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更新日:2024/10/01
【基礎】電力小売り全面自由化を進めた3つの目的
2016年4月から家庭向けを含めた電力の小売り全面自由化がスタートし、新電力会社が次々と市場に参入し、多くの料金メニューやサービスが生まれています!
そこで、今回の電力の全面自由化で市場にどのような影響や変化があったのかを、各種データとともに見ていきたいと思います。
Contents
電力小売り全面自由化を進めた3つの目的
電力小売り全面自由化を進めたのには大きく3つの目的があります。
- 電力の安定供給を確保する
- 電気料金を最大限抑制する
- 電気利用者の選択肢を増やし、企業の事業機会を拡大する
業界動向サーチのデータによると日本の電力業界の市場規模は21兆円にも及びます。
電力小売り全面自由化により、これまでは各地域の特定電力事業者が独占していた電力事業を広く開放し、事業者間の競争を促し、電気料金の抑制につなげるという狙いがあります。
これにより、中小零細の事業主様や一般家庭においても事業形態やライフスタイルに合わせて電力会社を自由に選ぶことが出来るようになりました。
また、2011年3月に東日本大震災が発生した際には、大規模電源が被災したことで電力が不足し、国民生活にも大きな影響をあたえるという出来事がありました。
これを教訓として、緊急の場合などには、広域間で電気をフレキシブルに供給し合うことのできる体制をつくるということも、制度改革の重要な目的のひとつです。
電力小売り全面自由化を数字で見る変化
電力小売り全面自由化の変化を数字で見ていきましょう。
スイッチング率が20%を超える
スイッチングとは、電力契約先の切替えの事で旧電力会社から新電力への切替や旧電力会社の料金プランを規制料金から自由料金に切替える事をいいます。
電力・ガス取引監視等委員会のデータによると、スイッチング率は2018年9月時点で約20.5%(約1,284万件)となり、着実に数字が伸びています。
新電力のシェアも増加
全ての分野(特別高圧、高圧、低圧)における新電力のシェアは2020年1月時点で販売電力量ベースで約16%となり、大きく伸びています。
小売電気事業者数
資源エネルギー庁のデータによると令和6年11月時点で740事業者が小売電気事業者として登録されています。
新電力の電気料金
電力小売り全面自由化後にスイッチング率や事業者数など様々な数字で増えてきたのはお分かりいただけたかと思います。
電気料金については、平均単価で見ると低圧電灯では新電力の平均販売単価のほうが「約4%」低くなっています。
電力自由化は10年以上前から始まっていました
電力事業には「発電」「送配電」「小売」と3つの部門があり、1995年の電気事業法改正により「発電部門」は原則として参入が自由になりました。
一方で「小売部門」については段階的に自由化が行われ、まず大型工場などの「特別高圧(2000年3月)」分野、続いて中小規模工場などの「高圧(2004年4月・ 2005年4月)」分野が自由化されました。
そして、最後に残った家庭向けの「低圧」分野も2016年4月に自由化されたことで、「全面自由化」が実現したのです!
なお、送配電部門については、電力小売全面自由化後も、政府が許可した事業者から電気が届けられているので安心して新電力に変更できます。