投稿日:
更新日:2024/10/01
【最新版】最終保障供給契約とは?概要とポイントをカンタン解説!
「契約していた新電力会社が急に倒産・撤退してしまった!」
「新しい契約先を探したがどこも新規受付を停止していて困っている」
こんな悩みを持つ事業者も多いのではないでしょうか。昨今の社会的背景により、エネルギー価格の高騰が止まらない。2021年以降、高止まりの状態が続いており、その影響を大きく被っているのが新電力会社と事業者です。
新電力会社と契約していた事業者より、突然倒産や撤退を告げられ、契約先が見つからず電気が供給されないのではと不安に思われている事業者の声が多数寄せられています。
最後の手段として用意されているのが「最終保障供給契約」です。
別名「ラストリゾート」とも呼ばれています。
今回は最終保障供給契約について耳にしたことはあるがいまいちわからない、他のニュースや記事を読んでも理解が難しいという方に向けてカンタン解説していきます。
Contents
最終保障供給契約とは?まず概要を知りましょう
最終保障供給契約は、小売電気事業者(新電力)のいずれとも契約が締結できなくなった高圧・業務用電力の事業者に対して大手電力会社が電気を供給してくれるという制度です。
新電力会社が事業を継続できないとなれば電気の供給がされない、つまり生活や事業において最重要インフラである電気が止まり、大きな被害を受けてしまうわけです。
つまり、最終保障供給契約は電気供給停止の影響を一時的に保護してくれるものなのです。
例えるなら急に雨が降り出したときの「雨宿り」みたいなものです。
別名「ラストリゾート」「セーフティネット」という呼ばれ方もされています。
電気は最終的な供給義務を各エリアの送配電事業者が担っており、通常であれば支払い遅延や特別な理由で小売電気事業者と契約できない需要家しか送配電事業者と契約をしません。
しかし、今は割高な契約である送配電事業者との最終保障供給契約しかできない状態となっています。
対象
高圧・業務用電力を契約している事業者
期間
1年以内となっています。(ただし、契約期間満了日前までに、どの小売電気事業者とも電気の需給契約の成立に至らなかった場合は更新できる。)
最終保障供給契約が注目されている背景
コロナ流行やロシアによるウクライナ侵攻の影響で卸売電力市場(JEPX)の仕入れ単価が高騰した影響で新電力会社は大ダメージを受けました。
【必読】電力料金の高騰と新電力会社の撤退の記事でも紹介しましたが、これにより、逆ザヤ状態、つまり売れば売るほど赤字になるという現象になってしまったことで経営が立ち行かなくなってしまった新電力会社が次々倒産、撤退をしてしまう事態に陥っています。
2016年以降、電力の自由化により需要家は自由に電力会社を選べるようになり、数多くの企業が新電力市場に参入してきたがウィルスの拡大や社会情勢によって事態は急転しました。
2022年になりその影響は顕著に表れ、帝国データバンクが6月13日に発表した動向調査によると、2021年までに登録のあった新電力会社(登録小売電気事業者)のうち、6月8日時点で1割超の104社が倒産や廃業、電力事業の契約停止・撤退したことが分かっています。
最終保障供給契約を受けるにはどうしたらいいの?
最終保障供給申込書の提出が必要で申込先には注意。
例)東京電力管内の場合、顧客が契約している小売電気事業者「東京電力エナジーパートナー」ではなく送配電会社である「東京電力パワーグリッド」が行っている。
詳しくは下記表の対象エリアのHPをごらんください。
地域 | 送配電会社 |
---|---|
北海道エリア | ほくでんネットワーク |
東北エリア | 東北電力ネットワーク |
関東エリア | 東京電力パワーグリッド |
北陸エリア | 北陸電力送配電 |
中部エリア | 中部電力パワーグリッド |
関西エリア | 関西電力送配電 |
中国エリア | 中国電力ネットワーク |
四国エリア | 四国電力送配電 |
九州エリア | 九州電力送配電 |
沖縄エリア | 沖縄電力(沖縄は小売電気部門と送配電部門が一緒です) |
最終保障供給契約の3つのポイント
最終保障供給契約についてのポイントを3つ挙げておきます。
自分で申し込まなければいけない
送配電会社に自分から申し込みましょう。
小売電気事業者ではなく、送配電会社に連絡が必要です。
契約先が無くなってしまっても、大手電力会社は新電力会社の顧客に供給する義務はなく(電力会社と顧客間で契約がないため)、顧客の状態は把握していません。
自分が契約していた新電力会社が事業撤退のニュースを見たが、新電力会社からは一切連絡がないというケースもあったようです。
少しでも不安に感じたら電力会社に問い合わせしましょう。
電気はいきなり止まらない
そうはいってもすぐに電気が止まることはありません。
電力供給サービス停止日までに手続きが間に合わなかったとしても、いきなり電気が使えなくなるということはありません。
契約していた電力会社(小売電気事業者)からの電力供給は停止しますが、東京電力パワーグリッド株式会社などの各エリアの一般送配電事業者から電力供給がされます。
ただし、この電力供給は一定の期間を過ぎると停止してしまうので、最終的には自分で新たな電力会社を探し、申し込みをおこなう必要があります。
新電力より電気代が高い
割高な価格にすることで、企業が早く次の契約先を見つける動機にしています。
例)東京電力(業務用電力通常プランの場合)
東京電力エナジーパートナー
基本料金 1,814円37銭/kW
従量料金 夏季23円84銭/kWh その他季22円68銭/kwh
参照:東京電力 業務用電力(契約電力500kW未満)
東京電力パワーグリッド(最終保障供給契約)
基本料金 2,057円
従量料金 夏季20.04円/kWh その他季18.67円/kWh
最新情報
制度の見直しがあり、9月から従来の固定単価から市場連動型へ変更となりました。
2022年9月1日より「市場価格調整額」を新たに設定し、従来の固定型から、卸電力価格の上昇分を上乗せする料金体系になります。
市場連動型については、「なぜ最終保障供給は市場連動型になった?概要や電気代への影響を徹底解説」で詳しく説明しているのでご覧ください。
まとめ
突然の電力会社撤退による契約廃止や値上げの連絡が来ても焦らず、落ち着いて対応していきましょう。
今後、最終保障供給契約に関しても制度の見直しや料金変化が実施される可能性がありますので情報は随時更新していきます。
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