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更新日:2024/11/21
太陽光パネルの廃棄はどうする?正しい方法と処分に関する問題
設置した太陽光パネル(ソーラーパネル)が不要になった際は、廃棄・処分を検討する必要があります。
しかし太陽光パネルの廃棄については、事前知識がないことも多く、結果として不適切な処分の仕方をしてしまうケースも現在は少なくありません。
一時期の太陽光パネルブームから時間は流れ、令和の時代に入った現在では、大量廃棄によるさまざまな問題が懸念されています。
そこで今回は、太陽光パネルの廃棄方法や廃棄に関する問題、注意点を解説していきます。
Contents
太陽光パネルを廃棄する際に知っておきたいこと
太陽光パネル廃棄を考えるときは、事前に以下の点を整理しておく必要があります。
- 太陽光パネルは産業廃棄物
- 太陽光パネルは売却できるか
詳細は以下で解説しますが、太陽光パネルは産業廃棄物のため、適切な方法で廃棄しなければ違法になります。
そのため「廃棄に手間・費用がかかるのは困る」というときは、不要な太陽光パネルの売却を検討するのも良いでしょう。
では、詳細を解説していきます。
太陽光パネルは産業廃棄物
太陽光パネルは、廃棄するうえでの分類は「産業廃棄物」にあたります。
通常、不燃ごみや粗大ごみとして捨てられるわけではないため、産業廃棄物として適切な廃棄を考える必要があります。
実際に各自治体では、太陽光パネルの正しい処分について注意喚起や、処分方法の案内を行っています。
参考:太陽光パネル(太陽電池モジュール)の適正処理について|埼玉県
産業廃棄物である太陽光パネルを不適切な方法で廃棄するのは、環境破壊を促す不法投棄であり、犯罪行為です。
不法投棄が発覚し起訴されれば、法人の場合は3億円以下の罰金刑に処される恐れがあるため、太陽光パネルは正しい知識を持って廃棄することが大切です。
太陽光パネルは売却できるか
太陽光パネルの廃棄には費用も手間もかかるため、売却を検討する方法もあります。
特に大手メーカーの太陽光パネルは、状態によっては高い価格で買い取ってもらえる場合があります。
通常は、太陽光パネルの買取業者に依頼する流れです。
しかしながら売却を考える際も、適切な方法で取り外し・運搬などの作業を行ってくれる業者を選ぶことが大切です。
たとえばスクラップなどを全般的に扱う業者は、太陽光パネルを適切に扱えない可能性があります。
結果的に不法投棄や有害物質発生などの問題が起これば、業者に依頼した意味がなく、依頼主として責任を問われることもあり得るでしょう。
廃棄するにしても売却するにしても、太陽光パネルの処分に関して正しい知識を持ち、適切な業者に相談することは不可欠となります。
太陽光パネルの廃棄に関する問題
太陽光パネルの廃棄には、現在、さまざまな問題が指摘されています。
具体的な問題は、以下が挙げられます。
- 太陽光パネルの不法投棄
- 不要な太陽光パネルを放置
- 各事業者の廃棄までのサポート不足
- 大量廃棄によって最終処分場の処理が追い付かない
それぞれどのような問題があるのか、詳細を見ていきましょう。
太陽光パネルの不法投棄
太陽光パネルに関する問題点として多くの場で指摘されているのは、不法投棄です。
前述のとおり太陽光パネルは「産業廃棄物」として処分する必要があり、「処分方法がわからない」「手続きが面倒」「廃棄費用が用意できない」などの理由から、不適切なかたちで廃棄されやすいからです。
現在、太陽光パネルの所有者には廃棄費用の積立が義務化されていますが、以前は積立は努力義務の範囲でした。
積立などで廃棄費用をスムーズに用意できない場合、不法投棄の問題は非常に起こりやすくなります。
不要な太陽光パネルを放置
近年は、放置された太陽光発電所、いわゆる「野良ソーラー」も大きな問題となっています。
不要な太陽光パネルの取扱いに困り、適切なメンテナンスも廃棄もせず、結果として放置してしまうケースです。
放置され、劣化した太陽光パネルには、以下のようなリスクが出てきます。
- 有害物質が発生することがある
- 通常より廃棄費用がかさむ恐れがある
- 売却しようとしても値段がつかない
太陽光パネルは天候や自然災害、雑草、動物などの影響を受け、不具合が出る可能性があります。
鉛・セレン・カドミウムなどの有害物質発生の恐れもあるため、大きなトラブルの元になります。
劣化した太陽光パネルは、いざ廃棄・売却するとなった際も、通常より廃棄費用がかさんだり買取価格がつかなかったりする可能性もあります。
各事業者の廃棄までのサポート不足
業者によって、廃棄までのサポートが不足している点も問題の一つといえます。
設置した太陽光パネルについて、どこまで面倒を見るかは、業者によって対応が異なるからです。
極端な例をいえば、アフターサービスやサポートが一切なく、施工して終了という体制の業者からは廃棄に関する適切なサポートを受けられません。
太陽光パネルの需要が高まったタイミングで、このようにサポートが不足している業者は一定数存在すると考えられます。
結果、廃棄の際にたらい回しにされたり、業者の倒産によって対応を受け付けてもらえなかったりするケースは珍しくありません。
大量廃棄によって最終処分場の処理が追い付かない
太陽光パネルは一時期から需要が高まったため、今後2040年頃をめどに、大量廃棄のタイミングが来ると予想されています。
経済産業省によれば、ピークが訪れた際の産業廃棄物の最終処分量に対して、使用済み太陽光パネルの年間排出量は6%に及ぶといわれています。
参考:2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題|経済産業省 資源エネルギー庁
これは産業廃棄物の最終処分場の逼迫を招く恐れがあり、実際に逼迫すれば、埋め立て地が見つからないなどの問題が起きる可能性があるでしょう。
問題を解決するには、銀・アルミなどの資源をできる限り有効利用するなどの対策が必要とされています。
太陽光パネルの適切な廃棄方法
では、太陽光パネルは、具体的にはどのような手順で廃棄すれば良いのでしょうか。
下記のケースに沿って、それぞれ解説していきます。
- 移転・改装・建て替えなどで不要になったパネルを廃棄するとき
- 太陽光パネルの寿命・故障・破損に伴い廃棄するとき
どのようなケースに当てはまるのかを整理しながら、適切な処分方法を検討してください。
移転・改装・建て替えなどで不要になったパネルを廃棄するとき
会社の移転や改装、事務所の建て替えなどに伴い、太陽光パネルが不要になった場合は、以下のような業者に相談しましょう。
- 解体業者
- リフォーム業者
- リサイクル業者
たとえば事務所を解体する際に太陽光パネルを処分する場合は、解体業者に、太陽光パネルの廃棄もまとめて依頼できる場合があります。
リフォーム業者・移転作業の業者などに依頼する際も同様です。
しかしいずれにしても、正しい手順で撤去・回収・運搬等ができる業者かどうかは、十分に確認する必要があります。
確認ポイントとしては、太陽光パネルの取扱い実績・資格の有無です。
なお、解体業者やリフォーム業者に依頼できない場合は移転や建て替えの前に、太陽光パネルの扱いが可能なリサイクル業者に相談する必要があります。
また、メーカーや施工業者のサポート・保証がある場合は、そちらに相談のうえ廃棄してもらうのも良いといえるでしょう。
太陽光パネルの寿命・故障・破損に伴い廃棄するとき
太陽光パネルの寿命や故障、経年劣化、破損などに伴って廃棄する場合は、メーカーや施工業者の保証が適用されることがあります。
したがって、最初に検討すべき相談先は太陽光パネルのメーカー・施工業者です。
特に廃棄してからまた新しい太陽光パネルを設置する予定のときは、交換もあわせて依頼できる業者が望ましいでしょう。
メーカーや施工業者と連絡が取れない・廃棄を受け付けてもらえない場合は、次の相談先として、リサイクル業者を検討してください。
太陽光パネルの廃棄手順
太陽光パネルを廃棄したいときは、以下の手順で業者に廃棄を依頼していきます。
- 施工業者やリサイクル業者に問い合わせる
- 現地調査・見積もりに来てもらう
- 廃棄費用の提示
- 問題なければ契約・支払い
- 廃棄日に業者に来てもらい、取り外し・回収作業を行ってもらう
- 設置場所に問題ないか最終点検を実施し、廃棄作業終了
- 業者が太陽光パネルを運搬し、適切な方法で廃棄する
※支払いなどのタイミングは業者によって前後します。
基本的に多くの作業は業者対応になりますが、現地調査や実際の回収作業のときは、立ち合いが必要になるでしょう。
具体的な流れを整理したうえで、トラブルなく、専門業者に太陽光パネル廃棄を依頼してください。
太陽光パネルの廃棄費用
ここからは、太陽光パネルの廃棄費用についての基礎知識を紹介していきます。
- 廃棄費用の相場
- 廃棄費用の積立は現在義務化されている
費用相場はあくまで目安ですが、参考として事前にチェックしておくと、廃棄のプランも立てやすくなります。
ほかには、廃棄費用の積立についても詳細を解説していきます。
廃棄費用の相場
太陽光パネルの廃棄費用の相場は、10kW以上の産業用ソーラーパネルの場合、1kWにつき30,000円ほどが目安です。
そのため規模や枚数によっては、合計で数十万以上の費用がかかることも決して珍しくありません。
また屋根に設置された太陽光パネルを取り外すときは、足場を組む必要があるため、足場代などもかかると想定されます。
ほかにも業者によってさまざまな費用(出張費・運搬費など)が設けられている場合があるため、見積もりを取る際は、内訳をよく確認しましょう。
少しでも安い費用で依頼したいときは、複数の業者に相談し、相見積もりを取ったうえで検討することも大事です。
廃棄費用の積立は現在義務化されている
太陽光パネルの廃棄費用については、2022年7月より、積立が義務化されています。
以前、不法投棄を懸念し国が調査を行ったところ、太陽光パネルの廃棄費用を積立などの方法で確保している事業者は、半数にも及びませんでした。
結果として現在は積立が義務化されたため、太陽光パネルを所有する際は、廃棄を想定して処分費用を積み立てておく必要があります。
「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度について」の資料によれば、たとえば10kW以上50kW未満の積立基準額は、1.33円/1kWhとされています。
参考:太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について|経済産業省 資源エネルギー庁
太陽光パネルの廃棄に関する注意点
太陽光パネルの廃棄に伴い、さまざまな問題を起こさないためには、以下の注意点を事前に押さえておく必要があります。
- 廃棄方法まで理解したうえで導入・施工を検討する
- 廃棄まで手厚くサポートしてくれる業者に施工を依頼する
- わからない点は自己判断しない
太陽光パネルは簡単に廃棄できるものではないため、最後まで責任をもって扱うことが必要です。
では、注意点を詳しく解説していきます。
廃棄方法まで理解したうえで導入・施工を検討する
太陽光発電をこれから取り入れる際は、廃棄方法と廃棄に関する問題・課題などをよく理解したうえで、導入・施工を検討する必要があります。
安易な導入は、認識不足による不法投棄・太陽光パネルの放置を招く原因の一つです。
太陽光パネルの寿命は20年~30年が一般的のため、導入した際は、遅くとも20年~30年後には廃棄なり交換なりを検討しなければなりません。
場合によっては、移転・改装・建て替え・撤退などの都合により、もっと早いタイミングで廃棄の必要が出てくることもあり得ます。
廃棄のタイミングを考え、実際に廃棄するときはどうすれば良いのか、十分に理解したうえで導入を検討しましょう。
廃棄まで手厚くサポートしてくれる業者に施工を依頼する
太陽光パネルを新しく取り入れるときは、メンテナンス・交換・廃棄まで含め、手厚くサポートしてくれる業者に施工を依頼すると良いでしょう。
サポートがしっかりしている業者は、保証範囲・期間・付帯サービスなどがわかりやすいため、「故障したら?」「要らなくなったら?」などさまざまなケースを想定しつつ施工を依頼できます。
最終的な廃棄までワンストップで相談できる業者なら、まとめてサポートしてもらうことで、廃棄費用を安く抑えられる可能性もあります。
わからない点は自己判断しない
太陽光パネルの廃棄方法に困ったときは、とにかく自己判断しないこと、疑問を放置しないことが大切です。
自分たちで撤去作業を行うと、有害物質が流出したり、屋根の場合は転落事故が起きたりする恐れがあるため非常に危険です。
自己判断で特定の土地に放置したり、勝手に埋めたりすると、不法投棄にあたります。
わからない点は自己判断せず、必ず太陽光パネル専門の施工業者やメーカー、リサイクル業者などに相談しましょう。
まとめ
太陽光パネルは、適切な手順で廃棄しなければ不法投棄・環境破壊につながる「産業廃棄物」です。
処分する際は太陽光パネルの施工業者やメーカー、リサイクル業者など、しかるべき相談先を見つける必要があります。
メンテナンス・点検で普段からやり取りをしている業者がいるのであれば、廃棄についても相談してみてください。
適切な廃棄方法や費用の目安、廃棄するときの注意点などをチェックし、安全に太陽光パネルを廃棄しましょう。