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更新日:2024/09/30

カーボンニュートラルとは?概要や各企業の取り組み事例などを解説

カーボンニュートラルとは?概要や各企業の取り組み事例などを解説

エネトク編集部

エネトクは全国15,000件以上の法人様に省エネ・コスト削減の支援実績があります。あらゆる業種に対応できる専門性高いコンサルタントがエネルギーコストにまつわる様々なお悩みに合わせて、省エネのフルサポートをおこなっています。

「カーボンニュートラル」という言葉を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか?

カーボンニュートラルとは、地球上に存在するCO2の排出量と吸収量を差し引きして、トータルでプラスマイナスゼロとしていくことです。

「カーボン」はCO2に含まれる炭素、「ニュートラル」はバランスのとれた中立といった様子を表しています。

しかし、カーボンニュートラルは色々な意味で使われることがある言葉ですが、日本が目指す「カーボンニュートラル」とは、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを意味しています。

この記事ではカーボンニュートラルの概要や、なぜ必要なのか、カーボンニュートラルに向けた各企業の取り組み、問題点などを解説します。
これからカーボンニュートラルについて勉強したい企業担当者の方はぜひ参考にしてください。

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カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルは、地球上に存在するCO2の排出量と吸収量を差し引きして、トータルでプラスマイナスゼロとしていくことです。日本では2020年10月に行われた菅総理の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と発表されました。

すなわち、日本が目指すカーボンニュートラルはCO2だけに限らず、メタン、N2O(一酸化窒素)、フロンガスを含む「温室効果ガス」を対象にすると述べています。

世界各国が表明

資源エネルギー庁によると、2021年1月20日時点で、2050年度までのカーボンニュートラル実現を表明している国は、日本を含め124カ国と1地域になっています。
これらの国の、世界全体のCO2排出量に占める割合は37.7%にあたります。

2060年までのカーボンニュートラル実現を表明した中国も含めると全世界の約3分の2を占めており、世界の多くの国がカーボンニュートラルを目指しています。

カーボンニュートラルに向けた取り組み

カーボンニュートラルを実現するためには、温室効果ガス排出量そのものをできるだけ削減し、削減できない量を温室効果ガスの吸収または除去により実質ゼロにする必要があります。

温室効果ガス排出量を削減する手段には、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの徹底などがあります。

温室効果ガスを吸収または除去する手段には、植林の推進や大気中のCO2を回収する技術の活用などがあります。

再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーは、化石燃料と比べると、発電時にCO2を排出せず、ライフサイクルを通して排出されるCO2の量も少ないです。

オフィスや工場で使用する電力を再エネ由来の電力に切り替えることで、排出されるCO2を大幅に削減することができます。

下のグラフは、各種発電技術のライフサイクルCO2の排出量です。

省エネルギーの徹底、火力発電の高効率化

いくら再生可能エネルギーの割合を増やしてもそれでも火力発電の必要性は高い状況にあります。

そこで、火力発電の高効率化に向けたさまざまな技術開発が行われています。

火力発電とはそもそも化石燃料を燃やして作った水蒸気で蒸気タービンを回し電気を作る仕組みですが、もし効率をアップできれば、燃料使用量の削減、ひいてはCO2排出量の削減につながります。
日本の火力発電所では、すでに様々な技術が導入されていると共に次世代火力発電技術の研究が進められています。

こうした高効率化が進めば、さらなる火力発電の低炭素化が期待できます。

植林の推進

ご存じの通り樹木は、光合成を行う時に大気中のCO2を吸収します。

同時に酸素を大気中に発生させ、炭素を蓄え成長する性質があります。植林を進めることで、CO2吸収量を増やすことができます。

1例として、スギの吸収量と身近な二酸化炭素排出量とを比較してみましょう

1世帯から1年間に排出される二酸化炭素の量は、2017年の場合、4,480キログラムでした。

これは、36~40年生のスギ約15本が蓄えている量と同じぐらいです。

また、この排出量を、40年生のスギが1年間で吸収する量に換算した場合、スギ509本分の吸収量と同じぐらいということになります 。

CO2を回収する技術の活用

最新の技術開発でCCSやCCUSなど新しいCO2を回収する技術にも注目が集まっています。

CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は、工場などから排出されたCO2を大気中から回収し、地中深くに貯留し圧入する技術です。CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、貯留したCO2を資源として活用しようとする技術です。

1例として日本では、2012年から、北海道・苫小牧でCCSの大規模な実証実験がおこなわれています。

2016年度からは、港内の海底の下にCO2を高い圧力で貯留する作業を開始しました。

製油所から供給されたガスの中からCO2とそれ以外の気体を分離し、海底の深くに掘った井戸に、年10万トン規模のCO2を3年間埋めこむ計画を立て、終了後は2年間、CO2が漏れ出さないようにモニタリングをしています。

また、国際連携も進んでいます。2015年には、日米共同でCCSの共同研究開発を促進するため、協力文書がかわされました。

2017年10月には、協力範囲をCCUSに広げることで合意。ビジネスベースでも協力を進めることが約束されています。

こうした取り組みを通じて、CCSとCCUSの技術を確立し、CO2排出量削減に役立てていくことが期待されています。

カーボンオフセットの活用

カーボンオフセットとは、温室効果ガスの排出量削減が難しい場合に、削減できない量に見合う投資をすることで、その分の温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。
カーボンオフセットを行う手段に国が認証するJ-クレジットがあります。

J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。

J-クレジットについて詳しくは、【初心者向け】Jクレジットとは?メリットや申請方法についても解説の記事をご覧ください。

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カーボンニュートラルの取り組み事例

ここからは各企業のカーボンニュートラルへの取り組みを事例として紹介します。

三菱重工エンジニアリング

三菱重工エンジニアリングは、「脱炭素事業推進室」を新設することで、カーボンニュートラルに向けた実現をいち早く対応。

CO2を回収し大気中への排出量を削減するための装置の開発、さらにアメリカに世界最大規模のCO2回収設備を建設し、排ガスからのCO2回収を実現しました。
参照元:三菱重工エンジニアリング https://www.mhi.com/jp/group/mhieng/company/decarbonization#solutions

阪急電鉄

阪急電鉄では大阪府摂津市にある摂津市駅で駅に起因するCO2排出量を実質的にゼロにする日本初の「カーボン・ニュートラル・ステーション」(2010年時点。)を実現しました。

摂津市駅は、太陽光発電の活用やLED照明、無水トイレの導入などによりカーボンニュートラルの取り組みが進められています。
参照元:阪急電鉄 https://www.hankyu.co.jp/cont/archive/settsu-shi/

セコム

セコムは温室効果ガス排出を2018年度比で45%削減、2045年までに自社の温室効果ガス排出をゼロとする目標を掲げています。

具体的な施策として、2030年度までにグループ全体で保有する全車両を「電気自動車・燃料電池自動車」にすることを目指しています。

また、深刻化する海洋プラスチック問題に対して2045年までに容器包装における化石資源由来プラスチック使用ゼロとする目標を設定し、取り組みを開始しています。
参照元:セコム株式会社 https://www.secom.co.jp/corporate/sustainability/infra/environment/

カーボンニュートラルの問題点と日本の取り組み

日本では2014年以降、連続で温室効果ガス排出量が減少しています。

しかし日本が宣言している2050年度までに日本がカーボンニュートラルを実現するのは難しいとの声も上がっています。

それでは日本がカーボンニュートラルを実現させる上で解決すべき問題点と取り組みについてご紹介します。

カーボンニュートラルの問題点

カーボンニュートラル実現の鍵を握るのが再生可能エネルギーの導入ですが、日本は諸外国と比べて発電コストが高いという問題点を抱えています。

資源エネルギー庁によると、日本では全体的にみると、年々再生可能エネルギーの発電コストは安くなっていますが、諸外国と比べると高いです。

たとえば太陽光発電1kWhあたりの2019年度の買取価格は、日本が12.6円であるのに対してドイツでは5.5円です。

風力発電は日本が18.0円でドイツは6.9円です。

バイオマス発電に関しては買い取りが始まった2012年から2019年まで24.0円のままです。

問題点への日本の取り組み

日本は再生可能エネルギー導入拡大とFIT法施行により生じた問題点の解決を目的とし、2017年4月にFIT法を改正しています。
そこで誕生したのが改正FIT法です。

事業用太陽光を対象として、大規模案件から入札制度を導入し、競争原理を取り入れることでコストを下げる取り組みをしています。

カーボンニュートラルに向けて出来ることから始めましょう

今回はカーボンニュートラルに関する基礎知識や、取り組み、実現のために日本が解決すべき問題を紹介しました。
カーボンニュートラルへの取り組みは、気候変動問題と経済の両方に対する取り組みです。

まずはカーボンニュートラルへの理解を深め、出来ることから取り組みを始めましょう。

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