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更新日:2023/05/25
値上がりが止まらない「燃料費調整額」とは?概要や算定方法を解説
「なぜ電気代がどんどん値上がっているの?」
「燃料費調整額という項目がよくわからない」
こんな疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
昨今、電気代の値上がりが頻繁にニュースや新聞でも目にしますが、値上げの原因のひとつとして「燃料費調整額の上昇」があげられます。
燃料費調整額とは、電気料金の算出項目のひとつで毎月変動する項目になります。
今回は値上がりの原因となる「燃料費調整額」について詳しくご説明いたします。
Contents
燃料費調整額とは?
燃料費調整額とは、発電に必要な原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の価格変動を電気料金に迅速に反映させるためのものです。
毎月必ず変動し、毎月自動的に電気料金を調整する制度 です。
燃料費が基準価格よりも低ければ電気料金から減算、高ければ加算されます。
経済産業省資源エネルギー庁は、燃料費調整額を電気料金に含める目的を次のように説明しています。
燃料費調整制度は、事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させると同時に、事業者の経営環境の安定を図ることを目的とし、平成8年1月に導入されました。
出典:経済産業省エネルギー庁|燃料費調整制度について|電気料金について
燃料費調整額が高騰している原因
2021年9月以降、電力の価格高騰は続いており、大手電力会社や新電力による電気代の値上げが相次いでいます。
その理由として、火力発電の燃料である石炭・液化天然ガス(LNG)ともに高騰しており、発電のためのコストが非常に大きく上がっているからです。
エネルギー輸入価格が高騰
資源エネルギー庁が発表したデータによると、2021年度の日本の発電電力量割合は、全体の火力発電が78.9%、水力が9.9%、原子力が7.8%、新エネルギーが6.3%となっており、全体の約80%が火力発電に頼っている状況です。
火力発電の稼働には石油・石炭・天然ガスといった資源が必要になりますが、大半を海外から輸入しており、新型コロナウイルスの拡大による経済活動が停滞してしまった影響で、原油価格の低迷と化石燃料からの投資撤退が加速しました。
その加速が原因で石油や液化天然ガスが供給が不足し、需給バランスが崩れて価格高騰につながりました。
出展:資源エネルギー庁|結果概要【2021年度分】
世界情勢の影響
2022年2月にロシア軍がウクライナへの軍事侵攻を開始したことで世界的に影響を及ぼしています。
液化天然ガスの輸出量で世界1位、原油や石炭も世界トップ3という資源大国であるロシアからの影響は世界的に受けています。
日本でも、火力発電の資源である石炭や天然ガスの一部をロシアから輸入しており、その輸出が制限されたことで価格高騰につながっています。
燃料費調整額の算定方法
燃料費調整額は以下の計算式で算定されます。
電気料金=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金+燃料費調整額
燃料費調整額=使用電力量(kWh)×燃料費調整単価
燃料価格の算定期間と電気料金への反映時期
燃料調整費額が反映されるまでタイミングは過去3か月分の平均燃料価格をもとに決まり、2か月後に電気料金に反映します。
たとえば1~3月の平均燃料価格をもとに6月の燃料費調整額が決まり、それにより6月の電気料金が決まってきます。
燃料費調整額は、電力会社によって異なり、毎月変動します。
燃料費調整単価の算定方法
燃料費調整単価は、以下の計算式により求められます。
〈プラス調整(平均燃料価格が基準燃料価格を上回る場合)〉
燃料費調整単価=(平均燃料価格ー基準燃料単価)×基準単価÷1,000
〈マイナス調整(平均燃料価格が基準燃料価格を下回った場合)〉
燃料費調整単価=(基準燃料価格-平均燃料価格)×基準単価÷1,000
電力会社によって基準燃料価格が異なるため、燃料費調整単価や燃料費調整額も異なります。
燃料費調整額の上限について
燃料費調整額は消費者保護のため上限額が設けられています。上限に達した場合のコストは電力会社が負担することが通例でした。
しかし燃料費の高騰により、2022年2月より上限に達する電力会社が増え、その後も燃料費調整単価は上がり続けています。
出典:東京ガス|燃料費調整制度
2022年10月には大手電力会社10社すべてで上限に達し、電力会社の負担が激増したため、大手電力会社が続々と上限撤廃を発表しています。
上限撤廃により、今後もしもさらに燃料コストが値上げした際には、燃料費調整額も上限なく値上がりすることになります。
最新情報
東京電力では2023年6月をめどに規制料金を平均29.31%値上げすることを発表しました。
これにより、従量電灯B、30A(260kwh使用の場合)契約している利用者の電気料金は約2,000円~3,000円上がることになります。
また、スタンダードプランを契約している利用者も平均5.28%値上げになるため、ますます負担は大きくなりそうです。
まとめ
燃料費調整額は電気料金項目のひとつであることはご理解頂けたと思います。
火力発電が行われる限り発生し、今後も値上がり傾向は続く可能性は十分に考えられます。
普段より電気料金が上がり気になったときは、電気明細をきちんとチェックしておきましょう。
エネトクでは今後の動向に注目し、最新情報を更新していきます。