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エネルギーマネジメントシステムの仕組みとは?計測・見える化・制御の流れを専門家がわかりやすく解説

エネルギーマネジメントシステムの仕組みとは?計測・見える化・制御の流れを専門家がわかりやすく解説

エネトク編集部

エネトクは全国18,000件以上の法人様に省エネ・コスト削減の支援実績があります。あらゆる業種に対応できる専門性高いコンサルタントがエネルギーコストにまつわる様々なお悩みに合わせて、省エネのフルサポートをおこなっています。

電気代の高騰や脱炭素経営への対応を背景に、エネルギーマネジメントシステム(EMS)への関心は高まっています。

EMSは単に使用電力量をグラフで表示する仕組みではなく、設備ごとのエネルギー使用を計測し、データを蓄積・分析し、その結果をもとに運用改善や設備制御へつなげる仕組みです。現場で本当に効果を出すには、「見える化」だけで終わらせず、改善まで回すことが重要です。

ここでは、EMSメーカーで実際に提案・導入支援に携わった経験も踏まえながら、EMSの仕組みをわかりやすく解説します。

エネルギーマネジメントシステムとは何か

エネルギーマネジメントシステムとは、電気・ガス・熱などのエネルギー使用状況を把握し、無駄や異常を見つけ、設備運用や制御によって最適化する仕組みです。家庭向けのHEMS、ビル向けのBEMS、工場向けのFEMSなど用途ごとに分類されますが、本質は共通しています。

重要なのは、EMSを単なる監視画面ではなく、エネルギーの使い方を改善するための基盤として捉えることです。実務では「何にどれだけ使っているか」がわからない状態では改善の打ち手が決まらないため、EMSは省エネ活動の出発点として非常に重要な役割を果たします。

EMSの基本概念に加えて、種類や導入メリット・デメリットまで全体像を整理したい場合は、EMSの基礎知識をまとめた解説記事もご覧ください。

エネルギーマネジメントシステムとは?メリットや種類まで徹底解説

エネルギーマネジメントシステムの基本的な役割

EMSの役割は、大きく分けて「把握」「分析」「改善」の3つです。まず、受変電設備や分電盤、空調、照明、生産設備などからデータを取得し、どこでどれだけエネルギーを使っているのかを把握します。

次に、そのデータを分析し、ピーク電力の発生要因や夜間の無駄運転、設備効率の低下などを洗い出します。最後に、設定変更やスケジュール制御、運用ルールの見直しなどによって改善を実行します。

現場では、データを見える化して終わってしまうケースもありますが、EMSの本来の価値は改善アクションにつなげるところにあります。つまり、数字を見せるためのシステムではなく、エネルギーコストと運用の最適化を実現するための仕組みだといえます。

なぜ今エネルギーマネジメントシステムが注目されているのか

EMSが注目されている背景には、電気料金の上昇だけでなく、脱炭素経営やESG対応、取引先からの環境配慮要請の強まりがあります。

以前は「省エネ担当者向けのシステム」と捉えられることもありましたが、現在では経営課題として導入を検討する企業が増えています。特に工場やオフィス、店舗では、電気代の削減と同時に、設備運用の効率化やCO2排出量の可視化が求められる場面が増えています。

筆者がメーカー側で提案していた頃も、単なる節電目的ではなく、「電気料金の高騰対策」「脱炭素の見える化」「省エネ法対応」といった複合的な目的で相談を受けるケースが増えていました。EMSは、こうした複数課題に対応するための実務的な解決策として注目されています。

エネルギーマネジメントシステムの仕組み

EMSの仕組みは難しく見えますが、基本的には「計測する」「集める」「分析する」「制御する」という流れで成り立っています。つまり、現場で発生しているエネルギー使用をデータとして捉え、そのデータをもとに問題を見つけ、改善アクションにつなげる仕組みです。この流れのどこか一つでも欠けると、十分な効果は得られません。

たとえば、計測点が粗すぎると原因分析ができず、分析できても現場で制御や改善が実行されなければ成果にはつながりません。EMSはシステム単体ではなく、計測機器、通信、ソフトウェア、現場運用が一体となって初めて機能します。

設備やセンサーでエネルギーデータを計測する

EMSのスタート地点は、現場のエネルギー使用を正しく計測することです。具体的には、受電点の電力量計、分電盤ごとの電力計、空調機の運転信号、温湿度センサー、生産設備の稼働データなどを取得します。
ここで重要なのは、単に全体使用量を見るのではなく、改善に必要な粒度で計測できているかどうかです。実際の現場でも、全体の電力量だけ把握していても、どの設備が無駄を生んでいるのかまではわからないケースが少なくありません。

たとえば工場であれば、空調・コンプレッサー・生産ラインなど主要な負荷ごとに分けて見られると、改善策が立てやすくなります。
一方で、測定点を増やしすぎると導入コストが高くなるため、目的に応じた設計が必要です。この計測設計の精度が、その後の分析精度を大きく左右します。

収集したデータをクラウドや管理画面で見える化する

計測したデータは、ゲートウェイやコントローラを通じてクラウドやサーバーに集約され、管理画面で可視化されます。ここでの見える化とは、単にグラフを表示することではなく、設備別・時間帯別・拠点別など、意思決定に使える形で整理することを指します。現場では、高機能な画面があっても、誰が何を見るのか決まっていないと、すぐに使われなくなることがあります。

逆に、ピーク電力の警報、前日比較、原単位の推移など、現場がすぐ判断できる指標を絞って表示すると、改善アクションにつながりやすくなります。筆者の経験でも、使われるEMSは「画面が多機能なもの」ではなく、「現場担当者が毎日見る指標が明確なもの」でした。

見える化は目的ではなく、改善のための気づきを得る手段であることを忘れてはいけません。

データ分析によって無駄や異常を発見する

見える化されたデータをもとに、無駄や異常を発見するのが分析フェーズです。

たとえば、毎週同じ時間帯に最大需要電力が跳ね上がっていれば、一斉起動が原因かもしれませんし、夜間の電力使用量が高ければ停止忘れや待機電力が疑われます。

また、外気温と空調電力の関係を見れば、設定温度や運転時間が適正かも判断しやすくなります。ここで重要なのは、単に「数字が高い」「低い」と判断するのではなく、現場の運用状況や生産スケジュールと照らし合わせて原因を考えることです。

EMSの分析は、ソフトウェアだけで完結するものではなく、現場知見と組み合わせることで精度が高まります。メーカー在籍時にも、分析画面だけを見て判断した結果、実際には繁忙期対応で一時的に負荷が増えていただけだった、というケースがありました。数字だけで決めつけない視点が重要です。

設備制御によってエネルギー使用を最適化する

分析結果を実際の省エネ成果につなげるのが制御フェーズです。代表的なものとしては、空調の温度設定変更、照明のスケジュール制御、ピーク時の負荷抑制、複数設備の起動タイミング調整などがあります。特に、最大需要電力を抑えるデマンド制御は、基本料金の削減につながりやすいため、多くの事業所で有効です。

ただし、ここで注意したいのは、削減だけを優先すると快適性や生産性に悪影響を及ぼす可能性があることです。
たとえば工場で空調を過度に制御すれば作業環境が悪化し、品質トラブルにつながるおそれがあります。オフィスでも、利用実態を無視した一律制御は不満の原因になります。

EMSの制御は「止めること」ではなく、「必要な範囲で最適化すること」が本質です。そのため、上限・下限、例外運転、手動介入のルールまで含めて設計することが信頼性につながります。

エネルギーマネジメントシステムの主な種類

EMSには、対象施設や用途に応じていくつかの種類があります。

よく知られているのがHEMS、BEMS、FEMSですが、それぞれ管理対象や改善目的が異なります。この違いを理解しないまま導入を進めると、自社に合わないシステムを選んでしまう可能性があります。

重要なのは、名称の違いだけでなく、何を管理し、何を最適化したいのかという視点で選ぶことです。

HEMS・BEMS・FEMSの違い

HEMSは家庭向け、BEMSはビル向け、FEMSは工場向けのエネルギーマネジメントシステムです。

HEMSは家電や太陽光、蓄電池との連携が中心となり、比較的シンプルな省エネ行動支援が主目的です。一方、BEMSはオフィスビルや商業施設を対象とし、空調・照明・熱源などを横断的に管理しながら、快適性と省エネの両立を目指します。FEMSはさらに工場特有の要件が強く、生産設備の稼働情報や工程との関係、原単位管理まで含めて最適化を図ることが多いです。

つまり、同じEMSでも、対象が変われば設計思想も変わります。自社に適したEMSを検討する際は、「何をどこまで見たいか」「制御が必要か」「設備運用まで改善したいか」という観点から選定することが重要です。

中小企業や工場、オフィスで導入されるEMSの特徴

中小企業やオフィスでは、まず主要設備の使用状況を把握することを目的に、比較的シンプルなEMSから導入するケースが多くあります。たとえば、受電点、空調、照明、冷凍設備などだけを分けて計測する構成でも、十分に改善の糸口が見つかることがあります。

一方、工場では、コンプレッサーや熱源、生産ライン単位の使用量など、工程とエネルギーの関係を追える設計が必要になることが多いです。ここで大切なのは、高機能であることが必ずしも正解ではないという点です。機能が多くても、現場が使いこなせなければ意味がありません。

筆者の経験でも、成功している現場ほど、最初は課題の大きい設備に絞って導入し、改善成果を確認しながら段階的に拡張していました。導入しやすさと継続運用のしやすさを両立させることが重要です。

エネルギーマネジメントシステムを導入するメリット

EMS導入のメリットは、単なる電気代削減にとどまりません。契約電力の抑制、設備運用の改善、異常の早期発見、脱炭素経営への対応など、幅広い効果が期待できます。

ただし、成果の大きさは、計測設計や運用体制、改善対象の明確さによって変わります。そのため、メリットを過大評価するのではなく、どのような条件で成果が出やすいかを理解しておくことが重要です。

電気代の削減につながる

EMSが電気代削減に効果的なのは、使用量を減らすだけでなく、契約電力に影響するピーク電力を抑えられるからです。特に高圧受電の事業所では、最大需要電力が基本料金に大きく影響するため、ピーク抑制の効果は非常に大きくなります。

また、夜間の不要運転や立ち上げ時の一斉起動なども、EMSで見える化することで改善しやすくなります。ただし、注意したいのは、EMSを入れただけで自動的に削減できるわけではないということです。現場で何を変えるのか、誰が判断するのかが曖昧だと、期待した効果は出ません。実際に成果が出る現場では、導入前に「どの負荷を、どの時間帯で、どう改善するか」という仮説が立てられています。

EMSは魔法の装置ではなく、削減の根拠を示し、実行を支える仕組みだと理解することが大切です。

設備運用の改善と業務効率化が期待できる

EMSのもう一つの大きなメリットは、設備運用の改善と業務効率化です。現場では、空調や照明、生産設備の運転が担当者の経験や勘に依存していることも少なくありません。EMSを導入すると、データに基づいて運転状況を確認できるため、設定の見直しや異常の早期発見がしやすくなります。

たとえば、休日も設備が動いている、立ち上げ時間が長すぎる、負荷のかかり方が不自然である、といった問題を客観的に把握できます。

また、月次報告やエネルギー使用量の集計作業も効率化できるため、施設管理部門の業務負担軽減にもつながります。筆者の経験でも、EMSを「省エネツール」として導入したものの、最終的には「設備管理の標準化ツール」として高く評価されたケースがありました。数値で把握できることが、現場の再現性を高めるからです。

脱炭素経営や省エネ法対応にも役立つ

近年、EMS導入の目的として増えているのが、脱炭素経営や各種報告対応への活用です。エネルギー使用量を正確に把握できれば、拠点別・設備別のCO2排出量把握や、削減施策の効果検証がしやすくなります。また、省エネ法対応や社内外への報告資料作成の基盤としても役立ちます。ただし、ここで注意すべきなのは、EMSの数値がそのまま外部報告に使えるとは限らないことです。

CO2排出量の算定には、電力係数や集計ルールなど別途確認すべき条件があります。そのため、「データがある」ことと「そのまま対外説明できる」ことは別であると理解しておく必要があります。信頼性の高い運用を目指すなら、社内利用と対外開示の用途を分けて考え、必要に応じて専門家や制度要件を確認することが重要です。

エネルギーマネジメントシステムの導入で押さえるべきポイント

EMS導入は、単に製品を選ぶだけでは成功しません。目的設定、計測設計、運用体制まで含めて考える必要があります。実際の現場でも、システム自体の性能より、「何のために導入するのか」「導入後に誰がどう使うのか」が曖昧なことで失敗するケースが多く見られます。ここでは、導入前に押さえておきたい重要ポイントを整理します。

導入目的を明確にする

EMSを導入する際に最初に決めるべきなのは、導入目的です。

電気代削減を目指すのか、デマンド監視をしたいのか、設備異常を早期発見したいのか、あるいは脱炭素対応のためなのかによって、必要な機能や設計は大きく変わります。現場では「まず見える化したい」という相談が多いのですが、見える化は手段にすぎません。何を見て、何を改善するのかまで決めておかないと、システムは導入されても活用されにくくなります。

たとえば、ピーク抑制が目的なら警報設定や制御対象の優先順位が必要ですし、設備更新の判断が目的なら、季節変動や稼働率を把握できる分析軸が必要になります。導入効果を最大化するには、最初に目的を具体化し、その目的に合わせて構成を考えることが不可欠です。

自社の設備や課題に合ったシステムを選ぶ

EMS選定では、多機能であることより、自社課題に合っていることが重要です。

たとえば、ビルであれば空調や照明の快適性との両立が重要ですし、工場であれば生産設備との連携や原単位分析が重視されます。中小規模施設であれば、まず主要設備の負荷内訳が見られるだけでも十分な成果が出ることがあります。ここで注意したいのは、既存設備との通信互換性、将来的な拡張性、アラート運用のしやすさ、サポート体制なども含めて評価する必要があることです。見た目の画面がわかりやすくても、要件定義が不十分だと導入後に使いにくくなることがあります。

筆者の経験上、成功している案件ほど、導入前のヒアリングで「何を改善したいか」が明確でした。製品比較だけでなく、自社の課題整理がシステム選びの前提になります。

導入後の運用体制まで見据える

EMSは導入して終わりではなく、導入後の運用で価値が決まります。ところが現場では、最初だけ注目されて、その後は誰も見なくなるケースもあります。これを防ぐには、誰が、どの頻度で、何を確認し、どう改善につなげるかを事前に決めておく必要があります。

たとえば、日次ではピーク電力、週次では設備ごとの推移、月次では削減率や原単位を確認するなど、確認ルールを決めると定着しやすくなります。また、現場担当者だけでなく、管理者や経営層にも見せる指標を整理することで、全社的な活用につながります。

Trustworthinessの観点からも、削減効果だけを強調するのではなく、教育コストや運用負荷、ルール整備の必要性まで説明しておくことが大切です。EMSはシステム導入ではなく、改善活動の仕組みづくりだと考えるべきです。

EMSは、設備構成や課題によって最適な設計が異なります。
自社に合う導入方法を知りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

 

エネルギーマネジメントシステムに関するよくある質問

EMSの導入を検討する段階では、「見える化だけでも効果があるのか」「中小企業でも使えるのか」「補助金は使えるのか」といった疑問を持つ方が多くいます。ここでは、そうしたよくある質問に対して、実務上の注意点も交えながら整理します。

見える化だけでも効果はあるのか

見える化だけでも一定の効果はあります。これまで気づかなかった夜間負荷や休日運転、ピーク発生時間帯などが見えるようになることで、不要運転の削減や設定見直しにつながるからです。実際、データを確認しただけで無駄な運転をやめ、すぐに電力使用量が下がるケースもあります。ただし、その効果が継続するかは別問題です。見える化後に誰が何を改善するのかが決まっていないと、最初だけで終わることが多いからです。

EMSの本質は、見える化そのものではなく、見えた課題を継続的に改善できる状態をつくることにあります。つまり、見える化はゴールではなくスタートです。継続的な成果を求めるなら、アラート対応や定例確認、設定改善の仕組みまでセットで設計する必要があります。

中小企業でも導入できるのか

中小企業でもEMS導入は十分可能です。以前は大規模施設向けの高額システムが中心でしたが、現在ではクラウド型や段階導入型の選択肢も増えています。重要なのは、最初から完璧なシステムを目指すのではなく、課題の大きい設備や負荷から着手することです。

たとえば、空調、冷凍設備、コンプレッサー、受電点のデマンド監視だけでも、改善余地が見えることがあります。ただし、コストだけを優先して計測粒度が粗すぎると、原因分析ができず、導入効果がわかりにくくなることがあります。

そのため、安価さだけで選ぶのではなく、自社課題を解決するために最低限必要な計測構成を見極めることが重要です。小さく始めて成果を見ながら広げる進め方が、中小企業には特に向いています。

補助金を活用できる場合はあるのか

EMS導入は、年度や制度によって補助金の対象になる場合があります。省エネ投資支援やエネルギー需要最適化関連の支援制度の中で、EMS導入が対象に含まれることもあります。ただし、ここで注意すべきなのは、制度内容や公募時期、補助率、対象設備、申請要件は毎年変わる可能性があることです。

そのため、過去情報だけを見て判断するのは危険です。実務でも、「以前は対象だったから今回も大丈夫だろう」と進めた結果、対象外だったという例は珍しくありません。

Trustworthinessの観点からも、「補助金が使える」と断定するのではなく、必ず最新情報を確認し、必要に応じてベンダーや支援機関に相談することが大切です。補助金は導入を後押しする手段であって、投資判断の本質は導入後の効果と運用定着にあります。

まとめ

エネルギーマネジメントシステムの仕組みは、計測・見える化・分析・制御という流れで成り立っています。重要なのは、EMSを単なる監視画面ではなく、エネルギー使用を最適化し、継続的な改善につなげるための仕組みとして捉えることです。

導入効果を高めるには、計測点の設計、改善目的の明確化、現場での運用体制まで含めて考える必要があります。見える化だけで終わらず、改善活動を回せる状態をつくることが、EMS導入成功のカギです。

EMSは、設備構成や課題によって最適な設計が異なります。
自社に合う導入方法を知りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

 

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