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更新日:2024/10/01
(前編)【要チェック】太陽光パネル設置について
再生可能エネルギーとして、恐らく最も身近な存在である太陽光発電。
自宅の一軒家の屋根などに設置したり、余った土地の地面に野立てとして使用したりと、今現在も新規で使用するケースが多くありますが、経済的なメリットはどれほどのものなのでしょうか。
今回は太陽光パネル設置によるメリット等を詳細に解説していきます。
太陽光の発電シミュレーション
仮に東京都内において、南北の切妻屋根(2方向に勾配を付けた屋根の種類)で、東西に12m・南北に4mで勾配4寸(21.6°)の一般的なサイズと形状の一軒家に太陽光パネルを設置すると、年間の発電のシミュレーションはどのようになるでしょうか。
尚、今回使用するパネルは1枚あたり380Wの某メーカーのものを使用します。
屋根を上から見た図面は下図のようになり、18枚のパネルが設置できることが分かります。
380W×18枚で設置容量は6.84kWです。
パネルは発電効率や反射光トラブルの都合上、北向きの屋根には載せないのが普通なので、今回は南向きの箇所にのみ設置します。
この条件で1年間の発電量のシミュレーションを行うと次の通りとなります。
日差しの強い真夏が一番発電量の多い季節かと思いきや、5月が一番になっています。これは強すぎる日差しでパネルの温度が上がり、発電効率が落ちてしまうことが原因です。
ちなみに同条件で東西に向きを変えると、発電量は14~15%減少しました。
太陽光の売電シミュレーション前提条件
作り出した電気をすべて電力会社に売電することを全量売電、自家で使用して余った分を売却することを余剰売電といいます。
売電単価は住宅用(10kW未満)か、事業用(10kW以上)かで違いがあります。また、毎年価格に変動があり、買取価格は年々下がっていますが、固定価格買取制度(FIT制度)に定められている通り、期間内の買取価格は一定となっています。設置容量と買取価格・期間は以下の通りです。
尚、今回想定しているケースでは設置容量が6.84kWのため、買取価格17円/kWhで期間は10年です。
太陽光パネルの設置は経済的影響を計算するにあたり、下記のデータを利用します。
【参考文献】
経済産業省「調達価格等に関する報告」
環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)」
① 余剰売電比率:69.4%
作り出した電気のうち、どれだけ売電するかの割合。1000kWh発電したのであれば、平均して約700kWhを売却していることになります。
② システム費用:28万円/kW
太陽光パネルの導入にかかる初期費用。おおよその割合として、太陽光パネルの物品代が約60%、工事費が約25%、パワコンや架台などで約15%を占めます。新築・既築ともに低減傾向にあります。
③ 運転維持費:3,690円/kW/年
太陽光パネルの発電を維持するために、パネル代や工事費とは別に発生するランニングコスト。20年間の運転で発生した費用から算出されており、内訳は以下の通り。尚、5kWの設備を想定しています。
・推奨されている3~4年に1回の定期点検。1回あたりの相場は約2.9万円程度
・パワコンは20年に1回は交換され、相場が22.4万円程度
以上を換算すると、
( 2.9万円 × 5回 + 22.4万円 ) ÷ 5kW ÷ 20年間 = 3,690円/kW/年
④ 廃棄費用:20万円/件
少々古いデータですが、住宅用の太陽光設備の取り外し作業で平均18.9万の料金がかかったとあります。ただし設備の規模が不明なうえ、データに運搬・処分費用が含まれていたり含まれていなかったりしているようです。多少乱暴ですが、運搬・処分費用もすべて含めると平均20万として費用を計上します。
⑤ 経年劣化:0.5%/年
パネルを使用し続けると、発電効率が年々減少していきます。IEA(国際エネルギー機関)によると毎年0.5%としているようです。資源エネルギー庁から0.27%というデータも提出されているようですが、今回は0.5%を採用します。この数値を採用すると、6.84kWのシミュレートだと25年間で204,501kWh作り出すことになります。
⑥ FIT終了後の買取価格:9.5円/kWh
各小売電気事業者が買取メニューを公表しており、中央値は9.5円/kWhという調査結果が出ています。
次回、以上の前提条件をもとに、具体的な数値を出しながらコストとメリットを比較し、果たして導入したほうがいいのかしないほうがいいのか、経済面以外の観点も踏まえながらご説明します!
気になる後編はこちら⇒【(後編)【要チェック】太陽光パネル設置について】