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【必読】電力料金の高騰と新電力会社の撤退

エネトク編集部

エネトクは全国15,000件以上の多種多様な法人様に省エネ・コスト削減の提供実績があります。事業用太陽光発電においてはシミュレーション・提案・補助金申請・設置工事までワンストップで実施。専門コンサルタントが屋根補修や電気工事など、様々なお悩みに対応し、省エネのフルサポートをおこなっています。

昨今、電気代も含めた物品の価格の高騰が取り沙汰されるとともに、新電力会社の撤退が相次いでいます。また、撤退はしないが新規受付を一時停止するという新電力も数多く出て来ています。

撤退の原因は電源調達の原価が高騰し、逆ザヤ状態、つまり売れば売るほど赤字になるという現象になってしまったことが主な原因です。

そこで電気供給における原価とは何なのか、何に費用が掛かるのか、その一端をご説明します。

電力供給における原価とは

電気供給を行う際に発生する費用は会社によってまちまちですが、主なものとしては「電源代」「託送代」「システム管理費」「人件費」などがあげられます。もちろん自前の発電施設を持っている事業者であれば減価償却費、保守管理費なども追加されます。その中で世間一般に馴染みのない「電源代」「託送代」とは何なのでしょうか。

電源代と託送料

電源とは、各家庭に供給する電気そのものです。東京電力などはもちろん自前で発電施設を持っている(分社化済)ので、自社で作った電気を各家庭へ供給しますが、新電力の多くは発電施設を持っていません。そのため、日本卸電力取引所(JEPX:Japan Electric Power Exchange)という、電力を取り引きする機関を通じて電気を仕入れ、その電気を電柱電線等の送配電設備を使って各家庭に供給します。この仕入れ価格が「電源代」であり、送配電設備の使用料が「託送代」です。

電源の仕入れは主に、一日を30分単位に48商品に区切り、それぞれの商品でオークション形式にて前日に取引価格と取引量を決める一日前市場(スポット市場)と、電気の供給当日に電気の需要と供給に不一致があったときに対応する当日市場(時間前市場)があります。下図はJEPXに掲載されているスポット市場取引結果のデータから、関東地方における過去2年間の取引価格を月々で平均したものです。価格は各地域によって違うので、中部地方、関西地方などで価格が変わってきます。2021年1月に寒波による電力需要の増大と、LNG不足によるLNG火力の稼働抑制などにより市場価格が高騰したというニュースを見た記憶がある方も多いかと思いますが、グラフを見ればどれほどのインパクトだったのかが視覚的に認識できるでしょう。

託送料金とは先に述べたように、送配電設備の使用料をいいます。基本料金と使用料金によって構成されています。電柱・電線・電気メーター・サービスブレーカーといった設備は送配電業者(東電など)の所有物のため、使用料は送配電業者に支払います。価格は各送配電業者によって決められており、それぞれのHPで単価が公開されています。

例えば関東地方の40Aで毎月300kWh使う一般家庭の場合、託送の基本料金単価は143.0円、使用料金単価は7.45円なので合計で2,807円の託送料金が発生します。

資料からわかるように、契約内容の細かい部分で単価が変わってきますが、通常のサービスブレーカー契約という、ブレーカーのサイズで契約容量を決める契約での試算となります。

原価と売り上げの関係

先に述べたように、電力供給の原価は電源代や託送料以外にもいろいろありますが、分かりやすくするために一旦はこの2つのみの原価で考えてみます。
まず売上金額を考えます。先程の託送料金であげた例の契約容量40Aの使用量300kWhで、電気契約単価を東京電力の従量電灯Bと同じ単価で販売していた場合、売り上げは以下の通りです。

【売上】※(単価は https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/old01.html 参照)

基本料金

1,144円

使用料金

120kWhまで19.88円/kWh、121kWh~300kWhまで26.48円/kWhなので19.88円×120kWh+26.48円×180kWh=7,152円

燃料費調整額や再エネ賦課金を除くと電気料金の売上は8,296円となります。

続いて原価がいくらになるかを考えます。電源の確保の方法や価格は各電力会社によって違いますが、仮にJEPXのスポット市場での取引ですべて賄っているものとします。スポット市場の取引価格は、毎日どころか30分ごとに変動します。燃料の不足が目立つ昨今、取引価格が高止まりしています。価格が落ち着いている2021年5月は電源代の単価が平均6.98円でした。単純化のため、使用した時間帯に関わらず単価を一律6.98円とした場合、原価は以下の通りとなります。

【原価】(2021年5月)

電源代

6.98円×300kWh=2,094円

託送代

143円×4kVA+7.45円×300kWh=2,807円

合わせて4,901円が原価です。
売り上げが8,296円なので、3,395円が利益として残るという計算になります。

では昨今の高騰した電源代ではどうでしょうか。先程の例から1年後の2022年5月だと電源代が19.5円/kWhまで跳ね上がっているので、同条件だと原価は以下の通りです。

【原価】(2022年5月)

電源代

19.5円×300kWh=5,850円

託送代

143円×4kVA+7.45円×300kWh=2,807円

合わせて8,657円が原価です。
売り上げが8,296円なので、361円の赤字として残るという計算になります。

使用量1kWh当たり、電源代19.5円と託送代7.45円を足した26.95円が原価なので、この原価以下の単価で売ると、売れば売るほど損が発生し、基本料金での利益を損が上回ると赤字になるという仕組みです。もちろん契約容量や使用量で売り上げと原価が変わるので、場所によっては黒字になっているケースもあれば、さらに大きな赤字が発生しているケースもあります。家庭用電力とは別の、低圧電力と呼ばれる業務用電力を契約する場合、使用量は契約容量の〇〇倍までといった具合に制限をかけている新電力をよく見かけます。低圧電力は使用料金単価をかなり低くして提供しており、使用料は大きな逆ザヤなので、基本料金で賄いきれる範囲でしか電気を使用しないユーザーとしか契約できないという理屈なのです。

原価高騰を受けての電力会社とユーザーとしての対応

原価や販売価格の都合上、赤字になる契約を多数抱える電力会社の対応としては、別の事業で赤字を賄う、販売価格を上げて赤字が出ないようにする、電源の調達方法を見直す、事業から撤退するといった選択が迫られます。
そして撤退の選択肢を取った企業が複数いるため、新電力の会社の撤退が相次いでいると言われているのです。
対応策として通常の料金とは別で電源の調達費として追加料金を請求している新電力もあります。去年の1月に、単価が市場価格と連動する市場連動型で契約していたため、電気料金の請求が数万円になったという意見がありましたが、それもこの部分が影響しています。

コロナやロシアのウクライナ侵攻などによる燃料の不足からくる市場価格の高騰はまだ続きそうです。再生可能エネルギーも供給が不安定で確実ではありません。
今はどこと契約するのがお得かというよりは、どこと契約すれば安定して電気を使用できるかという段階に来ています。
契約を考えている新電力の事業が存続しそうか、請求に電気料金とは別のものが設定されていないか、市場と連動する単価で設定されていないかなど、確実性を重視した契約先の選定が、今に限っては一番の節約術なのかもしれません。

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