバナンス」の分野での取り組みと深く結びついており、企業の持続可能性を示す重要な指標となります。

特に「目標11:住み続けられるまちづくりを」や「目標13:気候変動に具体的な対策を」といったSDGsとリンクし、BCPは単なる内部施策ではなく、社会貢献としての意味合いも持ちます。

このような文脈でBCPを進めることで、企業ブランドの強化、ステークホルダーとの信頼関係の深化、長期的な成長基盤の構築が期待できます。

まとめ

BCP対策に“万能な正解”は存在しません。

業種や企業規模、地域特性などによって、最適なBCPの形は異なります。

だからこそ、自社にとってのリスクと優先業務を見極めたうえで、現実的かつ実行可能な計画を立てることが成功のカギです。
業種別の具体事例を参考にしながら、自社に最もフィットしたBCPを構築することで、非常時にもしっかりと機能する体制を築けます。

重要なのは“実行できるかどうか”。形だけのBCPにならないよう、日常業務に組み込む形で運用することが求められます。

BCP対策は「時間があるときに」「あとでまとめて」では間に合いません。

不測の事態はいつ発生するか分からないからこそ、今すぐにでも始める必要があります。

まずは小さな対策から一歩を踏み出し、段階的に整備を進めていくことが重要です。

本記事で紹介した実践的なステップや業種別事例を参考に、自社のBCPを見直すきっかけにしていただければ幸いです。

BCPは“企業を守る盾”であり、“信頼を築く武器”でもあります。

あなたの会社の未来を守るために、今こそBCP対策をはじめましょう。

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