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更新日:2025/05/26

【初心者向け】系統用蓄電池とは?概要とメリットをわかりやすく解説

【初心者向け】系統用蓄電池とは?概要とメリットをわかりやすく解説

エネトク編集部

エネトクは全国15,000件以上の法人様に省エネ・コスト削減の支援実績があります。あらゆる業種に対応できる専門性高いコンサルタントがエネルギーコストにまつわる様々なお悩みに合わせて、省エネのフルサポートをおこなっています。

脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入が加速する中、電力の安定供給や系統の柔軟性がかつてないほど求められています。そんな中、注目を集めているのが「系統用蓄電池」です。

系統用蓄電池とは、電力網に接続され、電力の需給バランスを調整するために使用される蓄電池です。

太陽光や風力といった自然由来の発電は、その出力が天候によって大きく変動します。その変動を吸収し、電力需給のバランスを保つ調整役として、系統用蓄電池は今や電力インフラに欠かせない存在となりつつあります。

本記事では、系統用蓄電池の概要から、導入メリット、そして今後の展望に至るまで、幅広くわかりやすく解説していきます。エネルギーの未来を担う技術として、どのように社会実装されていくのかを一緒に見ていきましょう。

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系統用蓄電池とは?

系統用蓄電池

系統用蓄電池とは、電力会社の送配電網(電力系統)に直接接続される大規模な蓄電システムを指します。太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの普及が進む中で、発電量の変動を吸収し、電力の需給バランスを保つために重要な役割を果たします。

蓄電池と聞くと住宅用や産業用のイメージを持つ方も多いですが、系統用蓄電池はそのスケールも用途も大きく異なります。
例えば、瞬時の周波数調整や需給バランス調整など、電力インフラ全体を安定させるための“調整役”として活躍しているのです。

また、再エネの導入が進むにつれて、日射量や風量に左右される発電量の変動をどう吸収するかが大きな課題となっており、その解決策として系統用蓄電池が急速に普及し始めています。

産業用蓄電池については、【知らないと損】産業用蓄電池の導入メリットは5つ!企業が検討すべき理由を徹底解説をご覧ください。

なぜ今、系統用蓄電池が注目されているのか

近年、再生可能エネルギーの導入量が飛躍的に増加しています。一方で、太陽光や風力といった自然エネルギーは天候に左右されるため、発電の安定性に課題があります。発電量が急激に増減すると、電力系統に大きな負荷がかかり、最悪の場合ブラックアウト(大規模停電)につながるリスクも。

この課題を解決する鍵が、系統用蓄電池です。
発電量が多い時は電力を蓄え、少ない時に放電することで、需給バランスを柔軟に調整できるからです。

さらに、国や自治体が進める「脱炭素社会」「カーボンニュートラル」政策も後押しとなり、電力の安定供給と再エネ拡大を同時に叶える存在として、系統用蓄電池は社会的にも経済的にも注目を集めています。

系統用蓄電池の主な役割

系統用蓄電池は主に下記の機能があります。

系統用蓄電池のサイズ

サイズは容量と出力により異なりますが、以下が目安です。

規模 容量 サイズ(設置面積) 用途例
小規模 数百kWh~1MWh 10〜30㎡程度(コンテナ型) 事業所や小規模系統の負荷平準
中規模 数MWh~10MWh 50〜200㎡程度 再エネと連携した系統安定化
大規模 数十~数百MWh 数百〜数千㎡(プラント規模) 電力会社による系統制御

多くの場合、コンテナ型(20ftまたは40ft)のモジュール構成になっており、必要容量に応じてスケーラブルに増設できます。

設置場所と費用

設置には以下のような場所が選ばれます。

設置費用はシステム構成・規模・工事内容により大きく異なりますが、概算の目安です。

容量 おおよその費用(設備+設置)
500kWh 約5,000万〜1億円
1MWh(1000kWh) 約1億〜2億円
10MWh 約10〜20億円
100MWh以上 数百億円規模(電力会社案件)

※補助金制度を活用すると初期費用を大幅に抑えることが可能です。

系統用蓄電池の3つの導入メリット

系統用蓄電池を導入するメリットは主に3つあります。

順番に解説します。

電力需給の安定化に貢献する

電力は「貯めておけない」とよく言われますが、系統用蓄電池の登場により、この常識が大きく変わりつつあります。従来は、電力需要と供給をリアルタイムで一致させなければならず、発電所や電力会社は常に綱渡りのような調整を求められてきました。

系統用蓄電池は、余剰電力を瞬時に吸収し、需要が高まったタイミングで放電できるため、需給バランスの乱れを最小限に抑えることが可能です。特に、朝夕の需要ピーク時や、突然の発電停止といった緊急時において、その調整能力は非常に重要です。

結果として、電力の安定供給が実現しやすくなり、社会全体の電力品質の向上にもつながります。

再エネの出力変動を吸収し、無駄なく活用

太陽光や風力といった再エネは、「つくれるときにしか作れない」という特性を持っています。そのため、発電量が多すぎると出力抑制(電気を流さない措置)を行う必要があり、せっかくの再エネがムダになることも。
しかし、系統用蓄電池があれば、そうした余剰電力を一時的に貯蔵し、需要の高い時間帯に有効活用することができます。

つまり、出力変動を吸収する“バッファー”として機能することで、再エネの導入拡大に不可欠な「柔軟性」を電力系統にもたらします。
この柔軟性こそが、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた最大の鍵と言えるでしょう。

災害時のバックアップ電源としても期待

地震や台風といった自然災害が多い日本において、電力供給の強靭性は企業や自治体にとって大きな課題です。系統用蓄電池は、非常時に電力を安定的に供給できる“レジリエンス強化”の手段としても有効です。

たとえば、災害によって送電が一時的に停止した場合でも、蓄電池に貯めておいた電力を活用すれば、重要インフラの稼働を維持することができます。実際、病院や防災拠点などでも系統用蓄電池の活用が進められています。

このように、日常の電力調整だけでなく、非常時の備えとしても、系統用蓄電池は社会全体の安全と安心を支えるインフラとなりつつあるのです。

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系統用蓄電池の導入事例と今後の市場動向

国内では東京電力や関西電力といった大手電力会社をはじめ、自治体や民間企業でも系統用蓄電池の導入が加速しています。特に、北海道や九州など再エネ発電比率の高い地域では、その効果を実証するプロジェクトが多数進行中です。

また、国も補助金や規制緩和を通じて、導入を後押ししています。今後は電力自由化や分散型エネルギーシステムの発展により、系統用蓄電池の役割はさらに広がっていくでしょう。

2020年代後半には、容量規模・市場規模ともに倍増するという予測もあり、関連ビジネスの成長余地も大きい分野です。

よくある質問

Q.産業用蓄電池との違いはなんですか?

A.系統用蓄電池はより大容量で、電力会社や複数の施設を対象に系統全体を制御する目的で使われます。一方、産業用は工場やビル単体でのピークカットや節電目的が中心です。

Q.どれくらいの電気を貯められますか?

A.用途に応じて容量は異なりますが、小規模で数百kWh、大規模では数百MWhの電力を貯めることが可能です。例えば1MWhあれば、一般家庭100世帯分の1時間分の電力をまかなえます。

Q.設置にはどれくらいのスペースが必要ですか?

A.1MWhあたり、20フィートコンテナ1台分(約15㎡〜30㎡)が目安です。複数台を設置する場合は敷地条件や保安距離を考慮する必要があります。

Q.どこに設置するのが一般的ですか?

A.変電所、再エネ発電所の敷地、工場・物流拠点、自治体の防災拠点などです。電力網への接続性、災害リスク、土地条件に応じて最適な場所が選ばれます。

Q.蓄電池の寿命はどのくらいですか?

A.主流のリチウムイオン電池の場合、使用環境や運用モードによって異なりますが、約10〜15年(充放電回数で3,000〜6,000回)です。

Q.補助金制度は利用できますか?

A.経済産業省、環境省、地方自治体などが提供する補助金制度が活用できます。

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まとめ

今回は、系統用蓄電池について解説しました。

系統用蓄電池は、再生可能エネルギーの大量導入や電力需給の不安定化といった現代のエネルギー課題に対し、極めて重要なソリューションとして注目を集めています。
今後は、電力市場の制度改革やVPP(仮想発電所)の拡大に伴い、電力の需給調整や調整力の提供など、多様な用途での活用が進むでしょう。

また、技術革新による蓄電池の高性能化・長寿命化が進み、導入コストも徐々に低下しています。
加えて、災害対策やBCP対策といった防災インフラとしての役割もますます重要になっており、自治体や企業にとって欠かせない存在となりつつあります。

エネルギーの地産地消や分散型社会の実現に向け、系統用蓄電池は単なる「蓄電設備」から、「エネルギーの中核インフラ」へと進化しています。持続可能で柔軟な電力社会を支える柱として、今後の普及と活用がますます期待されます。

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