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更新日:2024/11/19
【質問多発】太陽光発電で節税する方法3選を教えます
太陽光発電は再生可能エネルギーの一つとして注目されているため、導入する企業が増えています。
一般設備に比べて太陽光発電は導入にコストがかかりますが、節税できれば費用を最大限に抑えられます。
しかし、「法人が太陽光発電の導入で節税するためにはどうしたらいいの?」「太陽光発電の導入で節税する際に注意すべきポイントは?」などの疑問が出てくるでしょう。
そこで本記事では、法人が太陽光発電の導入で節税する方法3選を解説します。
太陽光発電の導入にかかる税金や節税額の計算例、注意点も紹介。
太陽光発電の導入を考えている企業はぜひチェックしてください。
Contents
太陽光発電の税金
まず、太陽光発電の導入にかかる税金は下記2つに分けられます。
- 自家消費型の場合
- 全量売電型の場合
それぞれ順に解説します。
自家消費型太陽光発電の場合
自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電を行い発生した電気を自社で活用する方法です。
例えば、発電したエネルギーをオフィスや工場などに用いる場合は、自家消費型に分類されます。
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では、自家消費型太陽光発電で発生する税金はどんなものがあるでしょう?
固定資産税と償却資産税です。
自家消費型の場合、後述する全良売電型に比べて節税面で優遇されているケースが多く、太陽光発電の導入を検討しているなら、自家消費型がおすすめと言えるでしょう。
全量売電型太陽光発電の場合
全量売電型太陽光発電とは、太陽光発電で得られたエネルギーを電力会社へ売電する方法です。
発電したエネルギーで利益を得るため、投資目的で導入する企業が多いです。
固定価格買取制度(FIT)の認定を取得すれば、一定価格で電力会社へ売電が可能です。
ただし、全量売電型は2020年度以降「設置容量50kW以上」「ソーラーシェアリングのみ10kW以上」のいずれかに該当しなければ発電できません。
全ての法人がすぐに太陽光発電で得たエネルギーを売電できるわけではないため注意しましょう。
また、全量売電型で発生する税金は以下の通りです。
- 法人税
- 償却資産税
- 固定資産税
それぞれ順に解説します。
法人税
全量売電型で得た売電収入は、事業所得に該当するため法人税が発生します。
太陽光発電で売電した収入は、地方法人税を含めて収入金額の1.629%になります。
売電収入以外の金額に関しては別で算出されるため、売電収入のみ確認しましょう。
償却資産税
全量売電型と自家消費型のいずれも償却資産税が発生します。
償却資産税とは、企業が保持する土地や家屋以外の機材・設備に対して発生する税金です。
課税標準額が150万円以上の場合に課税される税金であり、多くの太陽光発電で課税されます。
また、太陽光発電の法定耐用年数は17年に設定されており、どの発電方法でも期間は同じです。
償却資産は毎年申告を行い、償却資産台帳への登録が求められます。
固定資産税
全量売電型で太陽光発電と併せて土地を購入する場合、固定資産税が発生します。
固定資産税とは、住宅や土地・備品などの償却資産を総称した固定資産にかかる税金です。
太陽光発電の設備に関しては償却資産税が課されますが、設置している土地にも税金の支払いが必要です。
太陽光発電を設置した土地の地目は「雑種地」に分類されます。
太陽光発電と土地を同時に購入する場合は必ず発生する税金のため、事前に確認しておきましょう。
太陽光発電で節税する方法3選
法人が太陽光発電の導入で節税する方法は、以下の通りです。
- 税制優遇・税制控除を活用する
- 届出を提出して消費税を免除する
- 導入設備を経費として計上する
それぞれ順に解説します。
税制優遇・税制控除の活用
法人が太陽光発電の導入で節税する方法として、税制優遇・税制控除の活用が挙げられます。
自家消費型と全量売電型のいずれも各種制度を活用できるため、積極的な利用がおすすめです。
また、税制優遇制度を活用する場合、即時償却を選択するケースが多いです。
即時償却とは、太陽光発電の導入した初年度に減価償却費を一括もしくは30%の償却が可能な制度です。
即時償却を利用すれば太陽光発電を導入した初年度でも、大幅に節税効果が期待できます。
太陽光発電に関連する多くの優遇制度は即時償却を採用しているため、仕組みを理解しておくと良いでしょう。
ただし、制度によって対象や優遇率が異なるため、自社にマッチする内容か十分に確認が必要です。
法人が太陽光発電の節税で用いられる税制優遇・税制控除は、以下の通りです。
- 中小企業経営強化税制
- 中小企業投資促進税制
それぞれ順に解説します。
中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制とは、中小企業の設備投資の強化や生産性向上をサポートする制度です。
対象 | ・法人および個人事業主 ※資本金または出資金が1億円以下 ※資本金または出資金を有しない法人の場合は、 常時使用する従業員が1,000人以下 |
支援措置 | ・資本金3,000万円以下の中小企業者の場合、 「即時償却」または「10%の税額控除」 ・資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者の場合、 「即時償却」または「7%の税額控除」 |
適用期間 | 令和6年度末まで |
対象の太陽光発電設備 | ・自家消費型太陽光発電設備 ・余剰売電型太陽光発電設備 |
中小企業等経営強化法の認定を受け、経営力向上計画に基づいて設備を取得し事業に利用することで取得価格の最大10%の税額控除を受けられます。
支援措置は企業規模によって異なり、即時償却によって7%〜10%の税額控除が可能です。
中小企業投資促進税制
中小企業経営強化税制とは、中小企業の設備投資の強化や生産性向上をサポートする制度です。
対象 | ・法人および個人事業主 ※資本金または出資金が1億円以下 ※資本金または出資金を有しない法人の場合は、 常時使用する従業員が1,000人以下 |
支援措置 | ・資本金3,000万円以下の中小企業者の場合、 「30%の特別償却」または「7%の税額控除」 ・資本金3,000万円超1億円以下の中小企業者の場合、 「30%の特別償却」 |
適用期間 | 令和6年度末まで |
対象の太陽光発電設備 | ・自家消費型太陽光発電設備 ・余剰売電型太陽光発電設備 |
支援措置は事業者の資本金額によって異なり、最大で30%特別償却もしくは7%税額控除が受けられます。
届出を提出して消費税を免除する
法人が太陽光発電の導入で節税する方法として、消費税の免除申請が挙げられます。
全量売電型の太陽光発電の場合、届出を提出すれば消費税還付制度を活用できます。
消費税還付制度では、設備導入費で発生した消費税から売電収入を差し引いた金額全てを免除できます。
また、課税事業者の場合は消費税の還付を受けられます。
売上高1,000万円以上の免税事業者の場合は、消費税の納付が免除されるため、企業の売上規模も節税に重要な部分です。
しかし、太陽光発電の消費税還付制度は、事業初年度に限定されています。
翌年以降は売電収入の消費税は全額納付が求められ、3年間は免除申請は出せません。
さらに、消費税の免除ができるのは全量売電制度に限定されており、自家消費型の太陽光発電には適用されないため注意しましょう。
導入設備を経費として計上する
太陽光発電を導入する際は、設備を計上すれば節税できます。
太陽光発電に関連する設備は償却資産として計上されます。
自家消費型と全量売電型のいずれも償却資産として計上できるため、最大17年は設備の減価償却が可能です。
もちろん、減価償却でも17年目以降も太陽光発電の設備が使えなくなるわけではありません。
耐用年数が17年だけとなるため、毎年資産として計上しましょう。
また、太陽光発電の運営に必要な設備も維持管理費として計上できます。
修理費用や水道光熱費は経費となるため、運営時に発生している費用を計算しておきましょう。
太陽光発電の節税額と計算例
太陽光発電の設備を減価償却する際は、以下2つのいずれかで計算を行う必要があります。
- 定額法
- 定率法
それぞれ順に解説します。
定額法の場合
定額法とは、算出した一定金額を毎年減価償却する方法です。
毎年同じ金額で資産を償却するため、年度によって差を出すことなく計上できます。
償却金額は「取得金額 / 法定耐用年数」で求められます。
太陽光発電の場合、基本的な法定耐用年数は17年に決められています。
実際に定額法で5年間計算した金額は、以下の通りです。
未償却残高 | 減価償却費 | |
---|---|---|
1年目 | 500万円 | 29万円 |
2年目 | 471万円 | 29万円 |
3年目 | 442万円 | 29万円 |
4年目 | 413万円 | 29万円 |
5年目 | 384万円 | 29万円 |
定額法で減価償却した場合、資産の償却後簿価が1円になるまで計上が必要です。
定額法は毎年一定の金額を償却できるため、毎年安定した利益が出ている企業に最適な計算方法です。
定率法の場合
定率法とは、毎年一定の割合を算出して減価償却する方法です。
設備を導入した直後の減価償却費が最も高く、年々償却額が小さくなる計算方法です。
定率法の計算方法は初年度が「取得価額 × 償却率」となり、2年目以降は「取得価格 – 1000年までの減価償却累計額 × 償却率」です。
太陽光発電に関連する設備は、定率法の場合11.8%が償却率になります。
実際に500万円で太陽光発電の設備を導入した場合、計算は以下の通りです。
【初年度】
・500万円×11.8%=約59万円
【2年目以降】
・(500万円-59万円)×11.8%=52万円
5年目までを計算した場合は、以下の通りです。
未償却残高 | 償却率 | 減価償却費 | |
---|---|---|---|
1年目 | 500万円 | 11.8% | 59万円 |
2年目 | 441万円 | 11.8% | 52万円 |
3年目 | 389万円 | 11.8% | 45万円 |
4年目 | 349万円 | 11.8% | 40万円 |
5年目 | 309万円 | 11.8% | 36万円 |
定率法は初年度の減価償却費が最も高い計算方法です。
太陽光発電を導入した初年度にできるだけ節税したいと考えている企業に最適な計算方法と言えるでしょう。
太陽光発電で節税する際の注意点
太陽光発電で節税する際の注意点は、以下の通りです。
- 導入設備によって耐用年数が異なる
- 適用した計算方法は3年間変わらない
- 税金の優遇措置は縮小される可能性がある
それぞれ順に解説します。
導入設備によって耐用年数が異なる
法人が太陽光発電の設備を導入する場合、耐用年数は最大17年と設定されています。
固定資産として減価償却を行えば、効率的に節税が可能です。
しかし、太陽光発電に関する全ての設備が17年の耐用年数が設定されているわけではありません。
例えば、中古で太陽光発電の設備を導入した場合、内容によっては10年以下となるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
さらに、減価償却の対象は事業用かつ、使用期間が1年で取得金額が10万円以上と設定されています。
つまり、太陽光発電に関連する設備でも10万円以下の場合、減価償却では生産できません。
導入後に対象外と発覚すれば損をする可能性があるため注意が必要です。
適用した計算方法は3年間変わらない
太陽光発電の設備を減価償却する際は、前述した2つの計算方法を用います。
一度選択した計算方法は、3年間変更ができません。
例えば、「初年度は定額法で2年目からは定率法を選択する」といった方法は基本できません。
やむを得ず計算方法を変更する際は、税務署で手続きを行う必要があるため注意しましょう。
税金の優遇措置は縮小される可能性がある
太陽光発電の導入には様々な節税制度を活用できますが、今後は必ず使えるわけではありません。
国の方針により優遇措置が縮小されたり、地方自治体により制度内容が変わったりする可能性があります。
2023年時点では国全体で太陽光発電を支援する動きが期待できるものの、優遇制度は社会情勢によって大きく左右されます。
そのため、太陽光発電の導入を税制優遇に頼り過ぎないよう注意しましょう。
まとめ
以上、法人が太陽光発電の導入で節税する方法3選を解説しました。
太陽光発電は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、注目されている再生可能エネルギーです。
導入に初期費用とランニングコストがかかるものの、発生する税金を知り、正しく対策すればコストを抑えられます。
法人の太陽光発電を導入する際の節税対策や計算方法を把握し、ぜひ実施してみてください。