作る・使う・管理するで、企業の省エネを最大化。

全国対応

0120-965-367
受付時間 平日9:00〜18:00

お問い合わせ
MENU

省エネNEWS

投稿日:

法人による太陽光発電の設置方法|自家消費型への投資が一段と活発化

エネトク編集部

エネトクは全国15,000件以上の法人様に省エネ・コスト削減の支援実績があります。あらゆる業種に対応できる専門性高いコンサルタントがエネルギーコストにまつわる様々なお悩みに合わせて、省エネのフルサポートをおこなっています。

政府主導で進展してきた太陽光発電事業が新たなステージを迎えつつあります。
FITに下支えされて発電能力を伸ばしてきた売電型(利益型)太陽光発電設備への投資に急ブレーキがかかる一方で、法人による自家消費を目的とする設備導入が一段と活発化しています。

法人のマインドが急旋回している背景にあるのは脱炭素社会への移行を目指す世界的な潮流です。
SDG’s(Sustinable Development Goals:持続可能な開発目標)の一つである環境問題に対するリテラシーが向上した結果、マーケットや消費者にとって脱炭素社会の実現に消極的な企業は「悪」とさえ映ります。

いまや環境問題への対応は社会にとって曖昧にできない重要課題であり、政府が宣言した『2050年カーボンニュートラル』は法人による脱炭素への動きを加速させる大きな契機となりました。

それでは、投資利回り重視だった法人による太陽光発電設備への投資が、自家消費型へと変化している背景や導入時の課題について探ってみましょう。

欧州から始まった脱炭素社会への潮流

地球規模で俯瞰すると、環境問題に対して常にリーダーシップを取り続けてきたのはドイツや北欧をはじめとする欧州です。

欧州から始まった脱炭素社会への波は国際機関や市場原理までも巻き込み、脱炭素への挑戦は人類の生存にとって抜き差しならないテーマとして認知されるまでになりました。

この挑戦にそっぽを向く法人や団体は公然と批判にさらされ、今日ではその存在さえも脅かされる社会的ムードが醸成されています。
先進国を中心に各国政府も脱炭素を推進する方針を打ち出しており、我が国においても2020年に菅内閣(当時)が2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指す『カーボンニュートラル・脱炭素方針』を宣言しました。

これにより日本でも法人を中心に脱炭素への動きが一気に活発化しています。

再生可能エネルギー固定価格買取制度

日本政府は平成24年7月から再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)を導入、太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの本格的な普及促進に乗り出しました。

対象となっているのは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスにより発電される電力です。

FIT制度とは、電力会社が再生可能エネルギーから生産された電力を一定期間・一定価格で買い取ることを政府が保証するもので、電力会社による買取価格(=事業者による販売価格、売電価格)は政府が決定してきました。
再生可能エネルギーの発電コストが従来型を上回っているため、差額を補う目的で導入された再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が通常の電気料金に上乗せされて利用者から徴収される仕組となっています。

再生エネルギー普及のため、電気の利用者に広く負担して貰うとの考えですが、増え続ける賦課金の負担について問題視する動きも出ています。

このFIT制度については、一定の再エネ設備の普及が進んだこと、技術の進歩により導入コストが下がったこと、再エネ賦課金に関する問題などを背景として既に大幅な見直しが行われています。
2022年度からは新たにFIP制度が実施されており、発電能力が一定規模以上の計画についてはFIP制度のみが適用されるようになっています。

太陽光発電事業は利益から環境重視へ

環境意識の高まり

FIT制度により普及が進んできた法人による再生可能エネルギー事業のうち、太陽光発電は従来の利益・投資型から環境を重視する自家消費型へと流れが大きく変わってきています。

その大きな理由が環境問題への意識の高まりです。
脱炭素社会などの環境目標に対処することは、いまや法人にとっても個人にとっても果たすべき共通の課題です。

価格や安全面からも導入が進む

ロシアのウクライナ侵攻による国際エネルギー価格の高騰を背景として、価格面やエネルギー安全保障への関心から再生可能エネルギーの導入に踏み出す法人や個人が増えています。

この動きは、自社(自己)所有の建物さえあれば、つまり屋上や屋根に空きスペースさえあれば導入を検討することができる太陽光発電において特に顕著です。

技術革新により導入・維持コストが大幅に圧縮されていること、蓄電池などの電力貯蔵システムの開発が進んでいることも導入を支援する好材料となっています。

また、法人や個人レベルからは距離のある視点ですが、日本のエネルギー安全保障の観点から再生可能エネルギーの導入は非常に有効です。

例えば、太陽光発電においては、太陽光さえ途絶えなければ発電が可能です。

石油のようにホルムズ依存度を気にかけたり、燃料ソースの分散化を考える必要がまったくありません。

資源最貧国である日本における再生可能エネルギーの導入にあたっては、経済性を切り離した視点も不可欠です。

CSR

CSR(企業の社会的責任)の目線で自社の生産活動に必要な電力を再生可能エネルギーへ転換する企業も増えています。

法人として脱炭素を進める姿勢を明確に示し、自社が設定した環境目標の達成を目指すものです。

法人として存続するためには、市場や消費者、投資家などから環境不適格と見なされることだけは回避しなければなりません。

キーワードは3つ

持続可能な社会の一員であろうとする法人として、また脱炭素社会を目指す企業として、自家消費型の太陽光発電設備に関するキーワードは次の3つです。

法人のリクルート活動においても、環境に配慮する企業姿勢は人材を確保するための大切な要素の一つとなっています。

政府や自治体による政策

政府による『2050年カーボンニュートラル』宣言により、政府や自治体は脱炭素へ舵を切る法人や個人に対して資金的な援助、税制面での優遇などで導入を応援しています。

太陽光発電設備(蓄電池を含む)の導入に関わる企業向け補助金では、環境省や経済産業省が実施しており、補助を受けるキーポイントは『蓄電池』と『自家消費』に変化しています。

また、地方自治体による独自の制度もあります。

一方、太陽光発電設備の設置を義務化する自治体も出始めています。

都市全体からのCO2排出を削減するため、新しく建設する建物に太陽光発電設備の併設を義務付けるものです。

直近では東京都や京都府、川崎市による設置義務化(一部条件付き)が象徴的な事例となっています。

こうした政府・自治体による脱炭素への企業投資を後押しする流れは今後、さらに広がる可能性があります。

法人が太陽光発電を設置する時の検討課題

法人が太陽光発電設備を設置するにあたり、問題となる課題はどのようなものがあるのでしょうか。

例え環境問題への取り組みであっても、営利法人にとってコスト的にバランスを欠いた設備投資はできません。
設備導入にあたって事前に検討すべき課題について考えてみます。

立地条件の検討

太陽光発電設備への投資にあたって最も重要な要素は立地条件です。
発電効率や蓄電システムについては技術の向上によりカバーが可能ですが、立地条件は改善のしようがありません。

自家消費を前提とする立地条件に関する要素は、日射量、建物高さ、設置可能な面積、方角と角度、気温、遮蔽物などです。

地域によっては降雪量についての検討も必要となります。

日射量と気温

その他の条件が同じ場合、日射量と発電量は基本的に比例関係にあります。

十分な日射量が確保されているか、その場合の予想発電量がどのくらいになるかを計算します。

太陽光パネルは高温になると発電効率が低下するため、同じ日射量であれば最高気温の低い場所の方が発電量は多くなる傾向にあります。

また、日射量が確保される立地であっても、季節や方向によって樹木や隣接建築物などの日陰に入ったりする場合は予想発電量を再確認する必要があります。

建物高さ

太陽光パネルの設置によって建物の高さ制限に抵触する場合があります。

特に低層住居専用地域では既存建物が日影規制や北側斜線に関して余裕がない(制限ぎりぎりの高さで建設されている)ケースが多く、屋根や屋上に太陽光パネルを設置する場合は検討が必要です。

高層建築物に対する高さ制限については、自治体により緩和措置が取られるケースがあり、計画地の行政窓口への相談で解決される場合があります。

方角と角度

日射量が最大化するのは太陽が真南にある正午です。
太陽光パネルの角度は平均的に30度くらいが効率的とされていますが、本土では±5度ほどの差が発生します。

例えば、緯度の低い沖縄地域の最適角度は30度未満です。

屋根に勾配がある建物に太陽光パネルを設置する場合、屋根の向きや勾配について確認が必要となります。

一方、ビル屋上や陸屋根のケースでは、遮蔽物などによる障害がなければ最適な配置計画が可能となります。

設置対象による検討

太陽光発電設備を設置するにあたって、事前に検討が必要となる項目は、①荷重計算(構造上の可否)、②屋根の向きと勾配(日射量の確保)、③設置方法(災害対策)などです。

これらについて建物の構造別に注意点を拾い出してみます。

木造建築物

①荷重計算
太陽光パネルを設置することで屋根荷重が増加するため、構造計算上の制限を超えていないか確認します。

地震力に対する再計算も必要です。不足する場合は補強工事が必要になる場合があります。

②屋根の向きと勾配
十分な日射量が確保できるか確認します。一般的には南向きで30度ほどが最適といわれますが、使用する最大電力の時間帯や緯度によってはこの限りではありません。

蓄電池を併設しない場合、東西面が最適となるケースも考えられます。

③設置方法
戸建住宅の屋根への設置方法はメーカーにより色々な工法が提供されています。

ユーザーにとって一番の懸念は設置後の雨漏りです。

自然災害を原因とする雨漏りについては火災保険の適用範囲ですが、施工上の問題が原因となる場合は保障対象となりません。
設置時に支持材を屋根に貫通させる場合では、どのような雨仕舞をしているのか、雨漏りした場合のメーカーや施工店の保証があるのかなどをしっかり確認しておくべきです。

メーカーの提案する設置方法に問題がない場合でも、施工店のミスによって雨漏り被害が発生するケースは少なくありません。
また、太陽光パネルが後付けの場合(新築時ではない場合)、火災保険の見直しをしなければ保証対象とならないケースがあるので注意が必要です。

鉄骨造建築物

鉄骨造建築物では集合住宅や商業ビル、工場建屋・倉庫などが太陽光発電設備の設置対象となります。

①荷重計算
設置する太陽光パネルや付帯設備を加算した荷重で構造計算をやり直す必要があります。

屋根スラブのない古い工場などに設置する場合、追加荷重で構造上の耐力をオーバーしてしまい、巨額の補強工事が発生する確率が大きくなります。

②屋根の向きと勾配
1)集合住宅や商業ビルでは屋根スラブ(陸屋根)のケースが多く、この場合は最適な方角と角度を確保することが容易です。
2)屋根スラブを持たない工場の三角屋根(スレートで覆われているような屋根)の場合は十分な日射量の確保が可能か確認する必要があります。

③設置方法
1)屋根スラブ上に太陽光パネルを設置する場合、発電設備をスラブへ固定する主な工法は、自重、アンカー、接着です。

このうちアンカーは防水層を貫通させる必要があり、適切な防水処理とメンテナンスが必須となります。古い建物ではスラブへのアンカー長さが十分に確保できないケースもあり、注意が必要です。
2)スレートなどの屋根材上に設置するため、パネル架台を鉄骨に固定させる必要があります。

屋根材を貫通して固定するため、適切な雨仕舞を施さなければ雨漏り被害が発生する可能性があります。

鉄筋コンクリート造建築物

RC造(鉄筋コンクリート造)建築物の殆どは陸屋根のため、太陽光発電設備の設置には最適です。

建物自体に重量があるため、太陽光パネルを設置することによって増加する荷重の割合は木造や鉄骨造建築物よりも小さくなります。

一般的に外周がパラペットで立ち上がっており、パネル位置をスラブ近傍まで下げることで風の影響を受けづらくすることも可能です。

①荷重計算
増加する荷重を考慮して再計算する必要があります。地震力に対する計算も必須です。

②屋根の向きと勾配
陸屋根のため最適な方角と角度を自由に設定できます。

③設置方法
基礎を含めた自重で固定、アンカーで固定、スラブへの接着などの工法があります。

アンカー固定の場合はスラブ下の防水層を貫通する必要があるため、適切な雨仕舞と定期的なメンテナンスは必要です。

廃棄処理問題

太陽光発電設備を導入するにあたり、将来の廃棄コストを問題とする声があります。

現在の太陽光パネルの寿命は30年ほどとされていますが、廃棄費用は脱炭素社会を実現するために必要なコストの一部と捉えるべきです。決して無視してよい課題ではありませんが、リサイクル技術などの革新により、将来の廃棄コストが圧縮される可能性もあります。

自然災害リスクへの対応

自家消費向けに太陽光発電設備を導入する最大リスクとして自然災害があります。

世界有数の災害大国である日本では、地震や台風などあらゆる災害リスクを抱えた状態で企業の生産活動が行われています。
災害時の事業継続についてはBPC(Business Continuity planning:事業継続計画)を策定する動きが見られますが、自家消費型の太陽光発電設備は災害時の事業継続に備える有効なツールの一つにもなります。

地震など大きな災害時には公共電源が喪失する可能性があります。
むしろ、BPC策定においては公共電力が途絶する前提で検討するのが正しいあり方です。

その際、オンサイトの自家用電源である太陽光発電は平常時と比べ物にならない威力を発揮します。
太陽光さえあれば電力を確保できる発電システムは、設備能力が棄損しない限り、オンサイトであるが故に万が一の断線などにも対処が可能です。

また、災害時に電力を確保できる法人の建物は、周辺からの避難所や復旧に向けた緊急拠点にもなりえます。
法人の建物屋根や屋上に設置されている太陽光発電設備は、自社の事業継続に有効なだけでなく、地域の復興拠点や緊急避難場所となる可能性を持っています。

太陽光発電設備が持つ二次的な機能性は、蓄電池などの技術開発により更に充実することが期待できます。

法人が太陽光を導入するメリット

環境問題への対応から自家消費型の太陽光発電設備の導入を検討する法人にはどのようなメリットが考えられるのでしょうか?
行政による支援策などを交えつつ、収益重視型との違いなどについて探ってみます。

投資型よりも早い資金回収

エネルギー価格が高騰している現状では、法人自身の電力コストを削減できるだけでなく、前述した補助金の利用や税制面での優遇措置を受けることにより、従来の売電・投資型よりも早期の資金回収が期待できます。

エネルギー価格に連動するFIP制度との比較においても、自家消費型は投下資金の早期回収が見込まれています。
ESG投資の観点からは、設備投資にあたって金融機関からの低利融資や投資家による増資が期待できます。

災害時の非常電源

オンサイトで燃料不要の発電設備を所有することは、地震などの災害時に電力を確保できるメリットがあります。

大規模災害では長期間にわたって公共電源が喪失するため、法人のBPC策定において自家消費型の太陽光発電設備の導入は検討すべき課題の一つです。

企業イメージの向上

自社で使用する電力を再生可能エネルギーへ転換する法人の姿勢は、市場や消費者からの高い評価を得られ、法人のイメージや価値が向上する二次効果を期待できます。

法人が使用する最終電力のすべてを再エネとする国際イニシアチブ『RE100』を目標視野に入れることも可能となるでしょう。

まとめ

法人による自家消費型の太陽光発電設備の導入が活発化している背景がよく見えてきました。

個人や法人によるSDG’sへの対応や環境リテラシーの向上に加え、ロシアのウクライナ侵攻がもたらした国際エネルギー需給の逼迫や価格上昇は、オンサイトで発電可能な太陽光発電の有用性を改めて知らしめる結果となり、身近な世界におけるエネルギー安全保障について考えさせられる契機となりました。

政府の掲げる『2050年カーボンニュートラル』を達成するためには、更に大きな脱炭素への動きが必要です。環境問題に消極的な法人は瞬く間に市場や投資家から見放され、その価値を失いかねません。

多くの法人にとって再生可能エネルギーとは、導入コストを考慮すれば太陽光発電を指します。

政府による積極的な後押しもあり、現在は法人にとって自家消費型の太陽光発電設備を導入するまたとない機会です。
脱炭素社会へ向けた継続した努力は法人としての責務であり、自家消費電力を再生エネルギーへ転換させるために太陽光発電を導入する動きが活発化していることは必然と言えます。

関連記事

一覧へ戻る
無料相談 無料相談