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【最新】2024年7月の電気代値上げ情報!いつからどのくらい高騰する?
「再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ」と「政府による電気代の補助政策の終了」により、2024年7月の電気代は大幅に値上がりします。
本記事では、具体的な値上げの影響や企業の対策について解説します。
Contents
2024年7月に電気代を値上げしたのは10社
2024年5月から7月にかけて、電気代は大きく変動します。これには2つの主な理由があります。
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ
- 政府による電気代の補助政策の終了
順番に解説します。
再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ
再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下、再エネ賦課金)とは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを推進するために設けられた制度です。
この賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーで発電した電力を買い取る際の費用の一部を消費者が負担する仕組みです。
2024年の再エネ賦課金は、前年に比べて大幅に値上がりし、1kWhあたり3.49円となっています。これは、前年の1.40円からの大幅な引き上げです。
政府による電気代の補助政策の終了
次に、政府が2023年1月から実施していた「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が2024年5月使用分で終了することも、電気代の値上げに大きく影響しています。
この政策は、高騰する電気・ガス料金を抑えるための補助金制度であり、2024年4月まで電気代を一部補助していました。
しかし、5月使用分から補助額が半減し、7月の請求分からは完全に補助がなくなります。これにより、消費者の負担が増加し、電気代が大幅に上昇します。
これらの要因が重なり、2024年7月には多くの電力会社が電気代を値上げすることとなりました。
例えば、北海道電力は7月の電気代が9,523円で、前月から409円の値上げとなっています。他の電力会社も同様に値上げを行っており、沖縄電力では616円もの値上げが見られます。
このような背景から、電気代の高騰が避けられない状況です。企業や家庭においては、電気代節約のための対策がますます重要となってきます。次のセクションでは、具体的な対策方法について詳しく解説します。
電力会社 | 2024年7月 | 2024年6月 | 前月比 |
北海道電力 | 9,523円 | 9,114円 | +409円 |
東北電力 | 8,855円 | 8,436円 | +419円 |
東京電力 | 8,930円 | 8,538円 | +392円 |
中部電力 | 8,691円 | 8,345円 | +246円 |
北陸電力 | 7,758円 | 7,356円 | +402円 |
関西電力 | 7,664円 | 7,196円 | +468円 |
中国電力 | 8,514円 | 8,061円 | +453円 |
四国電力 | 8,595円 | 8,135円 | +460円 |
九州電力 | 7,551円 | 7,101円 | +450円 |
沖縄電力 | 9,663円 | 9,047円 | +616円 |
※中国電力の電気代は、「従量電灯A」を参考にしています。
値上げ幅が一番大きい電力会社は、沖縄電力(+616 円)です。
沖縄電力の値上げは、3ヶ月連続となり、7,963円から9,663円へ1,700円の値上げとなっています。
次いで関西電力、四国電力、中国電力の順に値上げ幅が大きくなっています。
値上げした10社の内、北海道電力、東北電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の8電力は、過去最高水準の電気代です。
電気代値上げの概要
2024年5月から7月にかけて、電気代がどのように変動するのか、下記2つの理由が関係しています。
- 電気代の補助政策が終了する
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ
それぞれの理由について、具体的に見ていきましょう。
電気代の補助政策が終了する
政府は、2023年1月から、電気・ガス料金の高騰対策として「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を実施してきました。
しかし、この政策は、2024年5月使用分で終わってしまいます。
そのため、実際に請求される7月分からは、補助額がなくなった分だけ電気代が高くなってしまうのです。
「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の補助額は、以下の表を基に算出されます。
適応期間 | 電気(高圧) | 電気(低圧) | 都市ガス |
2024年1月使用分から
2024年4月使用分まで |
1.8円/1kWh | 3.5円/1kWh | 15円/1㎥ |
2024年5月使用分 | 0.9円/1kWh | 1.8円/1kWh | 7.5円/1㎥ |
参考元:経済産業省
例えば、1ヶ月の平均使用電力量が300kWhの一般家庭の場合、補助額は以下のようになります。
期間 | 補助額 |
2024年1月使用分から2024年4月使用分まで | 月1,050円 |
2024年5月使用分 | 月525円 |
2024年5月使用分以降 | 月0円 |
使用電力量の多い企業や事業者は負担額がさらに大きくなるでしょう。
再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ
再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)とは、太陽光発電・風力発電といった再生可能エネルギーを電力会社が買い取る際に、その費用の一部を消費者が負担する制度です。
毎年、経済産業省が再エネ賦課金を算定しており、5月に料金が発表されます。
昨年の再エネ賦課金は1円4銭でしたが、今年は3円49銭/kWhと2円9銭/kWhの値上がりです。
これまでの、再エネ賦課金の推移を見ていきましょう。
※2012年度のみ「2012年8月分~2013年3月分」の期間です。その他の年度はすべて「5月使用分~翌年4月使用分」です。
2023年は、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が実施されてこともり、1.40円/kWhまで大幅に下がりましたが、2024年は2022年(3.45円/kWh)を上回る結果になってしまいました。
また、再エネ賦課金は2012年から制定されましたが、2024年が過去最高水準を記録しています。
電気代はいつから値上げするの?
電気代の値上げが始まったのは、4月からです。ただし、電力会社によって値上げの有無が異なります。
そこで、電気代の今後の見通しを含め、以下の3つについて見ていきましょう。
- 電気代が値上げしたのは4月
- 電気代の推移
- 電気代の今後の見通し
電気代が値上げしたのは4月
一部の電力会社は、4月から電気料金の値上げを始めています。
4月に値上げした電力会社と電気代については以下の通りです。
電力会社 | 2024年4月 | 2024年3月 | 前月比 |
東京電力 | 7,576円 | 7,560円 | +16円 |
中部電力 | 7,384円 | 7,291円 | +93円 |
関西 電力 | 6,211円 | 6,146円 | +65円 |
九州電力 | 6,156円 | 6,136円 | +20円 |
上記以外の北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の6社は、値下げとなりました。
4月に値上げした電力会社はどこも、100円未満と大きな値上がりとは言えません。
しかし、5月~7月の値上げは600円以上値上げする電力会社もあり、大幅な値上げと言えます。
例えば、九州電力は3月の電気代が6,136円に対し、7月の電気代は9,663円です。
3月から7月までの4ヶ月間で3,527円値上がりしたと考えると、今回の値上がりは非常に大きいと言えます。
電気代の推移
ここ数年の電気代の推移を見ていきましょう。
出典:法人・家庭の電気料金の平均単価の推移(特高・高圧・低圧別)|新電力ネット
※特別高圧「契約電力量が2000kW以上の需要」、高圧「契約電力が50~2000kWの需要」電灯(低圧)「単相かつ契約電力が50kW未満の需要」、電力(低圧)「三相かつ契約電力が50kW未満の需要」となっています。
2022年は、ウクライナ情勢をめぐる地政学的緊張高まりなどの影響により、特別高圧~電力まですべて平均単価が高くなりました。
2023年2月に大きく値下がりした原因は、前述した「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が主な要因です。
値下がりした2023年2月以降、家庭・小規模事業者の電力需要(電灯・電力)は、横ばいまたは値上がりの状態が続き、法人用の電力需要(特別高圧・高圧)は、横ばいまたは値下がりの状態が続いています。
電気代の今後の見通し
結論から言うと、電気代は高くなると予想されます。その理由としては、以下の2つです。
- ウクライナ情勢による影響
- 止まらない円安
ウクライナ情勢による影響
2022年から始まったロシアによるウクライナ侵攻は、先行きが不透明です。
ロシアからの輸出入が制限されることで、さまざまな影響が起きます。
なぜならロシアは化石燃料のシェア率が非常に大きい国だからです。天然ガス・石炭・石油の輸出額国別ランキングを見ていきましょう。
天然ガス
順位 | 国名 | 単位:百万US$ |
1位 | ノルウェー | 141,096 |
2位 | ロシア | 136,490 |
3位 | カタール | 65,764 |
参考:世界の天然ガス輸出額 国別ランキング・推移 – GLOBAL NOTE
石炭
順位 | 国名 | 単位:千トン |
1位 | インドネシア | 468,779 |
2位 | オーストラリア | 364,052 |
3位 | ロシア | 220,090 |
参考:世界の石炭輸出量 国別ランキング・推移 – GLOBAL NOTE
石油
順位 | 国名 | 単位:百万US$ |
1位 | サウジアラビア | 256,779 |
2位 | ロシア | 156,915 |
3位 | アラブ首長国連邦 | 146,775 |
参考:世界の石油輸出額 国別ランキング・推移 – GLOBAL NOTE
ロシアは、天然ガス・石炭・石油の輸出量ランキングにおいて、すべて上位3位以内に入っています。
ロシアからの輸出が制限されることで、価格高騰の原因となっています。
止まらない円安
2022年10月をピークに少し落ち着きましたが、2023年から右肩上がりで円安が止まらない状況です。
円安になると発電に必要な燃料費の調達価格が高騰するため、電気代も高くなってしまいます。
円高になる見込みがないため、2025年まで電気代が下がることは期待できないでしょう。
電気代値上げに対する企業の対策法
電気代の値上げはいつ終わるか見通しが立ちません。
そのため、電気代値上げに対する対策は必須だと言えます。
そこで以下の4つの対策法を紹介しますので、参考にしてください。
- 電力会社・契約プランの見直し
- デマンド値を抑える
- 太陽光発電の導入
- 人の手による省エネ
電力会社・契約プランの見直し
電力会社によって、料金プランやサービスなどはさまざまです。
自社の稼働時間に合った料金プランを選ぶことで、電気代の節約につながります。
まずは、使用電力量の多い時間帯を把握し、その時間帯が安価に設定されているプランを選びましょう。
現在は電力の自由化によって、大手電力会社だけでなく、さまざまな電力会社と契約できます。
従来の地域電力会社だけでなく、幅広く電力会社を探してみましょう。
デマンド値を抑える
デマンド値とは、30分間に消費された平均使用電力(kW)のことです。
1年間の最大デマンド値によって、電力会社との契約料金が決まってしまいます。
極端な例を言えば、1日だけ電力を180kw使用し、残りの364日は毎日100kwしか使わなかったとしても、契約電力は180kwになるのです。
デマンド値を抑えるには、設備の同時稼働を減らすことです。
「必要のない電気は消す」「機械の稼働タイミングをずらす」など、一度に大量電力を使わないように工夫しましょう。
とくに8月と2月はデマンド値が高くなりやすいので注意してください。
エアコンや暖房を一斉に使うとデマンド値が一気に跳ね上がります。
自分たちだけでデマンド値を把握することは難しいため、デマンド監視システムやEMSといった見える化システムの導入がおすすめです。
太陽光発電設備の導入
自社の屋根や駐車場などに太陽光発電設備を設置し、発電した電力を自社で使用すれば節電につながります。
自社で電気を発電し使用すれば、電気を買う必要がありません。
また、再生可能エネルギーの利用は、地球環境にも優しくおすすめです。
電気代の節約だけでなく、地球環境問題への貢献も兼ねて、ぜひ検討してください。
ただし、太陽光発電設備の導入は、初期費用がかかります。
また設置できる場所も確保しなければなりません。
導入コストや設置場所について問題がある場合は、補助金制度やコーポレートPPAを活用しましょう。
人の手による省エネ
コストをかけずに電気代を節約する方法として、「人の手による省エネ」方法もあります。
例えば以下のようなものです。
- エアコンを適正温度にする(夏は28度、冬は20度)
- エアコンのフィルターを掃除する
- 照明器具をLED化する
- 不要な電気を消す
- 使わない設備のコンセントを抜く
- 業務効率を改善し、残業や休日出勤を減らす
- クールビズやウォームビズを実施する
- 古い電化製品を買い替える
- 省エネ設備を導入する
- 従業員にも節電を呼びかける
節電効果としては小さいかもしれませんが、積み重ねていくことで効果が現れます。
とくに、従業員に節電を呼びかけ、一人ひとりが節電意識を持つことが大切です。
まとめ
一部の電力会社は4月から値上げを発表し、5月からは電力会社10社が値上げを発表しています。
「再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ」や「政府による電気代の補助政策の終了」が主な値上げの原因です。
2024年7月の値上げは大きく、電気代の値上げ対策が必須です。
デマンド値を抑えたり、太陽光発電設備を導入したりなど、自社にできる範囲の対策を実施しましょう。
また自社に合った電気会社・プランを契約することも対策の一つです。
これを機に電力会社の見直しを検討してみてください。