投稿日:
キュービクルの設置基準は?~正しく設置するためのポイント~
キュービクルには設置基準が定められていることをご存じでしょうか。
キュービクルの設置には、いくつかの基準を満たす必要があります。
この記事では、設置場所によるキュービクルの設置基準の違いや設置のポイントまで詳しく紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください。
Contents
キュービクルの設置基準は?
キュービクルの設置基準は、キュービクルの種類や設置場所によって異なります。
キュービクルは、認定キュービクル・推奨キュービクルの2種類があります。
ここからは2種類のキュービクルの違いやそれぞれの設置基準について解説していきます。
認定キュービクルと推奨キュービクルの違い
認定キュービクルと推奨キュービクルの大きな違いは、隔壁(内部の仕切り)の有無です。
認定キュービクルは、安全基準を満たすために、各機器(受電、変圧、配電など)の間に隔壁を設置することが求められています。
隔壁により、作業者の安全の確保や点検や保守点検時のリスクが軽減でき、安全性が向上しますが、設計や製造コストが高くなる場合があります。
対して、推奨キュービクルは隔壁がない場合が多いです。
法令や規格で厳密な隔壁設置が求められないため、コスト削減やスペース効率を優先する場合、隔壁を省略する設計が一般的です。
隔壁がないことで、内部が開放的な構造になり、設置コストが抑えられますが、安全性や事故発生時の影響範囲については注意が必要です。
認定キュービクルの設置基準
消防法では、火災発生時に非常に機能する非常用電源の設置が義務付けられています。
消防庁告示第7号に適合しているキュービクル式非常電源専用受電設備として、認定委員会で認定されたキュービクル式高圧受電設備が「認定キュービクル」と呼ばれています。
認定キュービクルの設置に必要な条件は、主に下記の2つです。
- 非常用電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備が備わっていること。
- 屋内に設置する場合は、周りの建物と3m以上、屋外に設置する場合は、1m以上距離を取る。
推奨キュービクルの設置基準
推奨キュービクルとは、日本電気協会が定めたキュービクル式高圧受電設備推奨規程に適合していると認められたキュービクルです。
屋内に設置される場合は不燃材で区画された室に設置された場合と同等として扱われ、屋外に設置される場合は、周りの建物と1m以上距離を取る必要があります。
場所によって異なる設置基準
キュービクルの設置基準は設置される場所によっても異なります。ここでは、屋内に設置する場合と屋外に設置する場合を比較して解説していきます。
屋内の設置基準
- 換気設備:熱がこもらないように十分な換気を確保。(自然換気または強制換気)
- 耐火性能:建築基準法で認定された耐火基準に適合する必要がある。
- 防音対策:騒音が発生する場合、適切な防音対策が必要。
屋外の設置基準
- 耐候性:屋外仕様のキュービクルを使用し、防水・防塵性能(IP規格など)が要求される。
- 離隔距離:周囲の建物や障害物から安全な距離を確保。
- 基礎構造: 地震や風による倒壊を防ぐため、基礎を十分に強化し、キュービクルを固定。
- 水防対策:浸水の可能性がある地域では高台設置や防水仕様が求められる。
キュービクルの設置のポイント
キュービクルの設置には、効率的かつ安全な運用を実現するための重要なポイントがいくつかあります。
ここでは、4つのポイントを紹介します。
設置場所の選定
キュービクルの設置場所を選定する必要があります。
安全性を確保するために、火災や水害などのリスクが少ない場所を検討しましょう。
また、メンテナンス作業や将来的な拡張に対応できるように十分なスペースを確保することをおすすめします。
キュービクルは一定の機械音と振動を発するため、周辺環境への配慮も忘れてはいけません。
十分な騒音対策をしないと、クレームにつながる可能性もあるので注意が必要です。
デザイン性の問題から建設計画の段階で、人目に付かないような場所に設置します。
景観を損ねないように、フェンスやルーバーなどでキュービクルを隠すことも重要です。
保守点検のしやすさ
キュービクルの設置に関して保守点検のしやすさは非常に重要です。
キュービクルの保守点検は、安全性や法律の遵守だけでなく省エネや環境保護にも重要な役割を果たします。
正しく設置されていない場合、点検作業が困難になり故障やトラブルの原因となる可能性があります。
設計と施工の工夫によって、保守点検がしやすくなり作業者の安全性や設備の運用効率が向上し、設備の長寿命化につながります。
※キュービクルの保守点検については、キュービクルの保守点検における省エネ!電気料金削減と環境保全の実現をご覧ください。
安全対策
キュービクルは高圧電力を扱う設備であるため、事故や災害を防ぐため安全対策をする必要があります。
感電・漏電・火災などのリスクを防ぐために、絶縁距離の確保、防火対策、適切な保護装置の選定と設定をします。
また、関係者以外の立ち入り禁止や高圧注意、感電注意、火気厳禁などの標識を分かりやすく設置も不可欠です。
経済的であるか
キュービクルの設置には、初期費用や保守点検のコストは必要になりますが、毎月の電気料金が抑えられるため長い目で見れば経済的なメリットがあると言えます。
キュービクルの導入前に、電力使用量や運用条件を正確に把握し、費用対効果をシミュレーションすることで、経済的に最適な選択ができます。
キュービクルの導入メリット
キュービクルを導入することで以下のようなメリットを得ることができます。
- コスト削減
- 省スペース設計
- 安定した電力供給
- 企業のイメージ向上
順番に解説します。
コスト削減
キュービクルを導入することで、電力会社のトランスを通さずに自社で電気を管理することになります。
そのため、低圧電力より高圧電力は電気料金単価が割安に設定されているため、電気料金を抑えることができます。
電力消費量が多い事業所では特にその効果が大きくなります。
キュービクルの設置には初期費用がかかりますが、長期的にはコスト削減効果が期待できます。
また、国や自治体が提供する補助金制度を利用することでコストをさらに削減することもできます。
省スペース設計
キュービクルはすべての機器が1つの箱の中にまとまった構造になっているので、設置に必要な面積が少なくて済み、建物内に限らず建物の外や屋上などいろいろな場所に設置できます。
各装置がコンパクトに構成されているため、点検作業がスムーズに進むこともメリットの1つと言えます。
安定した電力供給
キュービクルは高圧電力を受電し、設備内で適切な電圧に変換することで安定した電力供給を実現します。
これにより、電圧変動や緊急リスクが軽減され、特に生産ラインやITシステムなど電力の安定性が重要な場面で効果を発揮します。
企業のイメージ向上
キュービクルを導入することで、電力供給に対する自立性や信頼性を確保していることが証明されます。
安定した電力供給を確保する姿勢が、取引先や顧客からのイメージ向上に繋がります。
まとめ
キュービクルの設置基準や設置のポイント、メリットについて解説しました。
キュービクルの設置には、安全を確保するためにさまざまな決まりが存在します。
設置基準はキュービクルの種類や設置場所によって異なるため導入前に、キュービクルを管理するための準備を事前に整えましょう。
また、キュービクルの導入後には長く、安全に使用するために定期的に点検を行い、異常は初期段階に発見することでキュービクルを長く使い続けることができます。