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【企業向け】家庭用蓄電池で代用できる?産業用蓄電池との違いを5つのポイントからやさしく解説

「蓄電池を導入すれば停電対策や電気代の節約に役立つ」と聞いたものの、「家庭用と産業用って何が違うの?」という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
特に、企業や施設で導入を検討している方の中には、「家庭用蓄電池でも代用できるのでは?」と感じているケースも少なくありません。
家庭用蓄電池と産業用蓄電池は、容量や用途、目的などによって大きな違いがあります。
産業用蓄電池が必要なのに、家庭用蓄電池を設置したら思っていたメリットを享受できなかったという最悪なケースにもなりかねません。
この記事では、「家庭用蓄電池 産業用蓄電池 違い」というキーワードを軸に、それぞれの用途・性能・コスト・導入のポイントについて詳しく解説します。
Contents
家庭用蓄電池と産業用蓄電池とは?
家庭用蓄電池
家庭用蓄電池は、主に一般家庭向けに設計されたエネルギー貯蔵システムです。
主な目的は、太陽光発電で得た電力を効率的に使ったり、停電時に最低限の生活インフラを維持したりすることにあります。容量は通常4〜15kWh程度と比較的小さく、冷蔵庫や照明、テレビ、エアコンの一部など、限られた電力消費機器を一定時間稼働させることができます。
また、家庭用蓄電池の多くはコンパクトで設置スペースが小さく、工事も比較的簡単に行える点がメリットです。
ただし、あくまで家庭の消費量を想定したスペックとなっているため、大きな電力を扱う業務用用途には不向きです。
産業用蓄電池
産業用蓄電池は、工場・商業施設・オフィスビル・病院・データセンターなどの大規模エネルギー需要に対応するために開発された高性能な蓄電システムです。
容量は数十〜数千kWh規模、出力も高く、複数機器や設備を同時に稼働させることが可能です。
導入の目的は多岐にわたり、災害時のBCP対策、電力のピークカット、再エネとの組み合わせによるコスト削減、系統の安定化などが挙げられます。最近では、カーボンニュートラルや再エネ拡大政策の追い風を受け、企業が環境投資の一環として導入する事例も増加しています。
産業用蓄電池については、【知らないと損】産業用蓄電池の導入メリットは5つ!企業が検討すべき理由を徹底解説の記事で詳しく解説しています。
家庭用蓄電池と産業用蓄電池の違いを5つのポイントで比較
「家庭用蓄電池と産業用蓄電池はどう違うのか?」という疑問を持つ企業担当者の方は少なくありません。見た目や基本的な役割が似ていても、その性能・用途・導入効果には大きな差があります。
ここでは、両者の違いを5つの視点から比較し、それぞれのポイントを解説します。
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容量と出力
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用途
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設置規模
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価格帯
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管理と制御
順番に解説します。
1. 容量と出力の違い
まず最も大きな違いが「蓄電容量と出力」です。
家庭用蓄電池はおおむね4〜15kWh程度が主流で、冷蔵庫や照明、テレビなど最低限の生活インフラを短時間支えるレベルに設計されています。
一方、産業用蓄電池は数百〜数千kWhの大容量モデルもあり、空調設備や工場ラインなどの業務用機器を長時間稼働させることが可能です。また、出力も高く、電力需要の高い機器にも安定して電力を供給できる点が大きなメリットです。
2. 用途と目的の違い
家庭用蓄電池の主な用途は、災害時の非常用電源や電気代の節約(太陽光との連携)など、家庭レベルの「安心」と「節電」が中心です。
対して産業用蓄電池は、BCP対策(事業継続計画)やピークカット、再生可能エネルギーの安定運用、需給調整など、事業継続や経営効率の改善を目的としています。近年はBCP対策で蓄電池を導入する企業が増加しています。
企業が取り組むべきBCP対策については、中小企業が取り組むべきBCP対策とは?業種別の対策事例と実践ポイントを解説の記事で解説してしています。
3. 設置規模と工事要件の違い
家庭用蓄電池は、住宅の屋外やガレージなどに設置可能で、一般的な電気工事で完結します。住宅用太陽光発電システムと組み合わせるケースも多く、比較的導入しやすいのが特徴です。
一方で、産業用蓄電池はその容量に比例してサイズも大きく、屋内専用室やコンテナ設置、耐震構造などが求められるケースもあります。事前に敷地条件や建築制限なども確認が必要です。
4. 導入コストの違い
価格についても大きく異なります。家庭用蓄電池は製品によって差はありますが、おおよそ50万〜200万円前後が相場です。
一方、産業用蓄電池は数百万円〜数千万円規模となり、初期投資額は高めです。
ただし、両者ともに国や自治体の補助金制度が活用できる場合があり、特に産業用は再エネ導入やカーボンニュートラル施策に絡めた補助が豊富に用意されています。
5. 管理と制御の違い
家庭用蓄電池は基本的に自動制御が前提で、使用者が細かく調整することはあまりありません。スマートフォンのアプリなどで簡単に状態を確認できる機種も多く、使い勝手は良好です。
対して産業用蓄電池は、エネルギーマネジメントシステム(EMS)と連携し、需要予測・制御・ピークシフトなどを高度に最適化します。複数拠点を一括管理できる機能もあり、企業のエネルギー戦略の中核を担う存在となっています。
企業が家庭用蓄電池で代用するリスクとは?
一見するとコストが安い家庭用蓄電池で代用したくなるかもしれませんが、企業用途においては大きなリスクを伴います。まず、容量・出力ともに足りないため、空調設備や大型機器などの稼働には対応できません。結果として、「使いたいときに使えない」という事態が発生します。
さらに、家庭用蓄電池は簡易的なシステムのため、施設全体のエネルギー制御や遠隔監視、複数拠点の一括管理などには非対応です。BCP対策やピーク電力削減といった経営視点の効果も薄く、長期的にはかえって非効率な投資になってしまう恐れがあります。
したがって、用途に合った蓄電池の選定が極めて重要です。
自社に合う蓄電池を選ぶための判断ポイント
蓄電池を導入する際は、「なぜ蓄電池を使うのか」「どの程度の電力をどの時間帯に必要とするのか」を明確にすることが重要です。
その上で、現在の電力使用量や将来的な設備拡張計画なども加味し、必要な容量・出力・制御機能を選定しましょう。
また、導入費用と運用コスト、補助金の有無、導入スケジュールも比較検討のポイントです。
最近では、初期費用を抑えるリースやPPAモデルも広がっており、資金面での選択肢も増えています。
家庭用で代用する前に、自社のニーズに本当に合っているかをプロと一緒に見極めることをおすすめします。
FAQ(よくある質問)
Q1. 家庭用蓄電池と産業用蓄電池はどちらが長持ちしますか?
A. 一般的に産業用蓄電池の方が高耐久かつ充放電サイクルが多いため、長寿命の設計になっています。家庭用は約10〜15年、産業用は使用条件にもよりますが15〜20年程度の耐用年数が想定されます。ただし、定期的なメンテナンスや使用環境によっても寿命は変わります。
Q2. 家庭用蓄電池を複数台設置すれば、産業用の代わりになりますか?
A. 複数設置することで一部の電力ニーズをカバーできる場合はありますが、産業用のような高出力・高度な制御・エネルギーマネジメント機能は代用できません。結果的にコスト効率が悪くなることもあるため、企業用途には産業用蓄電池が推奨されます。
Q3. 補助金制度は家庭用と産業用で異なりますか?
A. 異なります。家庭用は自治体主導の補助金が中心ですが、産業用は国の大型補助金や自治体の脱炭素支援、ZEB補助金などが適用される場合があります。導入前に活用できる制度を事前に確認することが重要です。
Q4. 蓄電池の導入に必要なスペースはどれくらいですか?
A. 家庭用蓄電池は屋外設置型でおおよそエアコン室外機程度のスペースで済みますが、産業用は大容量のためコンテナ型や屋内専用室など、より広いスペースと耐震・空調対策が求められるケースがあります。
Q5. 蓄電池を導入すると、電気代はどれくらい削減できますか?
A. 使用状況によりますが、ピークカットや再エネの自家消費により10〜30%程度の削減が見込めるケースもあります。特に産業用はエネルギーマネジメントシステム(EMS)と連携することで最適化が図れ、より高い削減効果が期待できます。
まとめ:家庭用と産業用の蓄電池、企業に必要なのはどちらか?
家庭用蓄電池と産業用蓄電池は、見た目や基本的な機能は似ていても、容量・出力・用途・価格・管理体制において大きく異なります。
企業が蓄電池を導入する目的であるBCP対策、ピーク電力の抑制、再エネの有効活用を本気で達成したいのであれば、産業用蓄電池の導入が不可欠です。
「コストが安いから家庭用でもいいのでは?」と考えるのは非常に危険で、想定通りの効果が得られず、結果として時間もお金もムダになる可能性があります。
まずは、自社の電力使用状況や施設規模に合った蓄電池の種類を知ることが、省エネ・災害対策の第一歩です。
エネトクでは、「産業用蓄電池の設置を検討しているが、どれがいいかわからない」「高すぎて見送っている」企業さまを、設置から運用まで一気通貫でサポートしています。お困りの方はお気軽にご相談ください。