投稿日:
更新日:2024/01/24
【損しない】金属加工業の省エネがオススメな理由と節電に繋げるコツを解説
「金属加工業で使用する工場で節電・省エネに取り組むにはどうすればよいのか」、「節電・省エネに取り組む必要はあるのか」、「どのような方法が効果的なのか」など、お悩みではないでしょうか?
金属加工業を営む企業の工場のように電気の使用割合が高い施設では、太陽光発電施設の設置やデマンド制御、LED照明への切り替えといった節電・省エネをおこなうことで、経費を削減できるだけでなく、企業のイメージアップにつながります。
この記事では、金属加工業を営む企業が運営する工場において節電や省エネが必要な理由・背景から、金属加工業における工場の電気代の内訳、効果的な省エネ方法、省エネに成功している事例について解説します。
Contents
金属加工業の省エネが必要な理由や背景
金属加工業を営む企業が運営する工場の節電・省エネに取り組んでいる理由や背景は以下の4つです。
- 省エネ法で規制されている
- CO₂の排出量削減の取り組みが求められている
- コストを削減できる
- イメージアップにつながる
それぞれ順にどういったものが当てはまるのか、どのように省エネ化を行えるのか解説します。
省エネ法で規制されている
金属加工業を営む企業が運営する工場の節電・省エネに取り組んでいるのは、省エネ法で規制されているからです。
一定規模以上の燃料・熱・電気・非化石エネルギーを使用する企業は、定期的な使用状況の報告、省エネへの取り組みが求められます。
省エネ法の規制対象は、工場・事業場と運輸分野です。
「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」、通称「省エネ法」は1979年に施行され、省エネに取り組む企業が優良事業者として認定されたり、税額控除が増加したりします。
CO₂の排出量削減の取り組みが求められている
世界的にCO₂の排出量削減の取り組みが求められていることも、金属加工業を営む企業が運営する工場の節電・省エネに取り組んでいる理由です。
火力発電所で排出される、二酸化炭素に代表される温室効果ガスが、地球温暖化を進める原因となっています。
節電・省エネに取り組むことで電気の使用量を減らすことができれば、火力発電所の稼働を減らすことができ、結果として地球温暖化を防ぐことにつながります。
コストを削減できる
コスト削減を理由として、工場の節電・省エネに取り組む金属加工業を営む企業も多いです。
以下のような方法で今よりも電気の使用量を減らすことができれば、光熱費を削減できます。
節電・省エネに取り組むことで電気の使用量を減らすことができれば、火力発電所の稼働を減らすことができ、結果として地球温暖化を防ぐことにつながります。
- 工場の屋根や外壁に断熱塗料を使用して室内温度が高くならないようにする
- 電力消費量が少ないLED照明に切り替える
- 電力の使用状況を把握して不要な電力使用を減らす
- 電力会社を変更する
- 太陽光発電・蓄電池を導入する
ただし、省エネには一定の初期投資が必要になるため、長期的な視点で取り組むことが重要です。
イメージアップにつながる
金属加工業を営む企業が運営する工場の節電・省エネに取り組むことで、企業のイメージアップにつながるケースもあるでしょう。
地球温暖化や環境破壊への対策に興味を持つ人が増加しているため、省エネへの取り組みをアピールすることは顧客からのイメージアップにつながり、競争力アップ・業績アップが期待できます。
金属加工業の電気代の内訳、割合
工場の平均的な使用電力量は、小規模な工場で約1,000kWh、大規模な工場で約1,000,000kWhと言われています。
金属加工業を含めた製造業全般における工場の電気使用量の内訳は以下の通りです。
- 生産設備:83%
- 空調:9%
- 照明:8%
金属加工業における工場の効果的な省エネ方法
金属加工業における工場の効果的な省エネ方法は以下の通りです。
- 自家消費型太陽光発電の導入
- 産業用蓄電池の導入
- 電子ブレーカーの導入
- 空調システムの導入
- LED照明の導入
- デマンド制御の導入
どのような省エネ方法なのか、どのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
自家消費型太陽光発電
自家消費型太陽光発電の導入は、金属加工業における工場の効果的な省エネ方法です。
自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を売るのではなく、発電した分の電気を自家消費する太陽光発電です。
工場を運営するために必要な電気を太陽光発電でまかなうことができるため、電気代を大きく削減できます。
固定価格買取制度の売電単価下落により、売電するために太陽光発電を導入するケースより、発電した電気を自社で消費する自家消費型太陽光発電が主流です。
自家消費型太陽光発電には以下の2種類があります。
- 全量自家消費型:発電したすべての電気をすべて消費するタイプ
- 余剰売電型:自家消費して余った電気は電力会社に売電するタイプ
金属加工業などの工場で自家消費型太陽光発電を導入するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・電力会社から電気を購入しなくて済む ・CO₂排出量を削減できる ・災害が発生しても業務をおこなえる ・税額控除もしくは即時償却を適用してもらえる |
・初期投資が高額 ・用地を確保する必要がある ・継続的なメンテナンスが必要 ・常時安定して電力が供給できるわけではない ・環境破壊のリスク ・廃棄パネルの不法投棄・有害物質の流出 |
PPAモデルを検討する、補助金を活用することで、自家消費型太陽光発電の導入費用を削減できます。
関連コンテンツ:【総まとめ】自家消費型太陽光発電とは? メリット・デメリットを解説!
産業用蓄電池の導入
産業用蓄電池を導入することも、金属加工業における工場の効果的な省エネ方法です。
「産業用蓄電池」とは、法人での利用を前提とした、住宅用の蓄電池よりも容量が多い蓄電池です。
非常時の予備電源として利用される10kWh程度のものから、オフィスビルや工場などの大規模施設での利用を前提としたメガワットクラスのものまで、幅広い容量の産業用蓄電池があります。
前述した自家消費型太陽光発電とセットで運用することにより、電気消費が少ない時間帯は蓄電し、電気使用の多い時間帯に蓄電池の電気を使用するピークカットが可能になります。
金属加工業などの工場で産業用蓄電池を導入するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・電気料金が安い夜間の電気を蓄電できる ・停電時、災害時に利用できる ・太陽光発電の余剰電力を蓄電できる |
・初期費用が高額 ・継続的なメンテナンスが必要 ・単体での省エネ効果は低い |
電子ブレーカーの導入
金属加工業における工場の効果的な省エネ方法として、電子ブレーカーの導入も挙げられます。
電子ブレーカーとは、電気の最大利用量をCPU制御することにより契約電力を大幅に削減できるシステムです。
基本料金を決定する負荷電流をCPU回路で感知し、最大容量で必要な電力量を得ることができます。
金属加工業などの工場の場合、以下のような設備で効果が期待できます。
集塵機・オーブン・溶接機・旋盤・シャーリング・プレス機・放電加工機・ヒーター・コンプレッサー・NC装置系・ボイラー・切削機・水銀灯
空調システムの導入
省エネタイプの空調システムを導入することも、金属加工業における工場の効果的な省エネ方法です。
HCFC(R22)冷媒のような旧タイプの空調システムと比べると、最新の空調システムは省エネ効果が高く、年間で計算すると光熱費を大幅に削減できます。
LED照明の導入
従来の蛍光灯からLED照明へ切り替えることも、金属加工業における工場の効果的な省エネ方法です。
LED照明は従来の照明機器と比べると70%以上の電気料金を削減でき、交換頻度も1/4に抑えることができます。
工場のように広い空間の場合は設置する照明の数も多いため、それだけ省エネ効果も高いです。
種類 | 特徴 | 工事 |
---|---|---|
電源内蔵形 交流用 | 手軽かつ低コストで導入できる一方、節電効果が低い | 不要 |
電源内蔵形 直流用 | 節電効果・普及率が高い | 必要 |
電源別置形 直流用 | 照射角度が広く配光が良い | 必要 |
専用口金 専用器具で点灯 | 照射角度が広いが、工事費用が高額 | 必要 |
金属加工業などの工場でLED照明を導入するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
・蛍光灯より交換する頻度が低い ・蛍光灯に比べて消費ワット数は約1/4~1/5程度 ・紫外線がほとんど含まれていないため日焼け防止になる ・衝撃に強い ・軽い ・熱を持ちにくい |
・導入できるタイプは取付器具に依存する ・設置工事、配線工事が必要なケースもある ・蛍光灯より単価が高い |
デマンド制御の導入
デマンド制御システムを導入することも、金属加工業における工場の効果的な省エネ方法です。
「デマンド制御システム」とは、基本料金に直接かかわるデマンド値(最大需要電力)を監視・制御することで電力のピークカットを行う装置です。
空調機にデマンド制御システムを設置するだけで、消費電力を15~20%削減できます。
▼デマンド値についてはこちら
金属加工業で省エネに成功している事例
ここからは金属加工業で省エネに成功した他社の事例を紹介します。
志村プレス工業所
昭和39年創業の有限会社志村プレス工業所は、レーザ切断加工や精密板金、溶接といった金属加工をおこなう企業です。
工場内のエアー漏れをチェックできる機械や稼働状況を遠隔操作で管理できるシステムを導入することで、年間数百万円の電気料金の削減。
さらには、デマンドコントロールによる使用電力量の標準化とIoT化による集中管理により、電気料金の削減に成功しています。
ALFA製作所
岐阜県大垣市のALFA製作所は、CO2溶接やTIG溶接といった金属加工をおこなう企業です。
電子ブレーカーを導入することで電気料金が年間192,060円から140,844円になり、年間51,456円のコスト削減に成功しています。
株式会社金子製作所
埼玉県さいたま市の株式会社金子製作所は、医療機器部品から航空機部品、光学機器部品、各種研究開発まで、幅広い精密加工をおこなう企業です。
LED照明を導入することで電気料金が年間2,160,022円から599,628円になり、年間1,560,394円のコスト削減に成功しています。
電気代を意識して従来の蛍光灯を間引きしていましたが、LED照明へ変更したことで間引きする手間が減っただけでなく、見た目も良くなったと満足しているそうです。
まとめ
今回は、金属加工業を営む企業が運営する工場における節電・省エネについて解説しました。
工場で取り組むことができる省エネ方法には、自家消費型太陽光発電から産業用蓄電池、LED照明まで、さまざまな方法があります。
オフィスと比べて電気の消費量が大きい工場では、省エネによる光熱費の削減効果が非常に高いです。
自社にとって最適な省エネ方法はどれなのかを検討し、効率良く光熱費を削減しましょう。