投稿日:
更新日:2026/06/12
飲食店の電気代を削減する省エネ対策|厨房・空調・照明・契約見直しの具体策
飲食店で利益をあげるためには「売上を上げる」「経費を節約する」ということが基本となります。
どういったジャンルの飲食店であっても水道光熱費がかかるものですが、そのうちの8割ほどが電気代だと言われています。
飲食店の省エネでは、まず「空調」「厨房機器」「冷蔵・冷凍設備」「照明」「契約電力」の5つを見直すことが重要です。
特に厨房や客席の空調、冷蔵庫・冷凍庫、照明は使用時間が長く、改善による削減効果が出やすい設備です。
小さな運用改善から始め、必要に応じてLED照明、空調更新、電子ブレーカー、デマンド制御、太陽光発電などを検討するとよいでしょう。
つまり、電気代を節約、節電することができれば省エネで環境にも優しい上に、経費を削減することにもつながるのです。
そこで今回の記事では飲食店での省エネ、節電について紹介していきたいと思います。
Contents
飲食店で省エネが必要な理由
もちろん飲食店といっても店の場所、地域、季節、規模などによって電気代は変わってきます。
厨房の中でもどういった機器を使用しているのかによっても差がでてきます。
ただ、節電する理由やメリットについては同じものとなります。
ここでは飲食店で省エネが必要な理由や節電することで発生するメリットについて紹介していきます。
電気代・水道光熱費の削減が利益改善につながる
節電によって電気代が下がるということはそのまま店の利益が出ることにつながります。
たとえ毎月1,000円の節約であっても年間では12,000円の経費削減となります。
基本的に電気代というのは「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」の3つを合わせたものとなっています。
このうち基本料金と再エネ賦課金については下げることは難しいのですが、電力量料金は「電力量料金単価に1ヶ月の使用電力量をかけたもの」「燃料費調整単価に1ヶ月の使用電力量をかけたもの」を合わせたものとなっています。
この部分を下げることが可能となるのです。
エネルギー価格の変動リスクに備えられる
節電というものを意識していないと電気料金についての知識がないままに電気代を払い続けることとなります。
意識が向いていないために電気会社について調べない、電気料金の形態を選ばないということになり、効率の悪い支払いをすることとなってしまいます。
節電を意識することで電気料金に関する知識をつけることができるのです。
環境配慮・脱炭素の取り組みとして評価される
節電するということは、電気の使用量を減らすことです。
電気の使用量を減らすということは、電気を作り出す際に発生する二酸化炭素などの排出量を減らすことにもつながります。
日本では電気やガスなどを作り出す際には火力発電所などで多くの二酸化炭素、温室効果ガスなどを排出しています。
これが地球温暖化を進める原因ともなっているのです。
つまり節電をしていくことで、地球温暖化、環境破壊などを防ぐことにもつながっているのです。
飲食店の電気代・光熱費が高くなりやすい原因
飲食店においては原材料費や人件費などの経費がかかるのですが、そこに水道光熱費がかかってきています。
その中でも、近年電気代が高騰していることが飲食店を苦しめる結果となっています。
飲食店の電気代が高くなりやすい背景には、使用電力量の多さに加えて、燃料価格の変動、電気料金単価の上昇、再エネ賦課金、基本料金の負担などがあります。
特に空調・厨房機器・冷蔵冷凍設備を長時間使用する店舗では、電気料金の影響を受けやすくなります。
では飲食店の電力使用量、電力消費量はどれくらいなのでしょう。
「新電力ネット」が公開している「産業別電力購入量のランキング」によると、
- 飲食料品小売業
- 飲食店
- 食料品製造業
データから見ると「飲食関連」の業種が多くの電力を消費していることがわかります。
その中でも「飲食店」の電力の利用額を見ていくと売上100万円あたり約2.5万円となっています。
一般的には飲食店の水道光熱費が経費のうちの5~10%と言われていますので、その中でも電気代の割合が非常に高いということがわかります。
飲食店の省エネ対策一覧
| 対策 | 対象設備 | すぐできるか | 削減効果の期待度 |
|---|---|---|---|
| フィルター清掃 | 空調 | ◎ | 中 |
| 設定温度の見直し | 空調 | ◎ | 中 |
| 冷蔵庫の開閉回数削減 | 厨房機器 | ◎ | 中 |
| 冷蔵庫パッキンの点検 | 厨房機器 | ◎ | 中 |
| LED照明への交換 | 照明 | ○ | 高 |
| 人感センサー導入 | 照明 | ○ | 中 |
| 電力契約の見直し | 契約 | ○ | 高 |
| 電子ブレーカー導入 | 低圧電力 | ○ | 高 |
| デマンド制御 | 高圧契約 | ○ | 高 |
| 太陽光発電 | 店舗・施設全体 | △ | 高 |
飲食店で行うことができる節電、省エネにはいろいろなものがあります。
どれも細かい積み重ねにはなりますが、積もっていくと大きな節約になるものばかりです。
空調と照明の割合が多く占めており、優先順位を高く省エネに取り組むと良いでしょう。
空調の省エネ対策
やはり電気代の中でも大きな割合を占めるのが「空調関連」のものです。
ここに関連するものを注意するだけでもかなりの効果があります。
エアコンクリーニング、フィルター掃除をこまめに行う
エアコンは定期的に掃除をしないとエアコンの内部、フィルターに埃が溜まっていきます。
内部に埃が溜まることで運転効率が下がるだけでなく、排出する冷気も汚れていきますし、本来の能力が出せなくなっていきます。
性能通りの運転ができないと本来よりも多くの電力を使用して運転することとなってしまいます。
もちろん飲食店ですので、食事をするスペースに埃っぽい空気が出てくるというのも衛生的に良くありません。
節電のためにも、衛生面のためにも定期的にクリーニングをしていくことが重要となります。
設定温度と運転時間を見直す
夏の暑い時期などは設定温度を低くして冷房を全開に効かせたいということがあるのですが、エアコンの設定温度は1℃上げることで電気代を10%節約できるとも言われています。
例えばエアコンの設定温度は高めにして、扇風機やシーリングファンなどを併用することで冷気を確保するという方法もあります。
夕方になって気温が低くなってくるとそれに合わせて設定温度を操作するといった工夫も効果があります。
また、細かいことですが、エアコンの室外機の周りに多くの荷物が置かれていたりするとエアコンの運動効率が下がりますので、室外機周辺の整理も重要となります。
業務用エアコンは飲食店の電気代に大きく影響する設備です。電気代の目安や削減方法を詳しく知りたい方は、関連記事「業務用エアコンの電気代」も参考にしてください。
厨房機器・冷蔵冷凍設備の省エネ対策
省エネにつながる効果的な方法は以下です。
- 冷蔵庫・冷凍庫のドア開閉回数を減らす
- 冷蔵庫・冷凍庫に食材を詰め込みすぎない
- パッキンの劣化や冷気漏れを点検する
- 製氷機・食洗機・給湯器の稼働時間を見直す
- 口火や予熱時間を必要最小限にする
- 古い厨房機器は省エネ性能を比較して更新する
電化製品は毎年新しい製品が販売されているのですが、常にその性能は進化しています。
基本的には新しい機種のものほど省エネ効果が高いようになっているという特徴があります。
そのため店で古い機種のものを使っている場合は新しい機種のものに買い替えるというのも1つの方法です。
エアコン、冷蔵庫、冷凍庫、テレビ、製氷機といった電化製品を新しい機種に変えることで年間数万円程度の電気代の節約が可能となります。
もちろん新しい機種を購入する際には費用がかかるのですが、電気代節約、省エネということを考えれば効率的かもしれません。
また、電化製品を購入する際には店舗に合ったサイズのものを選ぶということが重要となります。
電化製品は大型のものになるほど必要な電力が増加します。
そのため必要以上に大きなサイズのものは無駄な電力を使うということにつながってしまいます。
照明・LEDの省エネ対策
飲食店では、客席・厨房・トイレ・通路・看板・バックヤードなど、多くの場所で照明を使用します。営業時間が長い店舗ほど、照明の電気代も積み重なります。
古い蛍光灯や白熱電球を使用している場合は、LED照明への交換を検討しましょう。LED照明は消費電力が少なく、寿命も長いため、電気代だけでなく交換作業の手間やランプ交換費用の削減にもつながります。
ただし、飲食店では明るさだけでなく、雰囲気づくりも重要です。客席では料理がおいしく見える色味や、店舗コンセプトに合った明るさを選ぶ必要があります。厨房では作業しやすい十分な明るさを確保し、トイレや通路では安全性にも配慮しましょう。
また、人感センサーやエリア別点灯を取り入れることで、使っていない場所の照明を自動で消灯できます。バックヤード、倉庫、トイレ、通路など、人の出入りが限られる場所では、センサー照明の導入が効果的です。
照明の省エネ対策は、比較的取り組みやすく、効果も見えやすい施策です。まずは使用時間が長い場所から優先的に見直すとよいでしょう。
蛍光灯や白熱電球を使用している店舗では、LED照明への交換によって電気代削減が期待できます。LED化のメリットを詳しく知りたい方は、関連記事「LED照明への交換」もご覧ください。
電力会社や電気の契約プランを見直す
飲食店の電気代を削減するには、電気の使い方だけでなく、電力契約の見直しも重要です。どれだけ節電しても、契約内容が店舗の使用状況に合っていなければ、基本料金が高いままになっている可能性があります。
まず確認したいのは、契約種別です。飲食店では、空調や厨房機器の使用状況によって、低圧電力や高圧電力などの契約をしている場合があります。契約電力が実際の使用状況に対して大きすぎると、必要以上に高い基本料金を支払っている可能性があります。
低圧電力を利用している店舗では、電子ブレーカーの導入によって基本料金を見直せる場合があります。電子ブレーカーは、電気の使用状況に合わせて契約容量を適正化し、基本料金の削減を目指す設備です。
特に、動力設備を使っているものの、同時にすべての機器を最大出力で使う時間が短い店舗では、削減余地がある可能性があります。
高圧電力を契約している店舗や施設では、デマンド値の管理が重要です。
デマンド値とは、一定時間内の最大需要電力を示すもので、基本料金に影響します。ピーク時の電力使用を抑えることで、基本料金の削減につながる可能性があります。
電力契約の見直しでは、電力量料金だけでなく、基本料金、燃料費調整額、再エネ賦課金、契約期間、解約金、市場連動型プランのリスクなども確認しましょう。自店舗に合った契約かどうか判断が難しい場合は、専門会社に診断を依頼するのも有効です。
電気代を削減するには、使用量だけでなく契約電力の確認も重要です。契約電力の確認方法や変更の流れについては、関連記事「契約電力の調べ方」で詳しく解説しています。
電気使用量を見える化して、ムダな使用時間を把握する
省エネ対策を効果的に進めるには、まず店舗でどの時間帯に、どの程度の電気を使っているのかを把握することが重要です。感覚だけで節電を進めると、効果が小さい部分に手間をかけてしまったり、本当に削減すべき設備を見落としたりする可能性があります。
電気使用量を見える化すると、ランチタイムやディナータイムなど、電力使用量が増える時間帯を確認できます。また、閉店後やアイドルタイムに電力使用量が高いままになっている場合は、空調・照明・厨房機器の消し忘れや、不要な稼働が発生している可能性があります。
EMSやデマンド監視装置を活用すれば、電力使用量の推移やピーク電力を確認しやすくなります。高圧契約の店舗では、ピーク電力を抑えることで基本料金の削減につながる場合があります。
見える化は、スタッフの省エネ意識を高めるうえでも有効です。どの行動が電気使用量に影響しているかを把握できれば、空調の設定温度、照明の消し忘れ、厨房機器の運転時間などを見直しやすくなります。
省エネ対策を効果的に進めるには、まず電気使用量を見える化することが大切です。見える化のメリットや導入効果については、関連記事「電力の見える化」でも詳しく紹介しています。
太陽光発電・蓄電池による省エネ対策
店舗の屋根や敷地に十分な設置スペースがある場合は、太陽光発電の導入も省エネ対策の一つです。
発電した電気を店舗で自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らせる可能性があります。
飲食店では、日中の仕込みやランチ営業で電気を使う店舗も多いため、太陽光発電との相性がよい場合があります。特に、空調や冷蔵冷凍設備の使用量が多い店舗では、発電した電気を自店舗で使うことで、電気代削減につながる可能性があります。
蓄電池を組み合わせれば、発電した電気をためておき、必要な時間帯に活用することもできます。また、停電時の備えとして活用できる場合もあるため、BCP対策の観点からも検討する価値があります。
ただし、太陽光発電や蓄電池は初期費用が大きく、設置条件によって効果が変わります。屋根の広さ、日当たり、電気使用量、契約内容、補助金の有無などを確認したうえで、費用対効果をシミュレーションすることが大切です。
店舗の屋根や敷地に設置スペースがある場合は、自家消費型太陽光発電の導入も選択肢になります。仕組みやメリットを詳しく知りたい方は、関連記事「自家消費型太陽光発電とは?」も参考にしてください。
飲食店の省エネ設備導入で使える補助金・支援制度はある?
省エネ設備を導入する際は、国や自治体の補助金・支援制度を活用できる場合があります。対象となる設備は制度によって異なりますが、高効率空調、LED照明、業務用給湯器、EMS、太陽光発電、蓄電池などが対象になるケースがあります。
補助金を活用できれば、初期費用の負担を抑えながら省エネ設備を導入しやすくなります。ただし、補助金には申請期間や予算上限、対象設備、申請条件が定められているため、導入前に最新情報を確認することが重要です。
また、補助金は設備を購入した後では申請できない場合もあります。省エネ設備の導入を検討している場合は、見積もりや契約を進める前に、利用できる制度がないか確認しましょう。
自店舗に合う補助金が分からない場合は、省エネ診断や設備導入を支援している専門会社に相談すると、対象制度や導入効果を確認しやすくなります。
飲食店の省エネ成功事例
ここからは飲食店で省エネに成功した事例を2つ紹介します。
【山田食品産業株式会社】東京都の補助金で太陽光導入!災害時の電源確保へ
企業HP:https://www2.yamada-udon.co.jp/
山田食品産業株式会社は、埼玉県所沢市に本社を置く外食・食品製造企業です。「ファミリー食堂 山田うどん食堂」などを関東エリアで展開し、地域密着型の食堂チェーンとして親しまれています。
BCP対策、非常時のライフライン確保として太陽光発電蓄電池システムを災害発生時の停電に電源を確保することを目的として補助金を利用して導入しました。
【PONTE】オープンしてすぐに低圧電力の見直しを実施し、電気代の無駄を省くことに成功
店舗HP:https://ponte-itabashi.com/
PONTEは2020年2月1日に志村坂上にオープンのイタリアレストランです。
導入時はオープンしたてだったので経費が少しでも下がるならいいなと思って導入しました。
そこで、電子ブレーカーを導入したことで低圧電力の基本料金だけで年間76,745円の削減に成功。
容量を下げたので普通に使えるか心配だったけど問題ありませんでした。
まとめ
飲食店の省エネ対策では、空調、厨房機器、冷蔵冷凍設備、照明、電力契約の見直しが重要です。フィルター清掃や冷蔵庫の使い方の見直しなど、すぐに始められる対策もあれば、LED照明への交換、電子ブレーカー、デマンド制御、太陽光発電のように、設備導入によって大きな削減効果が期待できる対策もあります。
省エネ対策を効果的に進めるには、まず自店舗の電気使用量や契約内容を把握することが大切です。どの設備で電気を多く使っているのか、どの時間帯にピークが発生しているのかを確認することで、優先的に取り組むべき対策が見えてきます。
また、飲食店では電気代だけでなく、水道代やガス代も含めた固定費の見直しが重要です。毎月発生するコストを削減できれば、長期的な利益改善につながります。
「自店舗でどのくらい電気代を削減できるか分からない」「電力契約や設備の見直しをどこから始めればよいか分からない」という場合は、専門会社の無料診断を活用するのがおすすめです。空調・照明・厨房機器・電力契約などをまとめて確認し、店舗に合った省エネ対策を検討しましょう。

【結局これ!】機械関連の製造業にイチオシの省エネ方法を紹介
【これだけ実践】印刷業における省エネの重要性と効果的な取組み方法
【病院】省エネの重要性と効果的な取組み方法
【事例あり】物流倉庫で効果的な省エネ方法5選!
【知らなきゃ損】飲食店の電気代を機器別に徹底解説!