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更新日:2024/09/18
【図解あり】デマンド値とは?初心者でも分かるように解説
高圧電力を契約中の方は「デマンド値」について知っておかなくてはいけません。
デマンド値とは30分間の消費電力の平均値で、基本料金に関わってきます。
デマンド値を理解し、電気の使い方を気をつけることでデマンド値を抑え、電気料金を下げることにも繋がっていきます。
ということで今回はデマンド値について詳しくご説明します!
Contents
デマンド値とは?
デマンド値とは、デマンド時限すなわち、30分間という区切られた時間での平均使用電力(kW)のことです。
高圧契約の方は、電力会社が30分最大需要電力計(デマンド計)の組み込まれた電子式電力計を取りつけて計測しています。
ここでの30分とは、毎時の0分~30分、30分~60分までの間を指します。
例えば、前半15分が210kW、後半15分が150kWだった場合、平均となりますのでここでのデマンド値は180kWとなります。
30分を1コマとすると、1日24時間の中に48コマあることになります。
さらに1か月(30日間)の中では1,440コマ(48コマ×30日間)となります。
そして1か月間の中で、最も高かったデマンド値が、その月の最大デマンド値(最大需要電力)ということになります。
この「最大デマンド値」は電力会社が基本料金を決定する契約電力と関係しています。
※電気明細書に契約電力○○kWと記載がございますのでご確認してみてください。
▼東京電力の場合
最大デマンド値で契約電力が決まる
最大デマンド値とは、特定の期間内における電力消費のピーク、最も高い電力使用量を示します。
30分ごとの平均電力使用量を計測し、その期間内で最大となった値を「最大デマンド値」となります。
高圧契約の事業所では、この最大デマンド値が電気料金の基本料金に直接影響し、直近1年間の最大デマンド値で契約電力、基本料金が決まります。
電気料金の計算式
ここで高圧電力の電気料金の計算式を振り返っておきましょう。
電気料金(全体)
基本料金 + 電力量料金 + 燃料費調整額 +再生可能エネルギー発電促進賦課金+市場価格調整
基本料金
契約電力(kW) × 基本料金単価 × 力率割引
契約電力は「実量制」により決定される契約電力をもとに算出されます。
※実量制は契約電力が500kW未満が対象です。
実量制とは、直近12ヵ月(当月を含む)のうち最も高かった最大デマンド値により契約が決定する方法です。
お客様に必要な電力をいつでも電力会社が供給できるように、直近1年で最大の電力使用を契約電力としています。
家庭でよく使う低圧とは異なる点がありますので、低圧との違いは下記記事で解説しています。
関連記事:【初心者向け】「低圧」と「高圧」の違い、契約を見分けるポイントを解説
最大デマンド値(契約電力)を図解で解説
以下のグラフを例とすると2022年3月時点、直近12ヶ月で最も高い値は2021年8月の180kWです。
そうすると、2022年3月時点での契約電力は180kWとなります。
そこから1年間、現在の契約デマンド(180kW)を上回ることがなかった場合、2022年8月時点の契約電力は直近12ヶ月(当月を含む)の最も高い値となり、2022年2月の175kWとなります。
デマンド値を抑えるポイント
デマンド値を抑える方法として、「ピークカット」や「ピークシフト」があります。
ピークカット
ピークカットは、一時的に機器の運転を抑えて、電力の急激な消費を抑制します。
電力使用が最も高い時間帯に電力使用を減らすことで最大デマンド値を低い数値でキープし、基本料金の上昇を防ぐことができます。
ピークカットには主に3つの方法があります。
- 負荷の一時停止
- 負荷の分散
- エネルギー効率の改善
それぞれ解説します。
負荷の一時停止
ピーク時に不要な機器や設備を一時的に停止させることで、瞬間的な電力使用量を減らすことができます。
負荷の分散
特定の時間帯に集中している電力使用を、他の時間帯に分散させることで、ピーク時の負荷を下げます。
エネルギー効率の改善
省エネ性能の高い設備や機器に切り替えることで、同じ作業量でも使用する電力を削減します。
ピークシフト
ピークシフトは、電力使用が集中する時間帯(ピーク)から電力使用の少ない時間帯(オフピーク)へと負荷を移す方法です。
ピークカットが「ピーク時の電力使用を抑える」ことに対し、ピークシフトは「電力使用を時間帯ごとに分散させる」ことで、最大デマンド値を抑えることができます。
ピークシフトの実践には以下3つの方法が有効です。
- スケジュールの調整
- 蓄電池の活用
- 空調・冷暖房の負荷分散
それぞれ解説します。
スケジュールの調整
電力使用の多い作業や機械の稼働を、ピーク時からオフピークの時間帯に移行させることで、ピーク時の電力負荷を削減します。
例えば、夜間や早朝など、電力需要が少ない時間に機器を稼働させることが効果的。
蓄電池の活用
太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーを利用して余剰電力を蓄電池に貯めておき、ピーク時に電力を供給する方法もあります。
これにより、電力会社から購入する電力量を削減できます。
空調・冷暖房の負荷分散
特に施設や工場など、空調使用の割合が大きい場合は、あらかじめ冷房や暖房を行い、ピーク時にはその負荷を抑える手法も有効です。
高圧電力は、たった30分間という短い時間の使用電力量の平均で1年間の基本料金が決定してしまいます。
夏の暑い時期や冬の寒い時期、エアコンを一斉に稼働させることでデマンド値は一気に跳ね上がるため、最大デマンド値が8月や2月にピークとなる方が多くいます。
他にも工場や物流倉庫であれば機械を稼働させるタイミングが重なった場合にデマンドは上昇します。
つまり、デマンド値を抑えるためには同時に稼働させるのを控えることがポイントです。
ただ単に使用量を減らすことを考えがちですが、30分のピーク値を抑えることも併せて重要となってきます。
デマンド値の上昇をうまく抑えることができれば電気料金削減が実現します。
しかし、自分たちではデマンド値がいつ上昇しているか、同時に稼働をしないようにするのは無理だ!という方は、デマンド監視システムやEMS(エネルギーマネジメントシステム)といったシステムの導入が進んでいます。
まとめ
今回はデマンド値について解説しました。
毎月の電気代の基本料金を削減するためには、自社のデマンド値を把握することが重要です。
夏や冬の電力を多く使う時期は、デマンド値が上昇しないために、設備を同時に稼働を避けるなど電気の使い方の工夫が電気料金削減に繋がります。
設備の使用時間帯を事前に調整することが難しい場合には監視システム設置も検討してみましょう。
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